川重、大型LNG燃料船 15年メド生産 シェールガス追い風 :日本経済新聞
川崎重工業は2015年をメドに液化天然ガス(LNG)を燃料とするタンカーなど大型船の生産を始める。LNGは二酸化炭素(CO2)の排出量が少なく国際的な環境規制に対応しやすいが、現在使われる重油と比べて割高になっている。川重は米国のシェールガスの増産などで価格が下落し、LNG燃料船の需要が拡大すると判断した。世界に先駆けて投入、国内外の海運大手に売り込む。
船舶向け環境規制では25年までにCO2を現行より3割削減する必要がある。LNGは重油より燃焼効率が高く3割近く減らせる見通しだ。川重は船体の軽量化などとあわせ規制をクリアする考え。米政府がシェールガス増産を受け輸出に前向きな姿勢を示しているほか、世界各地でLNG開発が進み日本でも割安に調達できる可能性がある。
川重はまず坂出工場(香川県坂出市)で大型のタンカーやコンテナ船、自動車運搬船などのLNG燃料船を生産する。LNGは極低温で貯蔵する専用タンクが必要なため重油を燃料とする船と比べて製造コストが1〜2割程度高くなり、大型コンテナ船で1隻100億円を超える見通し。日本よりコストが約2割低い中国江蘇省の合弁造船所でも建造、中国の海運大手からの受注を狙う方針だ。
LNG燃料船はタンクのアルミ材の精密加工などが難しい。建造量で世界1、2位の中国、韓国の造船大手に日本が優位性を発揮できる見通し。三菱重工業なども開発を加速している。
LPG運搬船「NADESHIKO GAS」の引き渡し | プレスリリース | 川崎重工
川崎重工は、1月15日にGAS DIANA TRANSPORT INC.(ガス ダイアナ トランスポートインク) 向けLPG運搬船「NADESHIKO GAS(ナデシコ ガス)」(当社第1679番船)を引き渡しました。本船は、当社がこれまで建造したLPG運搬船として49隻目にあたり、同型船としては10隻目となります。
本船の引き渡し、主要目ならびに特長は次のとおりです。
<引き渡し>
2013年1月15日
<主要目>
全長 226.00 メートル 長さ(垂線間長) 222.00 メートル 幅(型) 37.20 メートル 深さ(型) 21.00 メートル 満載喫水(型) 11.20 メートル 総トン数 45812 トン 載貨重量 53,003 トン 貨物タンク容積 80,152 m3 主機関 川崎−MAN B&W 7S60MC−C7型ディーゼル機関×1基 連続最大出力14,000kW×94回転/分 航海速力 約16.95ノット 定員 30名 船級 日本海事協会(NK) 船籍 パナマ
<特 長>
1) 本船は、当社が開発した船首形状(SEA-ARROW)を採用し、船が航走する際に船首部に発生する波の抵抗を極限まで減少させ、推進性能の大幅な向上を図っています。 2) 低温で液化された石油ガスを積載するため、船体とは独立して低温収縮を吸収できる独立型貨物タンクを4区画の船倉内に4基設けています。 3) 貨物タンクは、−46℃までの低温液化石油ガスを積載することができるように低温用特殊鋼材が使用され、周囲は発泡ウレタンを用いた防熱が施工されています。 4) 主機関は省燃費型の超ロングストローク2サイクル低速ディーゼル機関を採用し、さらに川崎フィン付ラダーバルブの採用により、燃料消費量の低減を図っています。 5) 燃料油タンクを二重船殻構造とすることで、万一の際の海洋汚染防止対策を施し、環境に配慮した船としています。(参照)