下記の政府系発表報道では、テストは努力の結果成功させていますが、埋蔵量は少ない物です。最終的には掘削技術を蓄積して、輸出出来るとの見解まで飛び出しています。何か今の予算の枠確保の為の論文を提出する東大系の特徴を見る思いです。しかしながら、テンポは速くなって来ており、相当の成果圧力もあるのではと思われます。できれば、報道では、日本海に面する10府県連合の動きと政府のアクションについても報道していただきたいものです。下調べでは、確実に大量のメタンハイドレートが採掘可能と出ているのですから。前原戦略大臣が、最優先する様に指示を出している様ですが、受け手に「日本海」でのそれの開発をする動きをするか、今まで通りの日本海では石油天然ガス優先なのでしょうか。メタンハイドレートは太平洋岸沿いなのでしょうか?
石油資源開発が新潟県で天然ガス産出テスト成功+(1/2ページ) - MSN産経ニュース
石油資源開発は10日、新潟県小千谷(おぢや)市の片貝ガス田で、新たな井戸での天然ガス採掘に成功した、と発表した。残された探査可能な地層がより深くなるなど難易度が高まる中、井戸を地中で二股に広げる手法を初採用し、有望なガス層を掘り当てた。
同ガス田は1960年から開発が始まり、井戸の掘削は今回で29本目。4月に新たな井戸を掘り始め、深さ4200〜4900メートルで、ガスと原油を含んだ地層を発見した。約1年をかけ同ガス田内の加工工場と配管で結び、生産を開始する。
一日当たりの産出量はガスが29万立方メートル、随伴して出る原油も33キロリットルで、同社国内生産量のそれぞれ8%と、2%に相当する。掘っても何も出ず空振りの井戸も多い中、「今回の井戸は産出量も含め成功事例」(同社)という。
地下深くで井戸を枝分かれさせてY字状にし、約300メートル離れた2つの吸い込み口でガスを探る同社初採用の鉱法が功を奏した。年度内に同ガス田でもう一本井戸を掘り探査を広げる。
一方、同社は同日、秋田県由利本荘市の鮎川油ガス田で採掘に成功した「シェール(頁岩)オイル」の回収量が、試験期間の8日間で、ドラム缶172本分に相当する3万1100リットルになった、と発表した。オイルを含んだ岩盤を溶かすため注入した塩酸などの液体は14万1600リットルだった。同社は、「テストなので量は少ないが、分析を進め、本格的なシェール層の試験開発が可能か、来年1月までに評価する」という。
新潟県小千谷市の「片貝ガス田」で産出に成功したガス井(石油資源開発提供)
眠る資源列島 革命前夜 :日本経済新聞 2012/10/9
日本の陸や海で石油、ガスの探査や生産が熱を帯びている。地中や海底を深く掘り、資源を巧みに吸い上げる技術が進み、これまで眠っていた“鉱脈”にも手が届きつつあるからだ。国産資源は日本の新しい成長物語を紡ぐのだろうか。
石油資源開発の片貝ガス田探掘井から出た天然ガスの炎。「ゴーッ」という大きな燃焼音が響く。炎は高さ約10メートルにもなり、近づくと気温が40度を超えた(新潟県小千谷市)
片貝ガス田探掘井を掘った高さ約60メートルで国内最大級の陸上掘削装置。50人の作業員が24時間体制で深さ4900メートルまで掘削を続けた(新潟県小千谷市)
鮎川油ガス田では新型原油「シェールオイル」が採取された。米国では掘削技術の普及でシェールオイルの生産が本格化しているが、日本での採取は初めて(秋田県由利本荘市)
シェールオイルがあることが確認された女川層の地表部分。秋田県には秋田市内の都市ガス需要の大半を県産出ガスで賄えるほど、油ガスを豊かに含んだ地層が多い(秋田県由利本荘市)
採取され、遠心分離した「シェールオイル」(手前)と女川層のコアサンプル。石油資源開発秋田鉱業所の井上圭典所長は「油を見られてほっとしている」と話す(秋田県由利本荘市)
3日朝、秋田杉と棚田に囲まれた「鮎川油ガス田」(秋田県由利本荘市)は国内初の新型原油「シェールオイル」の採取に沸いた。資源開発大手の石油資源開発は、地下1800メートルほどの硬い岩盤層に塩酸などを注入。岩を溶かし、割れ目から原油分を含む液体を回収した。採取コストなど商業生産までにクリアすべき課題はあるが、秋田県周辺だけで日本の年間石油消費量の1割弱のシェールオイルが眠るとの指摘もある。
シェールと呼ばれる頁岩(けつがん)層から原油やガスを取り出すことに成功した米国では、国内のガス価格が下がり、企業が生産拠点を国内に戻すなど経済全体の姿が様変わりしつつある。日本版「革命」への期待は膨らむ。
石油資源開発は既存の油ガス田でも新たな井戸を掘り生産増に力を入れる。先月14日には新潟県小千谷市の片貝ガス田で4年ぶりの掘削に成功。「ゴーッ」という耳をつんざく燃焼音とともに探掘井から噴き出る10メートルの炎は圧巻だ。同社は今年度、国内での探鉱に前年度比8割増の96億円を投じる。
国内での資源探査は、陸から海にも広がる。新潟の佐渡沖では国がJX日鉱日石開発など民間企業と連携して海底油田の探査に乗り出す。佐渡南西沖30キロメートルにある上越海丘は面積が山手線内側の約2倍に匹敵し、中東の中規模油田並みの大きさ。来春の試掘で石油の十分な埋蔵が確認できれば商業生産も視野に入る。
産業技術総合研究所メタンハイドレート研究センターに保管されているメタンハイドレート層から採取したコアサンプル。静岡―和歌山県沖で今年の6月から7月に採取した(札幌市豊平区)
人工のメタンハイドレートが燃える様子(右)と液体窒素で冷却保存されているメタンハイドレートを含む砂質堆積層(左)。今年2月に石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)らがメタンハイドレートの海洋掘削を始めた。来年1月には産出試験を予定している。成田英夫センター長は「課題は多いが、高い値段を払って外国からガスを買う状況を変えたい」と話す
今年就航した海洋資源調査船「白嶺」。従来の調査船より海底深く掘ることができ、荒れた海の上でも船体中央部に立つ約40メートルのドリルを水深2000メートルの海底にピンポイントで突き刺せる(山口県下関市の三菱重工業下関造船所)
太平洋沖では「燃える氷」と呼ばれる天然ガスの一種、メタンハイドレートの開発が進む。すでに静岡〜和歌山県沖の海底約300メートルから試料地質を採取済みで、来年には本格的な産出試験に入る。同調査海域だけで日本の天然ガス輸入量およそ11年分のメタンガス埋蔵が見込まれる。
こうした探査や生産の強化が4%弱の日本のエネルギー自給率を一変させるわけではない。だが技術進化は将来のエネルギー事情を変える潜在力を秘める。片貝町のガス採掘では井戸を地中で枝分かれさせる技術を活用。佐渡沖で石油がたまりやすい海底地層を突き止めたのは新型探査船の3次元画像解析機だ。静岡〜和歌山県沖のメタンガス採掘には海底の気圧を変えてガスを吸い上げる「減圧法」という採取法を用いる。進化する技術が国産資源のフロンティアを広げようとしている。
文 野見山祐史
写真 今井拓也