日米両政府、九州に高精度レーダー 無人偵察機は導入前倒し :日本経済新聞
日米両政府は弾道ミサイルを高い精度で探知する米軍の移動式早期警戒レーダー「Xバンドレーダー」(AN/TPY2)を追加配備する調整に入った。すでに配備している青森県に加え、九州の航空自衛隊基地を軸に検討する。北朝鮮が昨年12月に日本から監視しにくい朝鮮半島の北西部から事実上の長距離弾道ミサイルを発射したのを受け、2基体制に強化する。米側は日本側に早ければ2013年春の配備を求めている。
同レーダーは06年に1基目を空自車力分屯基地(青森県)に配備済み。この基地の西側には日本海が広がり、北朝鮮東部をカバーできるため、北東部の舞水端里(ムスダンリ)のミサイル発射台を警戒監視するのに適していた。ただ、北朝鮮の西側は山岳地帯に阻まれ、昨年12月にミサイルが発射された東倉里(トンチャンリ)などの監視は難しかった。
日米両政府は12年8月の防衛相会談で早期の追加配備を確認。西日本で適当な配備先を探していた。沖縄も候補に浮上したが、地元の同意を得られないため外した。九州に2基目を配備すれば、山岳地帯などの障害をあまり気にせずに監視できるとされる。北朝鮮が東倉里でミサイル実験を断行したのを受け、北朝鮮全域のカバーが不可欠と判断した。
弾道ミサイル防衛(BMD)に対処する移動式Xバンドレーダーは1000キロメートル以上の探知能力をもつ。早期警戒のほか、目標識別や追跡もできる。米政府は北朝鮮が発射した長距離弾道ミサイルについて、射程が米本土にも届く可能性があると分析しており、同レーダーの配備は「日本だけでなく米本土の防衛にも有効だ」と歓迎する。
日本政府は米軍の無人偵察機「グローバルホーク」の導入時期についても、当初予定していた次の中期防衛力整備計画(16〜20年度)より前倒しする方向で米側と検討に入った。Xバンドレーダーとグローバルホークで情報を補い合い、日米の共同対処能力を向上させる狙いがある。