衛星で巨大農場管理 日立・三井物産、システム販売 収穫最大3割増 :日本経済新聞
日立製作所は三井物産と組み、衛星データを活用し広大な農場を効率的に管理できる情報システムを海外で販売する。東京の山手線内の面積の2倍弱に相当する大規模農場でも農作物の生育状況を把握、農薬散布の時期などを的確に判断できるため、収穫量を最大3割増やせるという。世界的な人口増で穀物需要は急拡大する見通し。両社は北米や南米など世界で事業展開を狙う。
日立が衛星情報と地理情報システム(GIS)を利用した農場管理システムを開発した。各地で多くの穀物の取引先を持つ三井物産が売り込む。インドやロシアなども有望市場とみており、今年後半から受注活動を始める。まず1万ヘクタール超の大規模農場を持つ約20事業者、中規模農場(農地面積500ヘクタール強)で1万程度を顧客として獲得し、売上高では年100億円を狙っている。
日立のシステムは気象条件や生育状況、農薬や肥料の量などの大量データを分析、収穫時期などを的確に判断できる。大規模農園では目で生育状況を確認するのは難しい。衛星データを使うことで、生育の良い場所から順番に収穫することが可能になる。三井物産の子会社が持つブラジルの大規模農場で同システムを試験使用している。
農業事業者は耕作地の面積などに応じて一定の利用料を支払い、日立のシステムを利用することになる。衛星がとらえた農作物の生育状況をタブレット(多機能携帯端末)画面の地図上に色分けして表示するなど、農作業に役立つデータをインターネットを通じて受け取ることができる。
農林水産省の予測では小麦など穀物の世界需要は2021年に27億トンとなる。09年実績と比べ2割以上増える見通しだ。食料増産には衛星データの分析などIT(情報技術)を活用する動きが今後一段と広がりそうだ。
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GIS(地理情報システム)を基盤とした農業情報管理システム(1/4):IT(情報・通信):日立 ←詳細はこちら
衛星から撮影した画像を地図画面に重ねあわせ、圃場ごとの小麦の生育具合を解析する。赤く色づけされた箇所は小麦の生育が進んでおり、刈り取り時期を迎えていると判断できる。青く色づけされた箇所は生育がやや遅れているため、赤い箇所の小麦の刈り取りを終えた頃に、ちょうどよい時期を迎える。