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メモ「地球の温暖化&寒冷化 」

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メモ「地球の温暖化&寒冷化 」…未だよく解らないのですが、とりあえずメモします。

「地球温暖化のせいで寒冷化…」 なぜそんなことが起こるのか :日本経済新聞

 図1 偏西風の蛇行によって寒波が流入する仕組み。図は2005年(平成17年)のケース (資料:気象庁)

 このところ寒い日が続いている。気象庁によると、この寒さは、日本付近の上空を流れる2つの強い偏西風「寒帯前線ジェット気流」「亜熱帯ジェット気流」が南へ蛇行し、北からの寒気が入りやすくなっているためだ(図1)。

 

 2011年12月の東日本の平均気温は平年を0.8度、東京都心では1.2度下回った。2012年1月も冬型の気圧配置が長く続いた。さらに2月も寒くなると予想されている。12月〜2月の3カ月をトータルでみても、ほぼ全国的な「寒冬(かんとう)」となる公算が大きい。6年ぶりの寒冬だという。

 

 こう寒い日が続くと、次のような疑問が浮かぶ人も多いだろう。「あれ、地球は今、温暖化しているのではなかったのか?」と。

 

■異常低温、世界各地で発生中

 

 IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の発表では「地球が温暖化しているのは間違いない事実」とされており、多くの学術的な研究によってそれを裏付ける結果が出ている。また、気象庁が発表している日本の冬の平均気温のグラフをみても、全体的なトレンドとして温暖化の傾向は明らかだ(図2)。

図2 近年の日本の冬(12〜2月)の平均気温 (資料:気象庁)

ただ、図2のグラフを見ても分かるように、平年と比べて寒い冬は、近年でもたびたび出現している。

 気象庁が発表している2011年の「異常高温・異常低温出現頻度」を見ても(図3)、アジア、オーストラリア、中近東を中心に、頻繁に「異常低温」が発生している。また2009年、2010年も、北半球を中心に、世界各地で大規模な「異常低温」が発生している(図4、図5)。

図3 2011年の異常高温・異常低温の発生頻度。赤・オレンジ色が異常高温の発生、青・水色が異常低温の発生を示す (資料:気象庁)

図4↑ 2009年 図5↓ 2010年に世界で発生した主な異常気象 (資料:気象庁)

 地球温暖化とは「地球全体の平均気温が均等に数度上がる」ことではなく、「平均気温の上昇で従来の気候システムが変化し、予期せぬ異常気象が増える可能性が大きくなる」現象だ。それを考えれば、局地的な寒冷化の頻繁な発生は、これからもますます増えていくだろう。

 

■北極海の海氷が解けて日本が寒冬に

 

 今冬のような日本の寒い冬は、まさに温暖化に起因する現象、とする学説もある。「温暖化が日本の寒冬につながるメカニズム」は、次のようなものだ。

図6 北極海の海氷の比較。左が1979年9月、右が2011年9月 (資料:宇宙航空研究開発機構)

(1)まず、温暖化によって北極海の氷が解ける。実際のところ、このところ特に夏の海氷面積が縮小している(図6)。

 

(2)海氷は太陽光の反射率が海よりも高いので、その面積が縮小すると、従来よりも太陽の熱を吸収しやすくなる。さらに海氷は海から大気への熱伝達を遮断する“断熱材”としても働いているが、海氷面積が小さくなることで大気への熱放出が増え、北極海周辺の大気が暖まる。

 

(3)大気が暖まると、そこの上空で気圧が高くなる。

(4)偏西風帯のジェット気流がスカンジナビア半島北東、北極海の一部「バレンツ海」付近で北側に押し上げられ、その反動でシベリアから中国大陸に向かって、南側に大きく蛇行する。

(5)蛇行によってシベリア高気圧を強める作用が働き、強い寒気が中国大陸から日本列島に南下しやすくなる。

 

 もちろん、気候システムは多くの要素が複雑に関連し合って成り立っているので、北極海の海氷の減少だけで日本の冬の寒さが説明できるわけではない。また、さらに温暖化が進めば、こうしたメカニズムも働かなくなって、一気に暖冬傾向へと局面が転換する可能性もある。

 

■地球規模の「熱塩循環」に注目

 

 欧州に関しても、「温暖化によって逆に寒冷化する」という学説がある。この説の根底にあるのが、「熱塩(ねつえん)循環」「グローバルコンベヤーベルト」などと呼ばれる、地球規模の海水循環だ。

 

 海水の密度は、海水温と塩分濃度によって決まる。海水温が低いほど、そして塩分濃度が高いほど密度が高くなる。密度の高い海水の塊は、深海に沈み込み、深層水となる。

 例えば表層海流であるメキシコ湾流は、大西洋の赤道付近から北極付近に向かう間に次第に冷えて密度が高くなり、高緯度に達したときに沈み込んで北大西洋深層水を形成する。この深層水は深層海流となって移動し続けるが、移動するにつれて各海域で表層近くの海水と混ざり合いながら均一化し、およそ1000年〜1200年後に、北東太平洋に達して再び表層に戻る、と考えられている。

図7 熱塩循環の概略図 (W. S. Broecker氏による図を基に作成)

 この過程で、海水の塊は、見えないコンベヤーベルトのように塩などの溶解物質熱やエネルギーを輸送し、地球各地の気候に大きな影響を与える(図7)。これが熱塩循環である。

 

■“海のコンベヤー”が止まって寒冷化?

 

 「温暖化で欧州が寒冷化する」という説の根拠は、温暖化でこの熱塩循環がストップする可能性があることによるものだ。

 

 このコンベヤーを動かしている“エンジン”は、前述の通り、表層海流と深層海流の密度の差だ。温暖化によって北極海など北半球の海氷が解けて塩分濃度が下がると、海水の密度が下がり、水塊の沈み込む力は衰える。エンジンのパワーがなくなっていくわけだ。それには海水温の上昇による密度低下も、拍車をかけるだろう。

 

 こうして熱塩循環が減速し、やがてストップしてしまう可能性があるという。欧州は、表層海流として赤道付近から運ばれてくる温かいメキシコ湾流の恩恵を受けて緯度のわりに比較的温暖なわけだが、ここが寒冷化してしまうというシナリオである。

 

 熱塩循環が温暖化によって減速しつつあるのか、それが欧州に寒冷化をもたらすのかといった事象について、まだ決定的なことは分かっていない。ただ、地球の複雑な気候メカニズムを考えると、このように「風が吹けば桶(おけ)屋がもうかる」式の、一見温暖化とは逆にも思えるような現象が局地的に起こる可能性が、十分にあるということだけは確かだ。

 

(日経BPクリーンテック研究所 須田昭久)


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