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メモ「BMW、トヨタと提携拡大 欲しかったHV技術」

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BMW、トヨタと提携拡大 欲しかったHV技術、2000万台市場へ出遅れ焦り :日本経済新聞

 自動車大手の独BMWとトヨタ自動車が燃料電池車など環境技術の相互供与で包括提携した。BMWといえば欧州の高級車ブランド代表として独自技術にこだわり続けた老舗。それが今回、先端の自社技術を差し出すうえ、お家芸でもあるスポーツ車の共同開発にも踏み込んだ。実はどうしても欲しいものがあった。日本のハイブリッド車(HV)技術だ。

 

 

提携拡大を発表する豊田社長(左)とBMWのライトホファー社長(6月)  

提携拡大を発表する豊田社長(左)とBMWのライトホファー社長(6月)

 BMWとトヨタが提携を発表したのは昨年12月。トヨタが欧州で販売する新車にBMWのディーゼルエンジンを使うとの内容だった。だがこの段階では水面下で進もうとしていた提携の「本丸」は明らかになっていなかった。それがトヨタからのHV技術供与だ。

 

ホンダとも接触

 

 BMWは当初からこの分野の日本の技術を狙っていたようだ。関係者によれば、トヨタと並行してホンダとも接触していたという。トヨタは本当にHV技術を出すだろうか。そうした疑心暗鬼がBMWには強かった。

 実は、HVは欧州で「エンジンと電気モーターを組み合わせただけの退屈な技術」と言われてきた技術だった。低燃費エンジンの主役はもっぱらディーゼルエンジンであり、そうでなければ電気自動車(EV)が次世代技術と考えられた。実際、ドイツなど主要国はEVの開発に多額の補助金を付け、BMWも4億ユーロ(約390億円)を投じ、来年から量産化することになっている。

 だがドイツの金融機関やシンクタンクが最近発表したシナリオは意外な見通しを示していた。2025年の世界市場でEVの比率はわずか5%。逆にプラグ・イン・ハイブリッド(PHV)などを含むHVは20%に達し、欧州勢が得意なディーゼルエンジンのシェアを奪うとの試算だった。

 長期的に見ればEVは環境車の本命となる。だが現状では割高なコストや充電時間の長さを考えるとHVの方に分があるのは事実だった。20年ごろの世界の年間新車需要は約1億台。そのうち現在の欧州新車市場を上回る2千万台もの需要がHVで生まれるわけだ。

 BMWのノーベルト・ライトホファー社長は焦っていたという。むろん手をこまぬいていたわけではない。過去には米ゼネラル・モーターズ(GM)や独ダイムラーと共同でHV開発を進めたが、どちらのプロジェクトも日本勢のHV技術には届かなかった。

 世界再編のあおりも受けた。欧州メーカーのなかで比較的HVの開発力がある仏プジョーシトロエングループ(PSA)とは昨年、HV部品開発の合弁事業を立ち上げた。だがPSAは今春、GMと資本提携し、白紙に。欧州金融機関の間では「BMWはHV開発で最も遅れた高級車メーカー」(独メッツラー銀行)との評価も聞かれ始め、ライトホファー社長は頭を抱えた。そんなとき、狙いを定めたのがトヨタだった。

 

最新技術さらす

 

 「スポーツ車はどうでしょう」。両社にとってはメンツもかかった交渉。足踏みすることもあったが、最後はBMWが新提案を持ちかけた。トヨタ開発陣は驚いた。BMWが他社と車をつくるのは同社の約100年の歴史を振り返っても例がない。しかもスポーツ車は最新の技術ノウハウの塊で、BMWにとっては最大の譲歩といえた。

 トヨタはBMWの本気度を確信した。「お互いに考え方やカルチャーの共通性を発見し、わずか半年で提携を拡大できた」。6月29日、独ミュンヘンで開いた記者会見で提携を説明するトヨタの豊田章男社長の隣には、終始にこやかなライトホファー社長の姿があった。環境車戦略で致命的な出遅れを回避できた安堵の思いが見て取れた。

(フランクフルト=下田英一郎、西岡貴司)

BMW i. Born Electric.


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