CO2対応は大切であるが、ドイツは半分以上を石炭で賄っており、日本だけがいい子になり過ぎる事は無い。それよりも原発の方が恐いと考えても良いはず。排気に対してはガスの高度利用で科学的に低減させる方法を早急に開発すべき。過去の計画中断には、環境アセスもあるも原発側よりの圧力も影響した可能性を強く感じるのは、私だけか? 電気料金も燃料代はコストでいくらでも上乗せ出来る構造であり、燃料コストよりも燃料確保優先で他国よりも何倍も高く購入していた現状がある。選択肢を増加させて、全ての燃料価格交渉力をアップせねばならない。価格が天然ガスの1/4…天然ガスはシェールガス等で半減するはずとおもうが、それでもその半分という事。先日他国への大プラントを輸出決定しており、石炭火力発電でも最先端技術を持っているはず。排気ガス対応出来れば、石炭の低品質でも発電出来る技術は既にあるので、輸出出来る武器の一つとなるかもしれない。蓋をする必要はもはや無くなり、どんどん進めて行くべきと思う。
石炭火力の新増設再開 政府検討、環境評価見直し :日本経済新聞
政府は環境への負荷の大きさから難しくなっていた石炭火力発電所の新増設を認める検討に入る。年内にも発電所の環境影響評価(アセスメント)を見直し、どのような場合に建設を認めるかをわかりやすくする。アセスの審査期間も短くし、民間事業者の投資を促す。東京電力は当面、原子力に代わる電源として石炭火力を新設する方針で、来年にも新たな基準の下でアセスを申請する見通しだ。
経済産業省と環境省が近く発電所のアセス見直しで協議の場をつくる。年内にもアセスの指針の大枠を固め、来年中の実施をめざす。
具体的にはどのような環境性能の設備ならば認められるのか、二酸化炭素(CO2)排出量の取引でカバーできるのかといった点を明確にする。審査を通った過去の事例も示し、事業者の参考にしてもらう。ただ、環境省は石炭火力の容認に慎重な姿勢で、議論は曲折も予想される。
石炭火力の新増設では06年に東芝やオリックスが山口県で、10年には三菱商事系の新電力が福島県でそれぞれ計画を中止した。CO2の排出が液化天然ガス(LNG)火力の1.5〜2倍と多いため、アセスの審査で「不合格」となった。
09年に化学メーカーのトクヤマが増設を認められて以降、アセスを終えた石炭火力はない。民間事業者は「途中で事業を止められるリスクが高い」とみており、新増設が難しくなっていた。
石炭火力は燃料費が1キロワット時あたり約4円と石油の4分の1、LNGの半分以下と安い。このため夜間も運転する「基礎電源」として活用しやすい。先にまとめたエネルギー・環境戦略でも「石炭火力は基礎電源としてより一層重要な役割を果たす」としていた。
実質国有化中の東電は19〜21年度の稼働をめざし、計3基・260万キロワットの火力発電所を建設する。建設では外部事業者も含めて今年度から入札にかけるが、コストが安い石炭火力になりそうだ。石炭火力が新増設されると電気料金の上昇幅を抑え、日本経済にも一定の好影響が期待できる。
一方、アセス見直しでは審査期間の短縮も焦点となる。細野豪志環境相は火力発電所の更新では期間を約3年から1年強にすると表明したが、協議では火力の新増設も条件次第で2年程度にすることを検討する。風力発電所や地熱発電所のアセスも最短で1年半程度にして、再生可能エネルギーを後押しする。
審査内容も簡素にする。火力発電の更新投資では環境にどんな影響があるかの調査を事実上、省略することを検討。石油火力から天然ガス火力への転換などを「更新投資」に含めることも課題となる。更新投資の際の旧設備の撤去工事もやりやすくする方向だ。
日立、ポーランドで石炭火力発電所を受注 (2012/9/23付)
石炭火力、CO2を2割削減 日立・東北大が新技術 (2012/8/3付)
日立製作所と東北大学は石炭火力発電所の二酸化炭素(CO2)排出を2割削減できる新技術を開発した。国内で主力の液化天然ガス(LNG)火力と比べ、石炭火力は燃料費が半分程度と安い魅力があるが、CO2排出の多さが難点だった。日立などは2020年にも実用化し、環境面と低コストを両立する新型の発電設備として、石炭火力の設置を増やす新興国を中心に売り込む。
石炭火力は石炭を燃焼した熱で蒸気を発生し、その蒸気でタービンを回して発電する。燃焼温度を上げると効率良く石炭を燃やせるようになり、発電効率やCO2の排出を減らせる。最先端の設備でもセ氏600度までしか耐えられなかったが、日立などは素材の改良でセ氏800度の高温運転に耐えられる新技術を開発した。
新たにコバルトなどの金属を合金原料に採用し、耐熱性を高めた。開発にあたっては東北大が持つ金属化合物に関する技術を導入。ボイラーチューブやタービンなど、高温の蒸気が通過し、耐熱性が要求される部分に使う。セ氏800度に耐えられる蒸気タービン型プラントができれば世界初となる。
新技術を使った石炭火力プラントの発電効率(発電分から発電所で使う分を差し引いた送電端ベース)は50%で、従来の約40%から向上する。発電量1キロワット時あたりのCO2排出量は約700グラムと2割減る。
石油火力のCO2排出量は約740グラムのため、800度の高温石炭火力プラントが実現すれば逆転する。約600グラムの蒸気タービン型LNG火力のCO2排出量にも近づくことになる。
世界の火力発電能力は30年に08年比6割増の約50億キロワットに拡大する見通し。原発再稼働問題で火力発電の位置付けが重くなっているが、日本では今後もLNG火力が中心になる見通しだ。
ただ、石炭産出量の豊富な米国や中国、インドでは石炭火力の需要が今後も伸びる。日立はCO2回収設備など得意とする関連設備と今回開発した耐熱素材を組み合わせることも検討。環境面や効率面でライバル企業に対する競争力を高め、新興国などで増える受注活動に備える。
石炭火力の発電効率最高に (2011/11/28付)
経済産業省は中国電力やJパワーと共同で、世界最高レベルの発電効率をもつ新型の石炭火力発電所の開発に乗り出す。石炭をガス化して発電する最新鋭の石炭火力に、燃料電池を組み合わせるのが特徴。発電効率は通常の石炭火力の最高約42%に対し、新型は55%以上で、二酸化炭素(CO2)の排出量が減る。来年度から広島県内に試験プラントを建設し、2020年から国内初の実証試験開始を目指す。
東京電力福島第1原発事故の影響で原発への依存度が中長期的に低下するエネルギー政策の見直しをにらみ、開発を急ぐ。発電効率は燃料エネルギーの電気への変換率で、高いほどCO2排出量は減る。石炭火力の発電効率を高めることで地球温暖化対策とエネルギー安定供給を両立させる狙いがある。
開発するのは「石炭ガス化燃料電池複合発電(IGFC)」。まず石炭を蒸し焼きにしてガスを発生させ、ガスから取りだした水素を使い燃料電池で発電する。さらに発生したガスでガスタービンを回すとともに、タービンの熱で生じた蒸気で蒸気タービンを回す3段階の発電方式だ。
中国電力の大崎発電所(広島県大崎上島町)に、中国電とJパワーの折半出資子会社・大崎クールジェン(広島市)が来年度から出力17万キロワット級の試験プラントを建設する。総事業費は最終的に1000億円以上に達する見込みで、3分の1を経産省が補助する予定。同省はまず、来年度予算の概算要求に設計などの費用として13.7億円を盛り込んだ。
通常の石炭火力は、石炭を燃やして生じた蒸気でタービンを回す1段階方式で、発電効率は最高でも42%程度だ。石炭をガス化し、ガスと蒸気の2段階で発電する「石炭ガス化複合発電(IGCC)」でも46〜48%。「IGFC」はガスに含まれる水素も発電に活用するので55%以上を見込める。
日本の発電電力量に占める石炭火力の割合は約25%。石炭火力はCO2排出量が多いという欠点があり、液化天然ガス(LNG)火力の約1.6倍、石油火力の約1.3倍に達する。政府が昨年まとめたエネルギー基本計画では、30年をメドに原子力などの比率を高め、石炭火力への依存度を約1割まで引き下げていく方向だった。
ただ、事故の影響で原発新設が難しくなっており、安価で燃料を確保しやすい石炭火力の重要度は従来計画より高まるとみられる。
IGFCは、現在実用化されている最も高性能の石炭火力発電と比べてもCO2排出量を約3割削減できる見込み。