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必見!智慧得(841)「レアアース:新たな海底熱水活動域を発見/産総研」

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産総研、沖縄県久米島西方海域に新たな海底熱水活動域を発見。海底鉱床の可能性も (発表資料)http://bit.ly/Zew2te  pic.twitter.com/PJrlGQf9

産総研:沖縄県久米島西方海域に新たな海底熱水活動域を発見


海底熱水活動を発見した場所の図図1 海底熱水活動を発見した場所(●印の場所)


 

 独立行政法人 産業技術総合研究所【理事長 野間口 有】(以下「産総研」という)地質情報研究部門【研究部門長 牧野 雅彦】池原 研 副研究部門長らは、2012年8月20日〜9月13日に海洋調査船「第七開洋丸」(499トン、日本海洋株式会社所有)による沖縄県久米島および鹿児島県沖永良部島周辺海域の海底調査を実施し、久米島西方海域において新たな海底熱水活動域を発見した。この海底熱水活動域は海底火山のカルデラ内にあり、活発な熱水活動を示すプルームを音響調査で複数確認したほか、海底熱水活動に関係して形成されたチムニーの破片と考えられる試料を採取した。また、同様なカルデラをもつ海底火山がこの熱水活動域に隣接するように複数存在するが、これらの一部からは熱水活動により形成されたと考えられるマンガン酸化物が採取された。なお、久米島西方海域では、これまでカルデラ地形をもつ海底火山や海底熱水活動は知られていなかった。

 

 海底火山活動に伴う熱水活動では海底熱水鉱床が形成される可能性がある。海底資源が賦存する可能性のある海域を新たに発見したことは、我が国の海底資源開発計画の上でも重要である。今後、経済産業省や関係機関との連携のもと、引き続き海域の地質調査を進める予定である。

研究の社会的背景

 日本周辺海域の知的基盤情報としての海洋地質図の整備は、海域で発生する地震など自然災害による被害の軽減を図る上で重要である。また、海洋地質図は海域での効率的な鉱物資源開発を進めるためにも欠かせない。鉱物資源の供給不安が広がる昨今、日本の領海および排他的経済水域内の海底鉱物資源の存在が注目されている。海底鉱物資源の開発に向けての調査研究は国として進められているが、持続的・安定的な鉱物資源の供給のためには、新たな鉱物資源が賦存する可能性がある海域の発見に資する知的基盤情報を整備し、活用していくことが求められている。

研究の経緯

 産総研は日本周辺海域の海洋地質図の作成を継続して行っており、2008年度からは琉球列島およびその周辺海域の調査を行っている。2011年度の「第2白嶺丸」(2127トン、独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構所有(当時))による調査では、久米島西方海域(図1)の一部にカルデラをもつ海底火山を複数確認した。これらの海底火山には海底鉱物資源の賦存が期待されるため、2012年8月20日〜9月13日に「第七開洋丸」の航海(GK12航海:主席研究員 板木 拓也(産総研 地質情報研究部門 研究員))により海洋地質調査を実施した。

研究の内容

 GK12航海では、久米島西方海域で海底地形調査や岩石・堆積物採取など海洋地質調査を実施した。その調査において、直径数kmのカルデラ地形をもつ海底火山の一つで、魚群探知機などによる音響記録により活発な火山活動を示すプルーム(図2、図3)を複数確認した。また、著しい発泡現象を示す堆積物を採取した。音響記録で確認されたプルームはこの発泡した堆積物の採取地点付近から立ち昇っていることから、プルームには多くの気泡が含まれている可能性が高い。また、カルデラ内で海水の濁度の異常を観測するとともに、チムニーの破片と考えられる硫化水素臭のする試料(図4)を採取した。以上の観測結果から、カルデラ内での活発な熱水活動の存在が示唆される。

魚群探知機でとらえたカルデラ底から立ち昇るプルームの図 図2 魚群探知機でとらえたカルデラ底から立ち昇るプルーム
音響測深機でとらえたカルデラ底から立ち昇るプルームの図 図3 音響測深機でとらえたカルデラ底から立ち昇るプルーム
カルデラから採取されたチムニーの破片と考えられる試料の写真 図4 カルデラから採取されたチムニーの破片と考えられる試料

 これまでの海洋地質調査で、近傍の海底火山において、熱水活動に伴って形成されたマンガン酸化物の存在が確認されている。これらは、今回熱水活動を発見したカルデラとは別のカルデラでも熱水活動が存在する可能性を示し、複数の海底火山が現在も活動的であり、そこでは海底熱水活動があることを示唆する。

 現在、GK12航海で得た資試料につき、以下の分析を進めている。
1)海底地形解析
2)採取された岩石・堆積物試料の鉱物・化学分析
3)岩石試料の年代測定
4)堆積物中のガス組成分析

今後の予定

 今回の調査結果より、久米島西方海域の海底火山域に海底熱水活動が存在することが明らかとなった。海底熱水活動に伴っては鉱床の形成が期待されるので、今後、経済産業省および独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構との密接な連携のもと、海底熱水活動の分布範囲の把握、活動様式、鉱床存在の可能性について調査・研究を進めていく予定である。

用語の説明 ◆プルーム熱水噴出口から噴出した熱水が最初は上方に立ち上がり、さらには側方に移動して雲のようになったもの。噴出した熱水の比重が周囲の海水よりも小さいために形成される。熱水活動域の発見にはプルームの発見が有効であるとされる。[参照元へ戻る]◆チムニー海底熱水噴出口から煙突状に突き出した柱状の構造物。噴出する熱水に溶けている金属などが低温の海水と出会った際に沈殿することによって形成されたもの。[参照元へ戻る] 問い合わせ

独立行政法人 産業技術総合研究所 広報部 報道室

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