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神戸、医療の総合拠点 ポートアイランドへ進出220社超 創薬やゲノム、幅広く :日本経済新聞
神戸医療産業都市の進出企業・団体が今夏、220社に達した。同じ業種や異業種と密接に情報交換できる「メディカル産業クラスター」の利点を生かし、研究・開発で成果を上げつつある。
実験装置が並ぶカン研究所の培養室(神戸市中央区)
2006年に医療産業都市に拠点を構えたカン研究所。エーザイ子会社の創薬ベンチャーで細胞を研究している。免疫系の薬を2種類開発するなど事業を急拡大し、医療センター駅近くのオフィスが手狭になってきた。
今井俊夫社長兼研究所長は「大学の先生や専門家ら、外部との連携、協業が刺激を生む」と語る。先端的な研究に打ち込む企業・団体が集まるポートアイランドは研究・開発にうってつけ。隣接地に14年完成する地上5階建て、延べ床面積1万2000平方メートルの建物に移転する。実験用スペースは4倍に広がり、人員は2.5倍に増やす。
新拠点は近隣の研究者が出入りできるようにする。社外の成果を自社の研究開発に取り入れる「オープンイノベーション」の考え方だ。医療現場と交流し「医師の発想を創薬に生かす」(今井社長)。医療産業都市に進出したベンチャーが成長し、島内でより大きな拠点に移るという神戸市が描く成長モデルの先駆けになりそうだ。
医療産業都市の中心部があるポートアイランド2期は1987年に埋め立てが始まった。当初は大型テーマパーク計画もあったが、現在は医療産業都市の中核施設が16も集まる。進出企業・団体は、99年に最初の1社が進出後、13年で220社に達した。雇用者は5000人を超え、閑散としていた埋め立て地は通勤時間帯の混雑が問題になるほどのにぎわいだ。
進出企業の事業領域は多彩だ。創薬、医療機器などの研究・開発にとどまらず、ゲノム解析から健康食品、コンサルティングまで幅広い。海外企業も多く、大手からベンチャーまで8カ国、24社に上る。中国のゲノム解析大手、BGIは11年11月、共同研究や受託解析を手掛ける日本法人を設けた。
11年12月には「関西イノベーション国際戦略総合特区」に選ばれた。具体的な取り組みはこれからだが、税制優遇や大胆な規制緩和が進めば進出企業の事業の後押しが期待される。
その1つがPMDA―WEST。薬事法に基づく新薬の承認審査などを手掛ける医薬品医療機器総合機構の関西分室だ。実現すれば基礎研究から開発の最終段階まで、創薬事業の大半が域内で完結する。隣り合う神戸空港の利用規制緩和と併せ、医療産業都市の発展を促す効果が期待される。