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メモ「近畿大のクロマグロ/いよいよ輸出へ」  

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 近畿大学のクロマグロは高いのですが美味しいとの評判で、大阪でも引っ張りだこ、出れば直ぐに売り切れです。世界の需要も高まり、量産体制も出来、価格も通る様になって来て、いよいよ本格的にスタートです。うれしい限りです。鰻や伊勢エビもトライ中とのこと。寅フグの陸上プールでの養殖等、他の機関でも実験多くあり、益々漁業の牧畜化が進みますね。食べるものは丁寧に作って行く時代ですね。

朝日新聞デジタル:完全養殖クロマグロ、世界へ 近畿大と豊田通商が商業化 - 経済を読む - ビジネス・経済

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 すしや刺し身に欠かせない高級魚クロマグロ。枯渇が心配されるなか、卵を孵化(ふか)させて大量に育てる「完全養殖」の商業化が始まった。世界で初めて完全養殖に成功した近畿大学が豊田通商と手を組み、世界市場への売り込みを目指す。

■漁獲規制と需要増にらむ

 昨年11月、長崎県・五島列島の西端、福江島で約1万4千匹にのぼるクロマグロの幼魚の出荷が始まった。沖合に浮かぶ直径30メートルの養殖用いけすには、生後半年、体長30センチほどの幼魚が泳ぐ。

 作業員が、傷つけないようにさおで釣り上げていく。2カ月かけて三つのいけすを空にし、長崎県や鹿児島県の養殖業者に販売。市場で取引される体長約1メートルになるまで、さらに3年間育てる。

 いけすはトヨタ自動車グループの商社、豊田通商(名古屋市)がつくった。2年前に福江島に養殖会社「ツナドリーム五島」を設立。今回、初めての大量出荷にこぎつけた。

 商業化のめどが短期間でついたのは、2002年に世界で初めてクロマグロの「完全養殖」を成功させた近畿大学水産研究所(和歌山県白浜町)が、全面的に協力しているからだ。

 稚魚は、海から捕らずに、近大が育てたクロマグロの卵から孵化させたもの。衝撃に極端に弱いが、いけすを円くすることで、高速で回遊しても「壁」となる網にぶつからないようにした。

 約40年の研究で、稚魚はストレスに弱く、密集状態では育たないことも分かった。大量養殖には大型いけすが幾つも必要で、近大にとっても資金力のある企業との提携が不可欠だった。

 豊田通商と近大が商業化に踏み切ったのは、クロマグロが乱獲され、漁獲規制が進んでいることが背景にある。95年に世界で7.8万トンあったクロマグロの漁獲量は、09年には4万トンに。近大水産研の宮下盛(しげる)所長は「完全養殖で、海から捕らずにクロマグロを増やせる。年間20万匹くらいは供給できるようにしたい」と話す。

 ツナドリーム社は2〜3年後には年間5万匹まで出荷を増やし、事業を黒字化させたいという。同社の西出智社長は「特に中国で、海産物の需要がものすごい勢いで伸びている。世界的にマグロの需要が増えるなかで、完全養殖に頼るしかない、という時代が必ず来る」と話す。


完全養殖で育てたクロマグロの幼魚は、傷つかないようにいけすから取り出して出荷する=長崎県五島市、ツナドリーム社提供

写真:完全養殖で育てたクロマグロの幼魚は、傷つかないようにいけすから取り出して出荷する=長崎県五島市、ツナドリーム社提供  

■ウナギ・イセエビにも挑戦

 大量養殖をめざすのは、クロマグロだけではない。

 独立行政法人、水産総合研究センターの増養殖研究所(三重県南伊勢町)は、ニホンウナギを卵から孵化させ、年間1万匹以上を育てる技術の研究を続けている。2010年には完全養殖に世界初で成功。ただ、出荷サイズまで育てられるのは、そのうちわずかだ。

 ウナギは日本から約3千キロも離れたマリアナ諸島沖で産卵するため、エサや生態はよく分かっていない。今はサメの卵からつくったスープを食べさせている。だが液体のエサは水槽を汚して稚魚を弱らせる。ポンプで水を素早く入れ替えられるよう、稚魚は直径30センチのアクリル製ボウルで250匹ずつしか飼えない。

 1988年に世界で初めてイセエビを卵から稚エビまで育てた三重県水産研究所(同県志摩市)。数千匹単位で稚エビを放流するのが目標だが、体が白く変色して壊死(えし)する病気に悩む。環境に影響を与えないよう抗生物質を使わない防止法を探しているが、明田勝章研究員は「大量の放流はまだ遠い。一歩一歩、問題を解決していくしかない」。

 各地で大量養殖の研究が進むが、課題もある。

 近大水産研は70年代に天然物の2倍の早さで育つマダイの完全養殖に成功。漁業者の間でマダイの養殖が広がった。だが生産量が急増して価格は下落。いまでは採算をとるのが難しい。近大水産研の宮下所長は「需要と供給のバランスに注意しながら、養殖技術をうまく活用していく必要がある」と指摘する。

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ウナギの稚魚が育つ、直径30センチのボウル。室内は、水中に似せた青白い光で照らしている=三重県南伊勢町の水産総合研究センター 写真
イセエビが育つ水槽。効率よく水を入れ替えるため、円い「太鼓型」にしている=三重県志摩市の県水産研究所

■(記者の視点)海の資源守る「ものづくり」に期待 

 日本の海産物の養殖業は、安い海外産の流入などで規模縮小が続いている。農林水産省によると、2010年の養殖業の生産量は約111万トンで、ピークの94年から約2割減った。

 1キロあたり数千円の高値で取引されるクロマグロの大量養殖は、海の資源を守りつつ、養殖業の規模縮小を食い止める貴重な産品に育つ可能性がある。

 改良や改善を重ねて独自技術を磨いていく――。養殖業にも日本の「ものづくり」の強みは通用する。安値競争とは一線を画したビジネスに発展して欲しい。(信原一貴)



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