太陽光発電のポイントであるパネル生産コストと交換効率アップが、益々加速している模様が推察できます。あたかも、この30数年間のコンピュータ記憶容量の増大と(超)小型化を見ている思いです。真空管からはじまり、数ミリのドーナツ磁石から、トランジスタ回路、IC、LSI、、、紙カード/紙テープ、磁気テープ、磁気ディスク、ICチップ、、、超超超小型化とスピードアップへの挑戦と発展でした。いまでは、次の段階のナノテクノロジー/原子&分子レベルの「±」に手がかかっています。下の他社事例も含めて、いろいろな方式の効率アップや細密化が開発されています。日進月歩を地で行っている感であり、四半期ごとに設置機器のコストが変化しています。どの技術を採用して行くかは、非常に難しい経営判断となるでしょう。
リスク回避の為と高額な投資の故に、今後も提携関係が増加して行くことでしょう。各国で国家政策として注力して行くのであれば、意外な早さで再生エネルギーが拡大して行くかもしれません。PC発展と同じ様なことを考えれば、各家庭は殆ど電力会社から買わなくてもよくなり、電力会社はスマートメーター、スマートグリッド、スマート備蓄&送電を活用してコントロールする機能のみになることでしょう。
現在の電力会社がどう動こうとも、事態は技術開発の進展とともに強行突破して行くことでしょう!
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PDILに設置中の試験用太陽電池製造ライン (Credit: Dennis Schroeder)
「1W=50セントも可能」 Ampulseら、結晶シリコン太陽電池の新製法でコスト大幅削減 « SJN Blog 再生可能エネルギー最新情報
米国立再生可能エネルギー研究所(NREL)とオークリッジ国立研究所(ORNL)、ベンチャー企業Ampulseらが、結晶シリコン太陽電池の製造コストを劇的に低減可能な製造技術の開発を進めているとのこと。太陽光による発電コストが、石炭や天然ガスのコストに近づく日が、もうじき来るかもしれません。
太陽電池の材料であるシリコンは、地球上に砂として豊富に存在する元素です。しかし、砂状のシリコンを高純度化して太陽電池用ウェハーを作るプロセスは、複雑で資源のロスが大きく、大量のエネルギー投入を必要とするものであり、このことが太陽電池のコストを上げる要因となっています。
精錬されたシリコンをスライスしてウェハーを切り出すプロセスでは、シリコンのうちの半分が切断時の切屑として失われます。通常、2メートルのシリコン塊(ブール)を切断するプロセスで損なわれるシリコンの量は、ウェハー6000枚分になるとされます。
このようにして製造されたウェハーが、必要以上に厚みがあるということも問題です。太陽光を電気に変換するために必要なシリコンウェハーの厚みは、通常のウェハーの1/10程度でしかないといいます。
開発チームは、このような材料ロスをなくすことによって、完成品のパネルのコストを劇的に下げることに取り組んでおり、従来型のウェハーを用いる結晶シリコン太陽電池の代替となる安価な太陽電池の実現を目指すとしています。
Ampulseの技術は、光電変換に必要なだけの厚さのシリコンを安価な金属箔上に成長させ、材料ロスが出ないようにするというもの。これは、NRELが開発した高品質のシリコン成長技術と、ORNLが開発した結晶構造を持つ金属箔(RABiTS: rolling assisted biaxially textured substrate)を結びつけることによって実現した技術だといいます(Ampulseは、この2つの技術に注目したベンチャーキャピタルの出資によって設立された)。
Ampulseは、NRELのプロセス開発統合ラボ(PDIL: Process Development Integration Laboratory)に試験用の製造ラインを設置。このラインを使って、最新の材料・プロセス技術のテストを行います。そして、PDILの試験製造ラインで得られた知見をもとに、長尺の金属箔ロールを使用できる量産製造ラインの設計を行う計画です。
PDILを運営する Brent Nelson氏によれば、Ampulseのプロセスは、高純度シリコンを含んだガスから高品質の結晶シリコン薄膜を直接作りだすものであり、シリコンの厚さを光電変換のために必要十分な10μm以下にできるといいます。
通常、結晶シリコン太陽電池の製造プロセスでは、砂に炭素と熱を加えて作った金属グレードのシリコンから、高純度のトリクロロシランガス(SiCl3)またはシランガス(SiH4)を精製。これらの高純度ガスを1000℃の温度条件下でシリコン原料(フィードストック)に変換します。フィードストックは1414℃で溶融させた後、再結晶化して結晶インゴットを形成。インゴットをスライスしたものがウェハーとなります。
Ampulseが開発しているプロセスでは、フィードストックを形成せず、シランガスを直接扱って金属箔基板上にシリコン層を成長させるため、フィードストックとインゴットの形成、ウェハーの切り出しなどの工程が省略できます。
NRELが開発した高品質のシリコン成長法では、「ホットワイヤCVD」という技術が使われます。これは、高温のタングステン・フィラメントを使ってシランガスの分子を分解し、CVD(化学的気相成長法)によってウェハー上に堆積させる方法。CVDの温度は700℃であり、通常シリコンウェハーの製造に必要な1000〜1400℃の高温と比べると、かなり低温と言えます。
Ampulseの太陽電池製造プロセスでは、金属箔を装置に送り込み、石英灯を使って850℃まで加熱。金属箔をバッファー層でコーティングしてから、別のチャンバに移してシリコン層を成長。金属箔の結晶構造を制御することによって、その構造が金属箔上のシリコン層でも再現可能となります。さらに、シリコン層を水素原子に曝すことで電子的特性が向上。最後に太陽電池のセル接合部と電極を形成します。
Ampulseの現CEOである Steve Hane氏は、この方法によって「変換効率15%の太陽電池を1Wあたり50セント以下のコストで製造可能になる」と話しています。
(発表資料)http://1.usa.gov/wWvHz9
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