帝人、ナノチューブ束ねて糸に 研究向けに出荷 電子機器の配線用 :日本経済新聞
ナノチューブ繊維に電気を流した(米ライス大学ジェフ・フィットロー氏提供)
帝人はナノテク炭素材料のカーボンナノチューブ(筒状炭素分子)を束ねてできた糸を量産する技術を開発した。金属並みに電気をよく伝え、電子回路の配線で一般的な銅の30倍の強度がある。研究向けにサンプル出荷を始めた。電子機器の配線などへの応用を目指す。成果は米科学誌サイエンスに発表した。
糸のように長いナノチューブ繊維を開発したのは帝人のオランダ子会社であるテイジン・アラミドと、米ライス大学や米空軍の研究所など。
カーボンナノチューブを強い酸に溶かし、その液を細い穴が開いたノズルを使い水槽に流し込んだ。直径8〜10マイクロ(マイクロは100万分の1)メートルのナノチューブ繊維が毎分10メートルの速度でできた。まず約500メートルまで作れた。
防弾チョッキなどに使うアラミド繊維の製法を応用し、電気や熱の伝わり方を高め、実用レベルを達成した。