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スタンフォード大、何にでも貼り付けられるフレキシブル太陽電池を開発 « SJNニュース 再生可能エネルギー最新情報
スタンフォード大学の研究チームが、どんな材質の表面にも貼り付けられるフレキシブルな薄膜シリコン太陽電池を開発したとのこと。通常のプロセスで作製した太陽電池をシリコン基板から剥離し、紙、プラスチック、窓ガラスなどほとんどあらゆる表面に貼り付けることができる。変換効率は7.5%あり、剥離・接着後も性能が低下することはないという。2012年12月20日付けの Scientific Reports に論文が掲載されている。
薄膜太陽電池のフレキシブル性を活かそうとする場合、基板材料の制約が大きな問題となる。「太陽電池の基板として従来使われてこなかった一般的な材料には、表面が不均一であったり、製造時の熱・化学プロセスに適していないといった問題がある」と同大 機械工学助教の Xiaolin Zheng 氏は指摘する。こうした問題を回避するために、研究チームは、薄膜太陽電池の剥離・接着プロセスを開発したという。
今回開発された新プロセスでは、シリコン/シリコン酸化膜と金属のサンドイッチ法が利用されている。はじめに、厚さ300nmのニッケル層がシリコン/シリコン酸化膜ウェハー上に成膜される。薄膜太陽電池は、標準的なプロセスを使ってニッケル層上に形成される。太陽電池表面には高分子の保護膜をコーティングする。次に、太陽電池セルの最表面に放熱テープを貼る。このテープは、作製用ウェハーから別の基板への太陽電池の移し変えを補強する働きを持つ。
作製用ウェハーから太陽電池を剥離するときには、ウェハーを室温条件で水に浸す。放熱テープの端部が少し剥がれ、そこからニッケルとシリコン酸化膜の間に水が入り込む。
これで太陽電池は固い基板から剥離されるが、まだ放熱テープは接着されたままである。ここで放熱テープと太陽電池を90℃で数秒間加熱すると、両面テープや接着剤で太陽電池をほとんどあらゆる種類の表面に貼り付けられるようになる。最後に放熱テープを取り除き、好みの表面に太陽電池が貼られた状態にする。
Zheng 氏によると、この剥離・接着プロセスを行っても太陽電池が損傷することはなく、機能も保たれることが実験で確認されているという。また、シリコンウェハーは通常、太陽電池剥離後も損傷せず清浄であり、再利用可能であるとしている。
今回の技術がこれまで開発されてきたフレキシブル太陽電池と違うところは、既存のプロセスや装置・材料に変更を加える必要がない点である、と共同研究者の Chi Hwan Lee 氏は指摘する。このため、商用化できる可能性も高いとしている。
「ヘルメット、携帯電話、出っ張った窓、携帯電子機器、湾曲した屋根、衣服など、何にでも太陽電池が取り付けられるようになる」と Zheng 氏。さらに、この剥離・接着技術が使えるのは、太陽電池だけに限らないと話す。印刷回路、超薄膜トランジスタ、液晶ディスプレイなどにも同じ技術が適用できる可能性がある。薄膜電子デバイスと薄膜太陽電池を組み合わせることで、衣服から宇宙航空システムまで、様々な分野で新しい製品の開発が可能になると考えられる。デバイス作製用の基板についても、ニッケル/シリコン酸化膜以外の材料の研究も進めているという。
(発表資料)http://stanford.io/UrcYVV
Assistant Professor of Mechanical Engineering Xiaolin Zheng (Photo: John Todd)
Doctoral candidate Chi Hwan Lee.