北大、太陽電池「変換効率85%」 薄膜を活用 実験で原理確認 :日本経済新聞
北海道大学の石橋晃教授らは太陽電池のエネルギー変換効率を高める技術を開発した。理論上は85%まで上がる見通しだ。ふつうの太陽電池では40%台にするのも難しい。種類が違う半導体の材料を幾つも使い、太陽光の大半を電気に変える。今は原理を確かめた段階で、早期の実用化を目指す。
光が進む方向に複数の半導体の薄膜を順に並べ、紫外光、可視光、赤外光の順に吸収する。実験では3種類を並べて原理を確かめた。
光は薄膜の表面ではなく、断面から入り込む。光が当たる面積を増やすため、薄膜をロールの形に巻き、ロールの断面に光を当てて薄膜内部に光を通す構造を考案した。
これまでも半導体の微小な粒子「量子ドット」で寸法の違う粒子を順に積み重ねて変換効率を高める研究はあった。新方式は半導体の材料を探すのが大変だが、量子ドットを使うより作りやすいと説明している。
電子科学研究所 石橋 晃 教授:<br>「企業研究者から大学研究者への転進」|北海道大学 産学連携本部
近年、海外の研究機関や民間企業の研究所に所属していた研究者が、北海道大学の教員へと転身するケースが増えてきた。本学の基本的理念である「フロンティア精神」や「国際性の涵養」を体現するこれらの教職員たちは、教育・研究活動を通じて学生に強いインパクトを与えている。石橋教授は、ソニー株式会社中央研究所にてGaAs FET、AlAs/GaAs極薄膜超格子、化合物半導体極微細素子の研究の後、青色半導体レーザーの世界初室温連続発振をZnSe系II−VI族半導体レーザーにて達成するなど、様々な業績を積み重ねてきた。また、国内外含め200件超の特許申請も行った経験から知的財産の論議にも詳しく、本学先端科学技術共同研究センター(現:創成科学共同研究機構)が開講したMOT講座では知的財産論の講義も行っている。