世界各国の政治や経済界のリーダーが一堂に会する「ダボス会議」がスイスで開幕し、東日本大震災の被災地で支援活動を続ける俳優の渡辺謙さんが、被災地で学んだ、支え合って生きていく「絆」の大切さを訴えました。
ダボス会議は、スイス東部のダボスで毎年開かれるもので、各国の政治指導者や企業経営者などが国境を越えた課題について意見を交わす場となっています。ことしは、ヨーロッパの信用不安への対応が中心的な議題で、25日、開幕のあいさつに立ったドイツのメルケル首相は、「危機は今なお続いているが、ヨーロッパは今後、財政面の統合をより深め、競争力をつけ、雇用を生み出していく」と述べ、各国が結束して信用不安の払拭(ふっしょく)に取り組む決意を示しました。また、会議には東日本大震災の被災地で支援活動を続ける俳優の渡辺謙さんも特別ゲストとして招待されました。俳優として海外でも活躍する渡辺さんは、被災地を繰り返し訪れるとともに、ハリウッドスターにも呼びかけて被災者を励ますためのインターネットのサイトを立ち上げています。渡辺さんはスピーチの中で、「被災地の人たちは震災で多くのものを失いました。しかし、そこには人が人を救い、支え合い、寄り添う行為がありました」と述べて、世界で起きるさまざまな危機に立ち向かっていくためには、人々の「絆」が大切だと訴えました。26日には、震災から1年に向けて渡辺さん自身が被災地での復興の動きを取材し、NHKが共同制作に参加したドキュメンタリーがダボス市内で上映されることになっています。
渡辺謙さん、ダボス会議で「絆」の大切さ訴える :日本経済新聞
25日に開幕した世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で、俳優の渡辺謙さん(52、写真)が東日本大震災について講演し、「絆」の大切さを訴えた。終了後、渡辺さんは「競争一辺倒ではなく、もっと穏やかな新しい価値観を作り出す必要があると話した。世界各国の出席者が同じような感覚を持っていた」と手応えを語った。
ダボス会議は世界各国の政官財のリーダーが集まり、国際的な問題について討議する場。渡辺さんは「少し場違いかと思ったが、大震災を経験した日本は今こそ何かを発信すべきと考えた」と参加の理由を説明した。日本の俳優が同会議で講演するのは初めて。
東日本大震災は今年の会議の主要テーマの一つで、26日には菅直人前首相が震災や福島第1原子力発電所の事故について講演する。
(ダボス〈スイス東部〉=藤田剛)
渡辺謙「新しい日本見せたい」…ダボス会議で魂のスピーチ:芸能:スポーツ報知
俳優の渡辺謙(52)が25日、スイス東部のダボスで開催された世界経済フォーラム(WEF)の42回目の年次総会「ダボス会議」でスピーチした。今年は東日本大震災が主要議題。自らの思いを流ちょうな英語で披露した。過去に人気ロックグループ「U2」のボノ、米女優シャロン・ストーンらが参加したことで知られる。日本の芸能人がスピーチを行うのは初めて。
渡辺のダボス会議への参加は、日本の芸能人としては初めてのこと。約50人を前に堂々とスピーチし、最後に宮沢賢治の「雨ニモマケズ」を英訳で読んだ。終了後の会見では「競争ばかりでなく、もっと穏やかな新しい価値観を作り出す必要がある。各国の出席者も同じ感覚だった」などと語り、大きな手応えを感じていたという。
また「被災地では人間として何をするべきかという観点で活動を始めた」と説明。「被災地の日本の有り様を世界に発信したかった」と参加した意義を強調。渡辺は昨年4月から被災地22か所で被災者約3000人と面会してきた。
同会議では、26日に菅直人前首相が震災時の対応などについて報告する予定。29日までの期間中、約250の会合が予定され、約40か国の首脳を含め政財界、文化人ら2600人以上が議論。26日には、現地の劇場で新作の主演映画「はやぶさ 遥かなる帰還」(2月11日公開)を海外マスコミとVIPを招待して特別上映する予定。
◆ダボス会議 スイスのジュネーブに本部を置くシンクタンク「世界経済フォーラム(WEF)」が毎年1月、スイス東部のリゾート地・ダボスで開催する年次総会のこと。世界的に活躍する政治、経済、文化など各界のリーダーたちが一堂に会し、地球規模のさまざまな問題について話し合う。
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ダボス会議で俳優の渡辺謙さんは、「原子力という、人間が最後までコントロールできない物質に頼って生きていく恐怖を味わった今、再生可能エネルギーに大きくかじを切らなければ、子供たちに未来を手渡すことはできないと感じています」と訴えたが、日本の大手メディアはこの点を全く無視した。