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メモ「半導体の事業統合 /ルネサス・富士通・パナソニック」

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 全世界的に、企業の独自性を固執する時代は終わった。いいことであれば、どんどん提携や合弁、企業統一もしてしまう時代。独占禁止法が国内対象に厳格に運用されていた時代が懐かしくもあるも、今そんなことをしていたら日本は奈落の底になるだけです。まして、電機業界は得意分野での生産仕分けで「ブランド替え」して上手く凌いで来た業界です。半導体も2つの巨大企業となり、投資余力が出て来そうです。単独では、賭けた技術が数年で時代遅れとなれば、赤字化から倒産に至ります。今後もこのような再編成は進んで行くことでしょう。

ルネサス・富士通・パナソニック、半導体の事業統合交渉 :日本経済新聞

  ルネサスエレクトロニクスと富士通、パナソニックの3社が半導体の主力事業を統合する方向で協議を始めた。家電製品などに組み込むシステムLSI(大規模集積回路)事業を3社が切り出し、官民ファンドの産業革新機構が出資して半導体設計の専門会社を設立する。革新機構は米国企業と半導体を受託生産する新会社も併せて設立する。日本の主要半導体メーカーを設計と製造部門に集約し、開発力の強化で生き残りを目指す大がかりな再編が動き出す。

 ルネサスと富士通、パナソニックの3社と革新機構は3月末までの基本合意を目指す。2012年度末までの事業統合に向け交渉する。実現すれば年間売上高で約5000億円とシステムLSI分野で世界有数の会社が誕生。システムLSIを手がける日本の半導体メーカーは新会社と東芝の大手2社に集約される。再編により電子機器や自動車の「頭脳」となるシステムLSIで、国際競争力のある半導体メーカーをつくる狙い。

 ルネサスと富士通、パナソニックの3社はまずシステムLSIの設計・開発部門を切り出して統合新会社をつくり、革新機構から数百億円の出資を受け開発費用に充てる。画像処理や通信など各社が得意とする技術を持ち寄り、スマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)や自動車の制御をつかさどるシステムLSIの開発力を高める。

 多額の設備投資が継続的に必要となる生産部門は、設計部門と切り離す。革新機構と半導体受託生産で世界2位の米グローバル・ファウンドリーズ(カリフォルニア州)が日本に設立する新会社に移管する。新会社はルネサスから鶴岡工場(山形県鶴岡市)を、富士通から三重工場(三重県桑名市)を取得する案を軸に調整する。

 さらに、経営再建中のDRAM大手、エルピーダメモリから国内唯一の生産拠点である広島工場(広島県東広島市)を買い取る方向で、詰めの協議に入っている。

 革新機構とグローバル社は広島工場を買い取った後、一部の設備を入れ替えてシステムLSIの受託生産事業を始める。グローバル社は日本に初の生産拠点を持つことで、日本の電機や自動車メーカー向け半導体の生産拡大を狙う。

 新会社設立後もルネサスは主力のマイコン事業に、パナソニックは画像センサーなどに経営資源を集中する見通し。

 演算処理やデータ保存などの機能をまとめたシステムLSIの顧客は電機、自動車メーカーなど幅広い。顧客企業の求めに応じて少量多品種の生産構造になりやすい。ただ、最先端の半導体を生産するには1工場で千億円単位の投資が継続して必要となる。このため半導体各社のシステムLSI事業は軒並み赤字で、抜本的な構造改革を迫られていた。

半導体再編、最終章に LSI、2陣営に集約 :日本経済新聞

 業績不振にあえぐ半導体業界の再編が最終章に入る。国内のシステムLSI事業は2陣営に集約される。電機大手が半導体事業を統合するケースはこれまでにもあったが、設計・開発と生産部門を分離し、専業会社をつくる再編は初めて。すでに欧米の半導体会社は設計・開発に特化した企業が多く、生産は台湾などの受託専門会社に委託するのが主流。日本の半導体業界は今回の再編を通じ、ようやく世界と同じ土俵に乗ることになる。

 日本の大手半導体メーカーはこれまで技術開発から回路設計、生産までを一貫して手がける「垂直統合モデル」を堅持してきた。回路の微細化が進めば進むほど、開発・設計と量産の擦り合わせができる強みが生き、品質・コスト競争で勝てるとみていたからだ。

 しかし、実態は違った。2000年前後から、画像・音声処理や大容量通信などにそれぞれ特化した開発専業ベンチャーが米シリコンバレーを中心に台頭。それらの有力半導体を大量に受託生産する専門会社が急成長した。

 前者の代表例が携帯電話用半導体で世界首位の米クアルコムや画像処理半導体でトップの米エヌビディアだ。受託生産の最大手である台湾積体電路製造(TSMC)の売上高は、国内首位の東芝の半導体事業に匹敵する。米グローバル・ファウンドリーズもこうした世界的な分業の流れに乗って成長してきた。

 その一方で、日本勢は巨額な投資負担が重荷となり、開発力も落ちた。

 背景には日本の製造業特有の構造問題もある。今回の再編対象となるシステムLSI(大規模集積回路)はデジタル家電や自動車、携帯端末など分野や顧客ごとに細かく仕様を分けた「特注品」が山のように存在する。これが開発・生産効率の悪化を招き、慢性的な赤字体質を引きずる要因となった。

 これは日本の自動車大手やデジタル機器メーカーなど顧客企業が、他社との違いを出すために細かな仕様変更を求めてきた結果でもある。汎用的な半導体を採用しコストを下げるのが世界の潮流となったにも関わらず、1種類でより多くの顧客に大量供給する強い製品を育ててこなかったツケが回ったとも言える。

 日本と同じ垂直統合型の米インテルが利益を出し続けているのは、パソコン用演算処理半導体で世界市場をほぼ独占しているからだ。

 日本の半導体メーカーは何度も打開策を講じてきた。03年には日立製作所と三菱電機がシステムLSI事業を統合してルネサステクノロジを発足。同社は10年にNECエレクトロニクスと経営統合し、今のルネサスエレクトロニクスとなった。しかし、そのルネサスは今も過剰な人員と設備に悩まされ続けている。

 各社の生産部門を集約し、「日の丸ファウンドリー(受託生産会社)」をつくる構想も過去には何度も浮上し、頓挫した。中核拠点の選定や技術の擦り合わせ、人事などをめぐる交渉がいつも暗礁に乗り上げたからだ。今回の再編協議も曲折が予想されるが、競争力の強化は待ったなしだ。


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