ナノばんそうこう 早大 薄さ10万分の1、臓器用に期待 :日本経済新聞
早稲田大学先進理工学部の武岡真司教授の研究室が開発した薄さがナノ単位の「ばんそうこう」が注目を集めている。名称「ナノプラスター」は5年前に開発。キトサンとアルギン酸が原料の親水性のシートと、ポリ乳酸でできた疎水性のシートの2種類があり、薄さは一般的なばんそうこうの10万分の1の約60ナノ(ナノは10億分の1)メートル。
早稲田大学の武岡真司教授の研究室が開発したナノプラスター
手術用の糸に使われる材料で、時間がたてば人体に吸収され、膜自体が皮膚とぴったりとくっつくため接着剤がなくても貼ることができる。外用薬などへの応用が検討されている。
また傷ついた臓器を保護するシートとしての活用も期待されている。従来の製品は厚さが数ミリ程度ある上、ほかの臓器と癒着しやすいことが課題だった。これに対し、ナノばんそうこうは癒着を防いだり、アレルギー反応を抑えたりする効果が期待できるという。
きっかけは一人の学生の失敗。当時研究室ではポリ乳酸を原料に直径2マイクロ(マイクロは100万分の1)メートルの人工血小板を開発していたが、何度も血小板造りに失敗する学生がいた。武岡教授はその学生に「もっと大きなサイズで造ってみたら」とアドバイスしてみた。
数日後、学生は予想を超える1センチ角の大きさの人工血小板を造り上げていたという。これまで見たこともないシート状の人工血小板に「最初は絶句してしまった」。これがナノばんそうこうの原型となった。
課題は「薄すぎて見えないこと」。治療効果を確かめようにも、はがれていないかどうかもわかりづらく、医療用品としての審査を通るための壁になっている。武岡教授は「なんとしてもこの課題を克服し製品化に結びつけたい」と話している。
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