「京洛(きょうらく)三十六家 山水花鳥人物図 貼交(はりまぜ)屏風(びょうぶ)」
江戸時代後期の第一級の絵師36人が描いた絵を並べて作った極めて貴重なびょうぶが京都市で見つかりました。
およそ200年前に京都の豪商が作らせたものとみられ、一つ一つの絵は縦30センチ横40センチほどの絹の布地に、花や鳥それに風景などが繊細で優美に描かれています。
びょうぶは、京都市北区の佛教大学の研究グループが、江戸時代後期の京都の豪商を研究する過程で発見し、京都国立博物館の担当者と共に20日、公表しました。
およそ200年前に豪商が作らせたものとみられ、第一級の絵師36人が描いた絵を並べ、1組のびょうぶに仕立てています。
絵を描いたのは、猿や鹿の絵で高く評価された森祖仙や、円山応挙の息子の円山応瑞、それに虎の絵で知られ、その後1つの流派の祖となった岸駒など名の通った絵師ばかりです。
一つ一つの絵は縦30センチ横40センチほどの絹の布地に、花や鳥それに風景などが繊細で優美に描かれています。
びょうぶは下地の銀ぱくが劣化しているものの、全体としては保存状態はよいということです。
佛教大学歴史学部の渡邊忠司学部長は「すばらしいびょうぶで、修理をしたうえでいずれ広く公開していきたい。極めて貴重な発見だ」と話しています。
佛教大(京都市)は20日、江戸時代後期に京都で活躍した円山派などの絵師36人の絵が貼られた「京洛(きょうらく)三十六家 山水花鳥人物図 貼交(はりまぜ)屏風(びょうぶ)」が所蔵品の中から見つかった、と発表した。約1年かけて修復した後、一般公開する予定。
屏風は縦約171センチ、横約380センチの六曲一双。円山派を起こした円山応挙の長男、応瑞をはじめ、岸派や四条派などの絵師の作品36枚が銀地に貼り付けられている。古都の風景から宮廷の女性や仙人、虎、猿などの動物まで、繊細で優美なタッチで描かれている。
佛教大が所蔵する近世京都の豪商、前川家の調度品の中から発見。1枚に文化13(1816)年正月を表す落款があり、この時期に作られた可能性が高い。
調査に協力した京都国立博物館の山下善也・学芸部連携協力室長(近世絵画)は「江戸後期を象徴する京都の町衆文化の縮図。美術史的にも貴重だ」と話している。