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必見!智慧得(664)「人工光合成、植物高効率/パナソニック」その2

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 「人工光合成 その2」 です。 パナソニックのニュースリリースが出ましたので掲載です。効率はこんなものかという向きもありますが、植物並みということは凄いことなのです。他のネイチャーテクニックではとても及ばないケースが殆どです。ナノテクのレベルで漸く良く似た現象が出てくるのです。2015年にもパネル状の実用品を出して来るとのことであり、多くを期待したいと思います。また、国家プロジェクトとしての「人工光合成」チームと巧く融合していければ、なお幸いと思います。国家プロジェクトとして、100名程の科学者や国家予算をつぎ込めば、ここまで出来れば、花開く実用化は可能と思います。そうなると、本当に資源の根本的な価値観が異なって来ます。全く別世界が広がります。大いに期待したいと思います。

パナソニック、窒化物半導体の光電極による人工光合成システムを開発。効率0.2%で有機物(ギ酸)生成 (発表資料)pic.twitter.com/jzG4uojw

 

窒化物半導体の光電極による人工光合成システムを開発 | プレスリリース | ニュース | パナソニック企業情報 | Panasonic

【要旨】

パナソニック株式会社は、世界最高の太陽エネルギー変換効率(以下、効率)[1]で、太陽光のみで二酸化炭素と水から有機物を生成する、人工光合成[2]システムを開発しました。

本システムは太陽光を照射する光電極に窒化物半導体[3]を使用し、有機物を生成する電極に金属触媒[4]を使用することで、効率0.2%(主生成物:ギ酸[5])を実現しています。この効率は、バイオマス[6]で使用される植物と同程度であり、植物に代わって、本システムにより、これまで不要なものとして排出されていた二酸化炭素を原料として、有用な有機物(化学原料、燃料など)を生成することが可能となりました。

【効果】

地球温暖化および化石燃料枯渇の問題を同時に解決できる夢の技術として、太陽光のみを使って人工的に二酸化炭素を吸収し資源化する、人工光合成の研究に注目が集まっています。本開発により、植物と同等の効率で二酸化炭素を吸収し有機物を生成する、人工光合成システムが実現し、来るべき循環型エネルギー社会に向け大きく前進しました。

【特長】

本開発は以下の特長を有しています。

バイオマスで使用される植物と同等(0.2%)の効率を実現。しかも生成される有機物の量は太陽光量に比例して増加。 金属触媒や反応環境を最適化することにより、生成される有機物の種類を選択可能。 光合成システムを無機材料のみで構成することに成功し、単純な構造を実現。 【内容】

本開発は以下の新規要素技術により実現しました。

(1)窒化物半導体を用いて、太陽光から二酸化炭素の反応に必要なエネルギー状態を作り出す光電極技術 (2)有機物を生成する電極において、有機物を効率よく、しかも選択的に生成することを可能とする無機材料による触媒技術 【従来例】

これまでは、太陽光から二酸化炭素が反応するエネルギーを得るために、異なる材料の光電極を複数組み合わせて使用しなければならず、構造が複雑でした。また、二酸化炭素の反応には特殊な錯体[7]が使われていますが、一般的に照射光の強度を増やしても反応電流量が追随せず、太陽光の強度を十分に利用できないという課題がありました。

【備考】

本開発の一部は19th International Conference on the Conversion and Storage of Solar Energy(米国カリフォルニア州パサディナで現地時間2012年7月29日から8月3日に開催)で発表いたします。

【特許】

国内 18件、海外 11件(出願中含む)

【お問い合わせ先】 コーポレートR&D戦略室 広報担当E-mail:crdpress@ml.jp.panasonic.com 【内容の詳細説明】

(1)窒化物半導体を用いて、太陽光から二酸化炭素の反応に必要なエネルギー状態を作り出す、光電極技術
二酸化炭素を反応させるには、光で電荷を高いエネルギー状態にまで持ち上げることが必要です。我々は、LED照明などに使われている窒化物半導体で、電荷を二酸化炭素の反応に必要なエネルギー状態まで高めることができることを初めて見出しました。さらに、半導体プロセスを駆使して薄膜を積層した、電荷分離構造を設けることで、高い変換効率を実現しました。

(2)有機物を生成する電極において、有機物を効率よく、しかも選択的に生成することを可能とする無機材料による触媒技術
太陽光のエネルギー利用率を高めるためには、照射光量に素早く追随できる、早い反応速度を実現することが必要です。窒化物半導体で生成した高エネルギーの電荷の移動を妨げないよう、有機物を生成する電極に金属触媒を用いました。
こうした全て無機材料で構成される電極により、二酸化炭素の反応速度を高めることができます。さらに、金属触媒の材料を設計することにより、生成する有機物の種類を変えることも可能です。

【用語の説明】 [1] 太陽エネルギー変換効率照射された太陽エネルギーを分母に、生成された物質のもつエネルギーを分子にして求めた効率。植物では、一年で成長した重量および炭素の持つ燃焼エネルギーから求められています。[2] 人工光合成植物の光合成と同様の反応を人工的に行う技術のこと。植物は太陽光を使って水と空気中の二酸化炭素から酸素と炭水化物を生成しています。これを模して、太陽光を使って水と二酸化炭素から酸素および、ギ酸、炭化水素、アルコールなどの有機物を生成することを指します。[3] 窒化物半導体窒化ガリウムに代表される材料で、高い光−電子変換効率を有することから、LED照明などに使われています。また、電気特性の制御にも高い可能性を持つことから、省エネ電子デバイスへの応用に向けた開発も精力的に行われています。[4] 触媒触媒とは、特定の化学反応を促進する物質で、自身は反応の前後で変化しないものをいいます。また、反応を早くするだけでなく、複数の反応が起こりうる状態において、目的とする物質を選択的に得るために触媒が用いられています。[5] ギ酸最も簡単な構造のカルボン酸で、工業的に大量に製造されており、防腐剤や抗菌剤として、あるいは香料や染料の化学原料として利用されています。最近はギ酸から高効率に水素を取り出す触媒も開発されており、液体のギ酸でエネルギーを貯蔵し、取り出した水素で発電するギ酸燃料電池も検討されています。[6] バイオマスもともとの語源は生物(bio)の量(mass)のことですが、今日では再生可能な、生物由来の有機エネルギーや資源(化石燃料は除く)をいうことが多く、基本的には1年から数十年で再生産できる植物を起源とするものを指します。バイオマスエネルギーは二酸化炭素の発生が少ない自然エネルギーとされ、化石燃料に代わるエネルギー源として開発されています。[7] 錯体錯体とは、金属と、配位子と呼ばれる炭素、窒素などからなる非金属の原子が結合した構造を持つ化合物の総称で、金属錯体とも言います。錯体は、その構造に特徴的な性質を示し、特に有機化学の分野では、化学反応を制御または促進させる触媒として非常によく用いられています。

開発した人工光合成システムの構成図

開発した人工光合成システムの動作写真[写真左:光電極 右:金属触媒]
(金属触媒容器中の渦状の変色部が二酸化炭素の反応を示している)


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