「第5回東山魁夷記念 日経日本画大賞」の大賞受賞作が決まりました。本賞は次代の美術界を担う新進気鋭の日本画家を表彰する制度として2002年に創設しました。
5月18日に授賞式を開催、5月19日から大賞・選考委員特別賞を含む入選作30点による「日経日本画大賞展」を開きます。
「シラ―谷の者 野の者」
鴻池朋子
TOMOKO KONOIKE | 鴻池朋子 | Artist | PUBLIC-IMAGE.ORG
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↑(《流・転・生》2009年)
マグマのような赤や、鳥の羽のような白がうねる画面に、巨大な花々が咲き・しおれ・再び芽吹くさまが描かれています。赤色には、濱田さんが小学校高学年まで育ったインドネシアの赤土の大地がオーバーラップされているとのこと。花は大地を覆う生命体の象徴で、長い時の流れの中で生死を繰り返す命の根源がテーマとなっています。
↑作品部分
愛知県立旭丘高校の美術科在学中から日本画の画材を用いているのも、土や砂の触感に近いという理由から。絵に近づいて見ると、ざらざらとした岩絵具のほか、貝殻を砕いて作る胡粉(ごふん)、金・銀・赤・青の金属箔などの材質感も豊かです。
大作ではありますが、洋画家のように大キャンヴァスにグイグイ描くというのではなく、幅70?のパネルを床に寝かせての制作。アトリエでは作品の全貌は見えません。細かな作業で蓄積されたエネルギーが、展示会場で爆発するのかも。
血潮のような花が画面でうねる。赤や金の色彩は強烈だ。壁面を覆う長大な濱田樹里の最新作「流・転・生I・II」(09年)
「流れを描くことで死生観を表したかった。花は命あるものの象徴でもあるのです」