「今、何時ですか?」を意味する“What time is it now?”。こちらも初歩的な英語ですが、「Nowが付いていることによって「今すぐ知りたんだ!」と強く主張している感じがする」とジェイミーさん。“Do you have a time?”のほうが丁寧とのこと。また、「お名前は?」=“What's your name?”は、なんと警察の尋問かのような威圧感を与えてしまうのだとか。
写真左からジョン:アメリカのメイン州出身。日本在住4年目。上智大学に通っている。ビール好き。マルコム:ワシントンDC出身。日本には合計3回の留学経験がある。格闘技好き。ジョン:丁寧な言い方だと“May I have your name?”かな?
マルコム:いちばんいいのは、まず自分が名乗ることですね。
ジェイミー:“I'm Jamie, and you are?”とかね。
セイン:警察になることがあれば、“What's your name?”でいいけど、なかなかないよね(笑)。
「相手が名乗ったら、自分も名前を言う」のは万国共通なようです。
■日常的に使う「間違った英語」って? ケヴィン:カリフォルニアの出身。カリフォルニア大学サンタクルーズ校で環境学の学位を修得。日本通。冒頭でも紹介した“Don’t mind.”。ジョンさんによると「完全に和製英語」で、意味合いとしては“Don't worry.”と言ったほうがいいのだそう。一方で“Fight.”は、喧嘩をしている人への声援のように聞こえるため、“Don't give up!”や“Keep going!”とするのが正解です。また、「痩せる」という意味で定着した感のある「Diet」も本来は「食事制限」という意味。だから、太るような食生活をしなくてはならないお相撲さんも、実はダイエット中と言えるのです。
このように、間違った英語の中には、もはや日常に根付いてしまったものも。街中の看板やポスターでも、「ちょっとヘンな英語」は数多く存在します。
セイン:例えば、川の近くに立てられている“Carefully fall into the river.”という看板。「川に落ちないように気をつけて」という意味だと思うのだけど、ネイティブには「慎重に川に落ちてください」に見える。
マルコム:バンジージャンプしちゃダメ、という意味ならいいんだけどね(笑)。
セイン:それから、駅にある“Ask the station employee about the trouble.”の貼り紙は、日本語だと「問題が発生したら駅員に聞いてください」という意味なんだけど……。
マルコム:「駅員がすごい困ってるから、ちょっと話してみ?」という風に聞こえますね。
セイン:リンゴジュースのパックに“Used apple juice from Aomori.”とあるのは、どう聞こえる?
ジェイミー:誰かが飲んだあとのジュースです、みたいな意味だね(笑)。
こういった「間違いだと気づいてもらえる間違い」はまだいいですが、間違った意味のまま伝わってしまうと大変なことに。『日本人のちょっとヘンな英語』の読者アンケートでは、「私は彼と親しいです」の意味で“I’m intimate with him.”と言ってしまい、プチパニックに陥ったエピソードが寄せられています。その理由とは?
ロドリーゴ:メキシコとアメリカのハーフ。日本在住5年目。彼は"Face Mask"を「パック」と日本女性が言うのに違和感を感じたと言う。 セイン:「intimate」は、辞書では「親しい」と書いてあるんですが、ネイティブには「性的関係にある」という意味に聞こえるんです。
ロドリーゴ:そういえば以前、初対面に近い人に“Next time,I see you I will touch you.”と言われて驚いたことがある。「見かけたら肩でも叩いて知らせるよ」という意味だとは思うんだけど……。
セイン:実際に肩を叩くのは大丈夫だけど、「Touch」と言われると「セクハラかな?」と思っちゃうね。
知らず知らずのうちに性的な発言をしている……なんてことは避けたいものです。
●英語をマスターするためには、間違えてもいい!拡大画像表示
ここまで紹介した英語だけでも、「え、そう聞こえるの!?」と驚いた人は多いはず。「言葉は生き物」とはよく言ったものですが、言語を使いこなすのは難しいもの。間違いたくないと身構えすぎると英語を話すのが怖くなってしまいますが、セインさんは「だいたいは通じるので大丈夫」とキッパリ。
セイン:状況に応じて「ああ、こういうことだろうな」と解釈しますし、できないのは当たり前だから恥ずかしく思わなくてもいい。英語圏の人だって、日本人が英語でコミュニケーションを取ろうとしてくれたら「何だ、この馬鹿」なんて思わない。間違えてもいいから、どんどん話しましょう。
国際語だからといって、喋れて当たり前という認識ではないようです。ちょっと安心。日本語がペラペラな座談会参加者のみなさんも、日本語が上達した理由は「失敗を繰り返しながらも、たくさん話したこと」だと口を揃えていました。語学をマスターするには、失敗を恐れないことが重要なようです。その他にコツはありますか?
セイン:インプットも重要。そのためには読書がいいですね。できれば音読で、スピードも意識しましょう。分からない単語には、とりあえず丸を付けておき、どうしても気になると感じた段階で辞書を引く。すると、「思った通りの意味だったな」「ぜんぜん違う意味だった」などと言葉の印象が強くなり、覚えやすくなります。
「英語を覚える」ではなく「物語を楽しむ」意識なら、無理なく読み進められそうです。まずは好きな小説で英語に慣れて、会話へと発展していきたいところ。セインさんのコミックエッセイ『日本人のちょっとヘンな英語』には、思わず笑ってしまう間違いがたくさん収録されています。正しいフレーズも掲載されているので、実用性もバッチリ。まずは漫画から、肩の力を抜いて英語学習を楽しんでみては?
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