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memo ∞ 「医の未来: 「BMI」開発/島津製作所 & NTT、積水ハウス、慶応大、ATR」 

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「医」の未来、開く技 脳活動測り、念じて操作 :日本経済新聞

島津製作所などは脳活動を測定してテレビやカーテンを操作するシステムの実用化を目指す

島津製作所などは脳活動を測定してテレビやカーテンを操作するシステムの実用化を目指す

堀場製作所は阿蘇工場に新棟を建設し、血液検査装置の生産能力を2倍にした(熊本県西原村)

堀場製作所は阿蘇工場に新棟を建設し、血液検査装置の生産能力を2倍にした(熊本県西原村)

 念ずればカーテン開く――。11月初旬、京都府精華町の国際電気通信基礎技術研究所(ATR)で、2020年前後の実用化を目指す技術が報道陣に公開された。脳活動を読み取って機械を動かす「BMI」と呼ぶ技術で、車椅子や薄型テレビ、エアコン、カーテンなどを操作できる。島津製作所とNTT、積水ハウス、慶応大学がATRと共同で開発した。

 脳血流を読み取る装置は島津が開発した。従来は大掛かりな装置だったが、小型化に成功して車椅子に搭載できるようにした。島津は赤外線の一種である近赤外光を使って脳全体の活動を可視化する「イメージング装置」も大学や企業に販売しており、鬱病向けの新薬開発など最先端の脳研究を支えている。

 14年春には京都市の本社・三条工場敷地内に製品の品質管理の拠点「クオリティーセンター」を新設する。医用機器は周辺機器に影響を及ぼす可能性のある妨害電波を出さないことを求められるため、自社で検査を手掛けて開発期間の短縮につなげる。

 堀場製作所は8月、血液検査に使う試薬などを作る阿蘇工場(熊本県西原村)に新棟を完成させた。新棟の壁には「HORIBA Medical」の文字が掲げられている。試薬の生産能力は従来の2.5倍、血液検査装置の生産能力は2倍に増やした。

 堀場の医療関連事業は開業医などに血液検査装置を販売し、消耗品の試薬で息長く稼ぐというビジネスモデルだ。特に強みを持つ小型検査装置では国内トップのシェアを誇る。12年12月期は半導体関連事業の売上高が落ち込む見通しだが、医療関連事業の収益は安定している。

 来年にはインド北部のウッタラカンド州で試薬の工場を新設する。試薬は日本の他にフランス、中国、ブラジルで生産しており、インドが4カ所目の海外生産拠点。堀場厚社長は「20年後は海外でも医療関連の事業が大きく伸び『堀場といえばメディカル』になっているだろう」と語る。


ロボットポータル-ロボナブル-ATRなど、ネットワーク型BMIを実証、介護サービスなどの提供に役立てる

 国際電気通信基礎技術研究所(ATR)などは1日、“強く念じた”感情(意思)をもとに機器制御を行うブレイン・マシン・インターフェース((Brain-machine Interface:BMI)技術の最新成果を公開。脳波計測(Electroencephalography:EEG)と近赤外分光脳計測(Near-infrared spectroscopy:NIRS)で計測した脳活動をリアルタイムに解読し、ネットワークを介して電動車椅子や家電を制御できることを実証した(写真)。今後、日常生活における一般的な意思の解読や、その精度の向上に取り組み、身障者のQOL(生活の質)の向上や介護者の負担軽減に役立てる。また、計測データを家庭内やクラウド上に分散処理することで、介護サービスをはじめ各種サービス提供につなげる。

atr_1102.jpg 従来、実験室などに閉じていたBMI技術を、ネットワーク型にすることで生活環境に適用できる可能性を示した。EEGとNIRSで計測した脳活動にもとづいて利用者の意思をリアルタイムに解読することで電動車椅子を操作し、家庭内を移動しながら各地点で家電を制御した。

 開発した要素技術は、各種センサデータをリアルタイムに収集する技術、これらをネットワーク上のサーバに蓄積しデータベース化する技術、データベースを参照して利用者の意思を解読する技術、解読結果にもとづいて機器制御を行う技術などから構成される(図1)。

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図1 ネットワーク型BMIを支える情報思慮基盤技術(図提供:ATR、以下同)

 今回、共同研究にはATRのほか島津製作所、慶應義塾大学、NTT、積水ハウスが参加。2011年7月にスタートしている。
 NIRS装置の開発・販売を手がける島津製作所では、NIRS装置を電動車椅子に搭載できるよう小型・軽量化し、かつ計測データを無線通信できるようにした。慶應大学では、ジェルの塗布が不要なEEG電極を開発。今後、高精度化に取り組むとともにNIRS装置との一体化を図る(図2)。
 NTTは、ネットワークを介しての計測データの処理やその部品化(プログラムの部品化)などに取り組んでおり、生活空間でのデータの蓄積や解読、機器制御を可能にする情報処理基盤を構築する。積水ハウスは、各種センサと機器制御のためのアクチュエータを配備した「BMIハウス」を設置(図3)。BMIの基本技術の検証の場として活用していく。

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図2 開発した脳活動計測装置

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図3 積水ハウスと共同で構築したBMIハウスの各種機器の配置

 今後の課題の1つとして、生活空間での機器制御においては安全性の確保が求められる。ATRでは、各種機器に搭載したセンサの安全性に加え、環境側に配置したセンサ(kinectやレーザレンジファインダー)と遠隔モニタリングにより安全性を確保するとしており、すでに、これらの併用により電動車椅子単体での衝突回避ならびに環境センサを用いた障害物認識を実現したとしている。また、脳活動の解読結果に誤りがあった場合でも、安全な機器制御を担保するための技術開発にも取り組む。

 なお、公開した開発は、「脳の仕組みを活かしたイノベーション創成研究型研究開発(高精度脳情報センシング技術・脳情報伝送技術、実時間脳情報抽出・解読技術及び脳情報解読に基づく生活支援機器制御技術)」(総務省)として取り組んだ。脳活動の解読精度の向上に加え、その計測データを用いた各種サービス提供につなげる。


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