朝日新聞デジタル:東電の火力発電、分社化案 資金確保へ支援機構検討 - 政治
東京電力の火力発電分社化のイメージ
政府の原子力損害賠償支援機構が、東京電力の火力発電部門の分社化を検討していることが23日明らかになった。福島第一原発の巨額の廃炉費用などを抱える東電本体が、原発事故前と同様に有利な条件で設備投資資金を集めることは難しいため、分社化して外部から資金を集めやすくする狙いだ。
政府は、東電が債務超過に陥ることを避けるため、機構を通じて1兆円規模の公的資本を注入する「実質国有化」を目指し、機構は3月に東電とともにつくる「総合特別事業計画」の柱とする方針だ。分社化は資本注入後の経営形態案の一つだが、東電は反対しており、今後、機構は東電との調整を本格化させる。
東電は15カ所の火力発電所を持つ。発電能力は約3800万キロワットで、全体の発電能力の6割を占める。福島第一原発事故後の原発停止や「減原発」の流れのなかで、火力発電の依存度は今後、高まるとみられている。
6火力発電、まず分離 東電・原賠機構、横須賀など検討 :日本経済新聞
東京電力と原子力損害賠償支援機構が進める東電の経営形態見直しの具体策が23日、明らかになった。火力発電部門は個別の発電所の分離・売却を進める。第1弾として、横須賀火力(神奈川県横須賀市、最大出力227万4千キロワット)など6カ所の火力発電所を対象とする方針。外部資金を取り込み、発電設備を更新して電気料金の引き上げ抑制につなげる。
対象となる発電所は横須賀のほか、五井火力(千葉県市原市、188万6千キロワット)、南横浜火力(横浜市、115万キロワット)、大井火力(東京・品川、105万キロワット)。新日本製鉄と折半出資する君津共同火力(千葉県君津市、100万キロワット)と、住友金属工業との折半出資による鹿島共同火力(茨城県鹿嶋市、140万キロワット)の持ち分も対象に加えているもよう。
共同出資分を含めると、東電は約20カ所の火力発電所を持つ。第1弾の6カ所で、発電能力では火力全体の5分の1程度の約750万キロワット分の設備を切り出すことになる。機構や東電は上積みも視野に入れており、火力発電部門の分離・売却はさらに大規模になる可能性がある。
機構と東電は個々の発電所ごとに特別目的会社(SPC)化して他企業の出資を受けたり、売却したりすることを検討する。外部資金を取り入れて高効率の設備に更新し、発電コストの引き下げや電気料金の抑制を図る。
東電の経営形態見直しは、3月に同社と機構がまとめる東電改革の抜本策である「総合特別事業計画」の柱の一つ。送配電や発電などといった部門ごとに社内分社(カンパニー)制をとり、独立運営する見直し案を軸に調整中。火力部門については、個別分離・売却案や発電所の大半を分離する案などを検討していた。