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必見!智慧得(502)「油の吸収:2題/ライスとペンシルバニア大&カタロニアとカリフォルニア大」

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 油の吸収:2題 いろいろと利用できそうな技術ですね!

油の吸収性能が極めて高いCNTスポンジ、米研究チームが開発。ボロン添加によって三次元ネットワーク構造形成 « SJN Blog 再生可能エネルギー最新情報

今回作製された1/2インチ大の四角いCNTスポンジ (Image courtesy of Rice University)

米ライス大学とペンシルバニア州立大学の研究チームが、カーボンナノチューブ(CNT)に微量のボロンを添加すると、油の吸収性能が極めて高いスポンジになることを発見。スポンジで吸収した油は、後から回収したり燃焼させることができ、スポンジの再利用も可能であるとしています。材料は1ステップで作製することができ、スポンジとしての用途に限らず幅広い分野での応用が考えられそうです。

今回の研究で明らかになったのは、ボロンが入り込むことによってCNTがその成長過程で折れ曲がり、また共有結合の形成が促されることによって、スポンジのロバスト性が高まるということです。論文は、Scientific Reportsにオープンアクセスで公開されています。

論文の筆頭執筆者 Daniel Hashim氏によると、スポンジ塊は、超疎水性と親油性を合わせ持っているとのこと。空孔率が高いため、スポンジの成分の99%は空気。導電性があり、磁石を使って動きを容易に操作できるといいます。

Nanotube sponge soaks up oil

動画は、Hashim氏が、使用済みモータ油が浮いた水の上にスポンジを落とす様子です。スポンジが油を吸収した後に、マッチで火をつけて吸い取った油を燃やすと、スポンジはもう1度水の中で油を吸収できるようになります。スポンジのロバスト性が高いため、繰り返し利用することができ、苛酷な使用にも耐えるといいます。Hashim氏によると、実験室で1万回の圧縮負荷をかけた後でもサンプルの弾性が維持されていたとのこと。

今回作製されたサンプルは、数十億のCNTからなる1/2インチ大の四角いブロックですが、もっと大きなブロックにスケールアップすることもできるとHashim氏は言います。スポンジの密度が極めて低いため、体積が大きくなっても利用可能。油の吸収性の高さも、この超低密度という特性によるものです。論文発表したスポンジでは、自重の100倍の油を吸収できるとしています。

研究を主導するライス大 機械工学・材料科学・化学教授の Pulickel Ajayan氏は、「化学的気相成長法(CVD)によって基板上に多層CNTを成長させると、通常は隣り合うCNT同士が互いに接触せずに真っ直ぐ自立する」と説明。しかし、ボロン添加によって生じる欠陥には、原子レベルでCNT同士の結合を誘導する働きがあり、これが複雑に絡み合ったCNTのネットワーク構造を作り出すのだといいます。

油吸収性のCNTスポンジの作製については先行研究がありますが、こうにような固体の状態でCNT間の共有結合が実証されたのは今回が初めてとのこと。

共有結合を持つ多層CNTの画像 (Image courtesy of Scientific Reports / doi:10.1038/srep00363)

「CNTの成長に伴って相互作用が生じており、CVD炉から出したときには固体状になっている」とAjayan氏。「従来は成長させたCNTを後処理して固体状にしてきたが、きちんとした共有結合は見られなかった。今回の手法の利点は、共有結合を持つCNTが成長プロセスで直接形成されることであり、密接に絡み合った多孔性のネットワークが表れることである」と話します。

また、Ajayan氏は「ナノスケールのブロックを作ることは簡単でも、それをマクロスケールに拡張することは難しい」と指摘。これを実現するには、位相欠陥を作り出すなんらかの上手い方法によってCNT同士を相互につなぐか、あるいはそれらを溶接してしまわなければならないとします。

共同論文執筆者であるペンシルバニア州立大の物理学・材料科学・工学教授 Mauricio Terrones氏によれば、研究チームの目標は、CNTの三次元ネットワークを作る方法を見つけることだったといいます。こうした三次元ネットワークはマクロスケール構造を形成し、石油流出による汚染浄化などに使用できる大きさのスポンジ塊になると考えられたからです。

研究の結果分かったのは、ボロン(周期表上で炭素の隣にある元素)の添加がトリガーとなってCNTの相互接続が促されるということでした。ボロンを添加するために、研究チームは非常な高温条件を使用。CNTの構造にボロンを編み込んだといいます。

この材料は、環境分野への応用に高い期待が持たれています。Ajayan氏によれば、石油流出に対応するにはCNTスポンジで大きなシートを作ったり、シート同士を溶接方法を見つける必要があるとのこと。これについては現在、Hashim氏が研究を続けています。

「石油流出の復旧や環境浄化は、新規ナノチューブ材料の応用の一例にすぎない」とTerrones氏。高効率で軽量な電池材料、骨・組織再生用の足場材、CNTスポンジにポリマーを含浸させた自動車・航空機向けの剛健で軽量な複合材料などへの応用が考えられるとします。Hashim氏も、ナノスポンジがろ過膜として機能する可能性があると示唆しています。

(発表資料)http://bit.ly/HPBIlr

「マイクロ潜水艦」で汚染水から油を回収除去 ― ICNらがナノマシン開発 « SJN Blog 再生可能エネルギー最新情報

マイクロ潜水艦の移動速度と油回収量の関係。aは空荷の状態で速度26μm/秒。dは最大量を回収したときで速度11μm/秒程度となる (Image courtesy of ACS Publications)

カタロニア・ナノテクノロジー研究所(ICN)とカリフォルニア大学サンディエゴ校の共同研究チームが、原油流出などで汚染された水から油を回収除去する能力のあるナノマシンを開発したとのこと。

「マイクロ潜水艦」と呼ばれるこのマシンは、チューブ状のマイクロエンジンに極めて疎水性の高い膜を1層コーティングしたもので、この疎水層に油が吸着する仕組み。

潜水艦の推進力には、チューブ内で過酸化水素が酸化するときに発生する泡を用いており、最大で毎秒26μmの速度で移動。自身の体積の10倍の油を輸送可能であり、最大容量まで油を収容したときの移動速度は毎秒11μm程度に下がるといいます。

研究チームは、この潜水艦を大きく分けて3つの手順で作製したとしています。第1段階では、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)と白金の二重層をポリカーボネートのテンプレートに電気めっき。

第2段階では、ニッケルと金の二重層を第1段階で形成した層の上に成膜します。これには電子線リソグラフィが用いられます。この時点で、とりあえず潜水艦の形になりますが、このままでは石油の輸送には使えません。

最終段階として、ドデカンチオールの自己組織化した単分子膜(SAM: self- assembled monolayer)で潜水艦を覆います。このSAMが持っている極めて高い疎水性によって、水と油の界面において油を捕捉できるようになるのだといいます。

研究チームは、潜水艦の推進速度と輸送する油の量の組み合わせがどのような影響を及ぼすかを調査。その結果、鎖の長さの異なる他のアルカンチオール類と比べて、ドデカンチオールで性能が最適化されることが分かったとします。

今回の成果は、汚染水浄化に向けた新デバイス、新手法の開発へつながるものと考えられます。特に、原油流出などによる海洋環境汚染対策技術への応用が期待されるところです。

油の液滴を回収するマイクロ潜水艦 (Image courtesy of ACS Publications)

(発表資料)http://bit.ly/JrYuhI


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