「人工光合成 その2」 です。 パナソニックのニュースリリースが出ましたので掲載です。効率はこんなものかという向きもありますが、植物並みということは凄いことなのです。他のネイチャーテクニックではとても及ばないケースが殆どです。ナノテクのレベルで漸く良く似た現象が出てくるのです。2015年にもパネル状の実用品を出して来るとのことであり、多くを期待したいと思います。また、国家プロジェクトとしての「人工光合成」チームと巧く融合していければ、なお幸いと思います。国家プロジェクトとして、100名程の科学者や国家予算をつぎ込めば、ここまで出来れば、花開く実用化は可能と思います。そうなると、本当に資源の根本的な価値観が異なって来ます。全く別世界が広がります。大いに期待したいと思います。
SJN @SJN_Newsパナソニック、窒化物半導体の光電極による人工光合成システムを開発。効率0.2%で有機物(ギ酸)生成 (発表資料)bit.ly/N63VTipic.twitter.com/jzG4uojw
窒化物半導体の光電極による人工光合成システムを開発 | プレスリリース | ニュース | パナソニック企業情報 | Panasonic
【要旨】パナソニック株式会社は、世界最高の太陽エネルギー変換効率(以下、効率)[1]で、太陽光のみで二酸化炭素と水から有機物を生成する、人工光合成[2]システムを開発しました。
本システムは太陽光を照射する光電極に窒化物半導体[3]を使用し、有機物を生成する電極に金属触媒[4]を使用することで、効率0.2%(主生成物:ギ酸[5])を実現しています。この効率は、バイオマス[6]で使用される植物と同程度であり、植物に代わって、本システムにより、これまで不要なものとして排出されていた二酸化炭素を原料として、有用な有機物(化学原料、燃料など)を生成することが可能となりました。
【効果】地球温暖化および化石燃料枯渇の問題を同時に解決できる夢の技術として、太陽光のみを使って人工的に二酸化炭素を吸収し資源化する、人工光合成の研究に注目が集まっています。本開発により、植物と同等の効率で二酸化炭素を吸収し有機物を生成する、人工光合成システムが実現し、来るべき循環型エネルギー社会に向け大きく前進しました。
【特長】本開発は以下の特長を有しています。
バイオマスで使用される植物と同等(0.2%)の効率を実現。しかも生成される有機物の量は太陽光量に比例して増加。 金属触媒や反応環境を最適化することにより、生成される有機物の種類を選択可能。 光合成システムを無機材料のみで構成することに成功し、単純な構造を実現。 【内容】本開発は以下の新規要素技術により実現しました。
(1)窒化物半導体を用いて、太陽光から二酸化炭素の反応に必要なエネルギー状態を作り出す光電極技術 (2)有機物を生成する電極において、有機物を効率よく、しかも選択的に生成することを可能とする無機材料による触媒技術 【従来例】これまでは、太陽光から二酸化炭素が反応するエネルギーを得るために、異なる材料の光電極を複数組み合わせて使用しなければならず、構造が複雑でした。また、二酸化炭素の反応には特殊な錯体[7]が使われていますが、一般的に照射光の強度を増やしても反応電流量が追随せず、太陽光の強度を十分に利用できないという課題がありました。
【備考】本開発の一部は19th International Conference on the Conversion and Storage of Solar Energy(米国カリフォルニア州パサディナで現地時間2012年7月29日から8月3日に開催)で発表いたします。
【特許】国内 18件、海外 11件(出願中含む)
【お問い合わせ先】 コーポレートR&D戦略室 広報担当E-mail:crdpress@ml.jp.panasonic.com 【内容の詳細説明】(1)窒化物半導体を用いて、太陽光から二酸化炭素の反応に必要なエネルギー状態を作り出す、光電極技術
二酸化炭素を反応させるには、光で電荷を高いエネルギー状態にまで持ち上げることが必要です。我々は、LED照明などに使われている窒化物半導体で、電荷を二酸化炭素の反応に必要なエネルギー状態まで高めることができることを初めて見出しました。さらに、半導体プロセスを駆使して薄膜を積層した、電荷分離構造を設けることで、高い変換効率を実現しました。
(2)有機物を生成する電極において、有機物を効率よく、しかも選択的に生成することを可能とする無機材料による触媒技術
太陽光のエネルギー利用率を高めるためには、照射光量に素早く追随できる、早い反応速度を実現することが必要です。窒化物半導体で生成した高エネルギーの電荷の移動を妨げないよう、有機物を生成する電極に金属触媒を用いました。
こうした全て無機材料で構成される電極により、二酸化炭素の反応速度を高めることができます。さらに、金属触媒の材料を設計することにより、生成する有機物の種類を変えることも可能です。
開発した人工光合成システムの構成図
開発した人工光合成システムの動作写真[写真左:光電極 右:金属触媒]
(金属触媒容器中の渦状の変色部が二酸化炭素の反応を示している)