「漢江の奇跡、再び」朴・韓国大統領が就任演説 高成長めざす 北朝鮮に早期核放棄促す :日本経済新聞
【ソウル=小倉健太郎】韓国の朴槿恵(パク・クネ)第18代大統領が25日、就任した。同日午前、国会議事堂広場で演説した朴氏は「第2の漢江(ハンガン)の奇跡をなし遂げる」と述べ、成長による雇用創出などに全力を尽くす考えを強調した。3度目の核実験を強行した北朝鮮には「一日も早く核放棄するよう願う」と力説した。
韓国で女性大統領は初めてで2代連続の保守政権だ。任期は5年。朴氏は同日午前0時に大統領権限を引き継いだ。
就任演説で朴氏は「経済復興をなし遂げる」と強調した。「漢江の奇跡」は父である朴正熙元大統領が率いた1970年代の高度経済成長を指す。朴氏は科学技術とIT(情報技術)を中心に新産業を育て「新たな市場、新たな雇用を作る」と話した。
所得格差の是正に向けて福祉の充実や中小企業育成にも言及。大企業に偏重した経済構造の是正を意味する「経済民主化」も進めると話した。大企業による優越的地位の乱用を防ぐために「公正な市場秩序の確立」にも取り組む。
北朝鮮の核実験については「民族の生存と未来に対する挑戦」と批判。そのうえで「確実な抑止力を土台にして対話し、約束を守ることで信頼を積み重ねていける」と述べた。当面は国際社会と連携して制裁強化を進めるが、中期では北朝鮮の国際規範順守を前提に関係を改善する意欲を示したものだ。
外交については「アジアで緊張と摩擦を緩和し平和と協力が広がるよう、米国、中国、日本、ロシアなどといっそう厚い信頼を積み重ねていく」と言及。昨夏の李明博(イ・ミョンバク)前大統領の竹島(韓国名・独島)上陸を機に悪化した日本とも関係改善に動く考えをにじませた。
就任式には市民ら約7万人が参加。麻生太郎副総理、中国の劉延東国務委員(副首相級)ら外国要人も出席した。