横浜市が電力小売り 15年以降に新会社 独自に送配電網 :日本経済新聞
横浜市は電力小売事業に参入するため、2015年以降に新しい電力会社を設立する方針を決めた。独自に送配電網を整備し「みなとみらい21地区(同市西区)」に電力を供給する。三菱地所などに出資を要請する。自治体が電力の小売事業に参入するのは初めてで、発送電分離をはじめとした電力改革が加速する可能性もある。
新会社は「みなとみらい21地区」に立地する企業が保有するガスコージェネレーションなどの自家発電の余剰電力を買い取る。横浜市が所有する共同溝に独自の送電網を敷いて、地区内の企業や店舗に直接電力を供給する方式を検討している。
供給対象となるのは、年間50キロワット以上の高圧契約をする大口需要家で、病院や大規模ホテル、オフィスビルなどを念頭に置いている。
安定的な電力供給を確保するためにも既存の電力会社に全面的に依存するのではなく、災害時でも電力供給を途絶えにくくする「分散型の電源」に転換する。地区内の電力供給を安定させ、企業誘致や土地の有効利用に弾みをつける狙いもある。自家発電の設備利用率を上げることで電力の供給力も強化し、電気料金の引き下げも探る。
横浜市は既に経済産業省に事業計画を提出している。15年までに出資比率や発電量など具体的な事業計画を策定する。新会社には自家発電装置を保有する三菱地所のほか、石油卸売会社や大手商社などの出資を想定している。将来的には電力の供給地域の拡大も念頭に置いている。
自前の送電網で電力を供給する「特定電気事業者」は現在、住友共同電力(愛媛県)や六本木エネルギーサービス(東京都港区)など全国で4社に限られている。