本格稼働は「東芝が活用第1弾、金属の耐久性研究」からとなりますが、今までからも、いろいろな製品開発に役立てていたようです。大きな研究から日用雑貨や化粧品関連開発まで大いに期待できます。全ての分野での開発スピードアップにつながり、日本の優位性ある製品開発や技術開発に大いに貢献できると確信します!
最先端レーザー分析施設、来月稼働 物質の姿を原子で観察 :日本経済新聞
理化学研究所は6日、兵庫県の播磨科学公園都市(佐用町)に最先端の巨大研究施設「SACLA(さくら)」が完成したと発表した。3月から本格稼働する。X線レーザーと呼ぶ強力な光で、生きた細胞や化学反応が刻々と変化する様子を原子レベルで瞬時にとらえる。三菱重工業や日立金属など日本企業500社の技術力を結集、その性能は欧米の施設をしのぐ。産業界からも創薬や新素材開発に威力を発揮すると期待されている。
X線レーザーは、透過性に優れたX線と、ピンポイントで照射できるレーザーの利点を併せ持つ。X線撮影のように中身を透かし見ながら、原子の大きさまで観察でき、「夢の光」といわれる。
SACLAのような研究施設は、細胞内で生命活動を担うたんぱく質がどう働くのか、化学反応がどう進むのかを直接観察するのが目的で、欧米でも建設されている。
たんぱく質が病気の原因となる物質を放つ瞬間をとらえることができれば、この反応を抑える新薬候補物質の探索が大幅に効率化される。化学反応の過程を観察できれば、新しい合成法や触媒を発見する手掛かりとなり、新素材開発に役立つ。
SACLAは欧米の施設に比べ小型で性能が高い。全長は700メートルで、2009年に完成した米国の施設の2キロメートル、13年に稼働する欧州の施設の3.3キロメートルよりもかなり小さい。細かい物を見る性能も米国のほぼ2倍、欧州より約3割高い。建設費も約390億円で、米国の約470億円、欧州の900億円以上よりも少ない投資で済んだ。
これを可能にしたのが日本企業の技術力を結集して開発した線形加速器だ。電子を短距離で光の速度まで高め、品質のそろったX線レーザーを作り出すことに成功した。
電子を加速する強力なマイクロ波発生装置は東芝が担当、加速部分のシステムは三菱重工が設計した。この装置に使われた銅は日立電線製で、純度を99.99%以上に高めている。
光速の電子からX線レーザーを発生させる装置には、日立金属が開発した磁石が使われた。真空中でも性能が落ちないのが特徴で、装置内部に設置した。外に磁石を並べた欧米の装置よりも強い磁場が発生するため、性能が高まった。
世界一波長が短い 電子や原子の動き見えるレーザー光施設
世界一波長が短いレーザー光で、原子や電子レベルの非常に小さな物質
の動きを観測できる装置が兵庫県佐用町に完成し、公開されました。
理化学研究所の播磨研究所に横たわる全長700メートルの
「X線自由電子レーザー施設」、通称「SACLA(サクラ)」。
これらの装置から作り出された特殊なレーザー光を細胞などに照射する
と、これまで結晶にして固めた状態でしか観測ができなかった原子レベル
の物質が動いたままの状態で観察できるということです。 これにより、
化学反応が起こる一連の仕組みなどが観測できるようになったといいま
す。「まず細かいものが見える。原子・分子の世界が見える。
非常に明るい『SACLA』だと、原子・分子の世界がひとつの分子で見
えてる」・・・
SACLAは当面、基礎科学分野での利用が主体となるが、創薬や新素材開発など産業応用も期待できる。第1弾として、東芝が金属の耐久性や寿命を高める研究に活用することが決まった。
東芝はレーザーを材料の表面に照射して金属疲労を起こしにくくする独自技術の研究に利用する。すでに発電所の大型タービンなどに採用してきたが、なぜ耐久性が高まるのか詳細はわかっていなかった。レーザーを当てたときに金属の内部がどう変化するのかを原子レベルで直接観察できるようになれば、原理の解明につながり、用途を拡大できる。
新薬開発における利用では、北海道大学や慶応義塾大学、東京大学などが中心になる。ただ、将来的には使用料を支払えば、研究成果を公表せずに利用することも可能。製薬業界からも「これまで以上に薬効が強く副作用の少ない医薬品の実用化につながる可能性がある」と期待は高まっている。
6日、兵庫県姫路市で開かれた完成式典で、ノーベル化学賞受賞者の野依良治理研理事長は「社会の変革に貢献できる施設だ」と強調。三菱重工業の大宮英明社長も「新技術、新産業の種(シーズ)を育む夢の光になる」と期待を寄せた。