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真珠の小箱(220)「奥村善久/工学分野のノーベル賞:チャールズ・スターク・ドレイパー賞」受賞」

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「工学のノーベル賞」奥村名誉教授が受賞 : ニュース : 教育 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

受賞の喜びを語る奥村さん(18日)

 

 元日本電信電話公社(電電公社。現NTT)移動無線研究室長で、金沢工業大学名誉教授の奥村善久さん(86)が、全米技術アカデミーの2013年「チャールズ・スターク・ドレイパー賞」を受賞することが決まった。

 現在の携帯電話につながる自動車電話での電波の伝わり方や、通信システムの開発に関する電電公社在職中の先駆的な業績が評価された。同賞は「工学分野のノーベル賞」とも呼ばれ、日本人の受賞は初めて。授賞式は2月19日、米・ワシントンで行われる。

 奥村さんは旧花園村(現金沢市)出身で、野々市市在住。1947年に旧金沢工業専門学校電気科を卒業し、商工省(現経済産業省)を経て、50年に電電公社に入った。

 60年代に将来の移動通信の開発を予想し、その基礎となる電波の伝わり方の研究に取り組んだ。具体的には、自動車に電波の測定機を搭載して基地局から半径100キロ・メートル圏内を走行する実験などを通じ、距離や地形、市街地と郊外の違いなどによる電波の伝わり方の変化を明らかにし、研究成果は世界の研究者から「奥村カーブ」や「奥村モデル」と呼ばれた。70年代には、通話量の多い市街地では基地局からの半径を小さく、郊外では半径を大きくして電波の密度を変え、効率的に基地局を設置するシステムを開発した。

 これらの研究は、電電公社が79年に世界初の商用携帯電話網を構築することに道を開いた。世界各国でも携帯電話の基地局を設置するうえで欠かせないデータとして役立てられたという。

 奥村さんは75年には東芝に移り、自動車電話機器やデジタルポケットベルなどの開発に従事。79年から00年まで金沢工大教授を務め、00年からは名誉教授を務める。

 13年の同賞は、いずれも携帯電話の発展に多大な貢献をした奥村さんら5人が選ばれた。副賞の50万ドルは5人で等分する。

 奥村さんは「ずいぶん昔の研究でこういう表彰は期待していなかったので、びっくりしました。ありがたいです。日本人初と聞いて自分でもすごいなあと思いました」と喜びを語った。若い技術者らに対しては「35歳頃までに〈1〉専門分野の基礎的な学問〈2〉体力〈3〉気力〈4〉徳力の四つを身に着けてください。基礎的な学問、体力、気力は研究で成果を生み出すために必要で、徳力は部下を使うようになると求められるようになります」と助言した。

チャールズ・スターク・ドレイパー賞

 米の民間非営利研究機関「全米技術アカデミー」が、生活の質を大きく向上させ、社会に多大な影響を与えた業績を持つ技術者や工学者を表彰する賞で、1989年に始まった。集積回路(IC)を発明し、00年にはノーベル物理学賞を受賞したジャック・キルビー氏(89年)や、ネットワークで結ばれたパーソナルコンピューターの概念を最初に提唱し「パソコンの父」と呼ばれるアラン・ケイ氏(04年)、ワールド・ワイド・ウェブ(www)の設計者ティム・バーナーズ・リー氏(07年)らが受賞している。

(2013年1月22日  読売新聞)

ニュース - 金沢工業大学の奥村名誉教授、「工学分野のノーベル賞」を受賞:ITpro

 金沢工業大学名誉教授の奥村善久氏は米国時間の2013年2月19日、米ワシントンで開かれた全米工学アカデミー(National Academy of Engineering)の授賞式で「チャールズ・スターク・ドレイパー賞」を受賞した。同賞は工学の発展に貢献した人物に授与され、「工学分野のノーベル賞」とも呼ばれる。日本人研究者の受賞は今回が初めて。

 奥村氏は日本電信電話公社(現NTT)で移動無線研究室長などを務め、世界初の自動車携帯電話ネットワーク/システムの構築と標準規格化に貢献したことが評価された。特に移動通信の電波伝搬特性の解明においては、VHF帯からUHF帯までの広い周波数帯の電波を用いた屋外送受信実験を様々な環境で繰り返し、100kmまでの範囲での受信電界強度曲線とサービスエリアを推定する手法を確立した。

 奥村氏が発表した電界強度曲線は国際電気通信連合(ITU)の国際無線通信諮問委員会(CCIR)勧告として採用され、「奥村カーブ」の名称で高く評価されているという。携帯電話システムの無線回線設計では現在も奥村カーブを基礎とした伝搬推定式が活用されており、エリア品質の調査や最適化でも奥村氏による屋外実験データの分析手法が役立っている。このほか、800MHz帯活用の本格的な自動車電話サービスの実現に至る新方式を構想するなど、自動車携帯電話ネットワーク/システムの基礎を構築した。

 なお、過去には集積回路の発明者のジャック・キルビー(ノーベル物理学賞も受賞)、GPS開発者のアイバン・ゲッティング、「パソコンの父」と呼ばれるアラン・ケイ、World Wide Webを考案したティム・バーナーズ・リーなども受賞している。 


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