フェイスブック、顧客の「いいね!」で販促 日本企業に根付くか :日本経済新聞
企業にとって交流サイト(SNS)は費用と手間をかけずに顧客に直接、働きかけられるツールのはず。だが成果を上げるのは容易ではない。例えばフェイスブック(FB)に企業アカウントを開設しても、知名度がなければ効果が薄い。それでも、工夫を凝らした成功例が出始めた。顧客の反応を見つつキャンペーンを打ち出したり、海外販路開拓のために営業で活用したり。「いいね!」を集めて実利につなげる取り組みを追う。
■リラックスコーポ、美容体験動画で男性集客
10月末、リラクゼーションを目的としたスパ「アムールスパ南青山」(東京・港)。男性が上着を脱ぎ、寝台に横たわる。半袖姿の女性従業員が男性の腹部に青色のベルトを巻き、電源を入れると、ベルトが小刻みに振動する。電気刺激で脂肪燃焼を促す、新しい施術メニューだ。従業員がその様子をスマートフォン(スマホ)で動画撮影する。
モデルの男性は同スパを運営するリラックスコーポレーション(東京・港)の柴田伸介社長だ。約1分間の動画はパソコンに転送、会社員の多くが帰宅する夜7時過ぎにFBに投稿する。脂肪を減らして腹回りを細くする施術内容の説明文も添える。自社のクーポンサイトのURLも載せ、自社サイトへの誘導を狙う。4回コース(3万5520円)など継続来店を促す内容で、同社が5年前から女性向け情報サイトで提供する1回完結型のコースより高額だ。
社長自身がエステを受ける様子を動画で撮影し販促につなげている(東京都港区のアムールスパ)
新メニューの利用者は月間延べ約500人。うち半数は既存顧客だが残りは新規で、その大半は「FB経由で自社サイトを訪れクーポンを購入した客」だ。利用者のうち3割を男性が占める。従来は1割程度で、伸びは大きい。同社の12年6月期の売上高は前期比7割増の3億円。自社サイトのクーポン売上高は毎月1000万円に上る。
柴田氏が自分でモデルを務めるのは「施術内容を動画で見てもらうことで新メニューに対する不安をぬぐえる」(柴田氏)と考えるからだ。ターゲットは体形変化が気になり始めた40代以上の男性。「44歳の自分自身が体験した動画を載せるのが一番共感してもらえる」(同)
もっとも、肝心なのは投稿後の作業だ。1日3〜4回、クーポンの販売動向と共に管理画面でアクセス数やコメントを確認。投稿内容を広告として配信する範囲をFB利用者の性別や年齢によって設定変更する。
■アイム、商談に「英語版FBページ」 海外開拓
FBページのファンの多さを海外での営業に役立てる企業もある。化粧品販売で売上高が約50億円(12年2月期)のアイム(高松市)は海外の高級スパに自社商品の導入を働きかけるテコに、FBを使う。同社のブランド「ライスフォース」は化粧水の売れ筋品が8400円(120ミリリットル入り)などと高めで、国内の販路は通販のみ。事業拡大のためには海外市場を開拓する必要があった。
ただ、短期間で導入先を増やすためには知名度と信用が必要だ。この両方を向上させるのに、FBを選んだ。英語版のFBページでは商品の割引や限定商品販売のキャンペーンのほか、化粧品の原料や日本の食べ物の紹介などを発信した。
「いいね!」を押される数が鈍り始めたらキャンペーンを打つ。千人単位でファンが減った際は投稿文中に宗教上、避けた方がいい表現があることを突き止め、削除した。FBの仕様変更で読みにくくなると、文の長さや投稿のタイミングを調整した。地道な作業により、2年間で25万の「いいね!」を積み上げた。
その成果がようやく表れ始めている。10月、ハワイのワイキキビーチ沿いにある高級ホテル「モアナ・サーフライダー」のスパと、チェコ・プラハのスパが相次ぎ同社製品を導入した。モアナ・サーフライダーの担当者は「多くの人の支持があることで、好印象を持った」という。チェコ・プラハのスパの担当者は「コメント欄で、ファンとの会話を盛り上げる姿勢が気に入った」と話す。来年は中東地域も攻める意向という。
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■共感得る細やかな対応必要
大規模な広告を打つ余裕の乏しい中小企業にとって、FBは少ない費用で顧客に情報を伝えられ、関係を強化できるメディアだ。だが、FB販促は本当に使えるのか、懐疑的な見方もある。都内の個人事業主の男性は「忙しくなるとFBにどれだけ手間をかけられるか、時間との戦い。ファンが集まらなかったり、リアクションがなかったりすると、つい放置してしまう」と話す。FB上にはある時点から更新がとまったページも散見される。
マーケティングに詳しい西川英彦法政大学経営学部教授は「顧客のネット利用度に応じ、FBページを作るかどうか考えるべき」と指摘する。FBやツイッターを使いこなす顧客が大半の場合「FBページがないと不信感を抱かれかねず、早急に作った方がよい」。ネット利用者が少ないのに無理に作る必要はない。
FBの利点は企業と客の距離感を縮め、共感を得る過程で実感できる。PR文章をそのまま投稿しても共感は得にくい。博報堂DYグループソーシャルメディア・マーケティングセンター事務局長、茂呂譲治氏は「(関係維持には)手間も時間もかかる。きめ細かい対応ができないなら利用しない選択肢もある」と話す。
それでも利用する場合、西川教授は「近隣で同様の取り組みをする人たちとオフ会を作り、知識を共有、継続できる仕組みを探るのが有益」と提案する。
(大島有美子)
フェイスブック、顧客の「いいね!」で販促 日本企業に根付くか :日本経済新聞
フェイスブックのグレイディ・バーネット副社長
実名、参加者の距離縮める
バーネット副社長に聞く
マーケティング戦略にFBを利用する企業にとって着目すべき点は何か。米FB本社のマーケティング支援担当、グレイディ・バーネット副社長に聞いた。
――FBを利用する企業へのアドバイスは。
「お客様との会話に価値をもたらす投稿をすること。彼らが気にしていることへの回答になるような投稿は有効だ。顧客のリアクションには耳を傾け、そこから学ぶ姿勢も大切だ」
「最も反応があるのは、短い会話。英語なら20語、日本語なら200字程度だろう。面白い写真や動画によって、顧客の感情を揺さぶることも有効だ」
――日本でのFBの使われ方をどうみているか。
「日本国内で1500万人の利用者がいる。その数だけでも、マーケティング利用には大きな機会といえる」
「世界ではFB上にページを持っている中小企業が約1150万社ある。うち約850万社が活発に情報を更新している。この数字が『誰でも簡単にFB上にページを作れる』ことを証明している。今後もより簡単に使えるよう、技術の改善は続けていく」
「個人でお店を営む人や中小企業の従業員は1人で多くの役割をこなさなければならず、忙しい。だから機能はよりシンプルに、使いやすくしている。ページは無料で簡単に作れる」
――国内では3700万人の利用者がいるLINEも販促ツールとして注目を集める。ツイッター利用企業も多い。FBの優位性は。
「実名性は大きな利点だ。その人の好みや属性がわかる。店・企業と個人の感情的な距離を縮めることもできる」
(聞き手は松本史)
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参照:フェイスブックの4倍の反応を誇る追撃サイトです!次々出現しますね!どう会員に安心して加入してもらえるかが「ポイント」ですね!
fukuchan-hi @fukuchanhiネスレが語る「Pinterest」の魅力と成功事例、右脳型マーケティング時代の到来か? |ソフトバンク ビジネス+IT http://www.sbbit.jp/article/cont1/25779 …
グーグルやツイッター並みの誘導数を誇るとして、いま注目を集めているソーシャルサイトがある。「Pinterest」だ。気に入った画像や動画を収集し、みんなで共有することが目的の同サイトだが、そこから誘導された顧客の平均購入金額はフェイスブックの2倍以上にのぼるケースもあるという。食品大手ネスレ日本の揖斐理佳子氏が、海外の成功事例などを通して、Pinterestの魅力と活用方法を明かした。
執筆:谷崎朋子