4〜6月 家電や衣料、節電に的 運動用品は高機能化さらに :日本経済新聞
4〜6月は新生活が始まる季節で、節電につながる家電や衣料に消費者の関心が集まりそうだ。原子力発電所の停止など電力問題は続き、小売店はデザイン性や性能の高い商品の需要が強まると予想する。政府は3月の月例経済報告で個人消費を2カ月連続で上方修正。景気や社会保障の先行きは不透明だが、株価も回復傾向にあり、高額品も堅調に推移しそうだ。
東京電力は家庭向け電気料金の引き上げを検討し、5月には全国の原発54基すべてが停止する予定。このため家電製品では扇風機の期待が高い。昨夏は需要の急増を受けて、ピーク時には品切れもあった。今年はより消費電力が少なく、稼働音が小さい「DCモーター」を搭載した扇風機に注目が集まる。異なる種類の羽根を組み合わせて、自然に近い送風の商品も増え、「高価格帯の伸びが見込まれる」(ケーズホールディングス)。
春の引っ越しシーズンを迎え、天井などにつける発光ダイオード(LED)の照明器具が動きそうだ。4月中に価格を3割下げるメーカーもあり、「普及率アップに伴う値下がりで弾みがつく」(高島屋)。一方、シャープが3月16日に発売した安眠効果があるとされる桜色の照明(店頭価格4万円前後から)も販売好調で、機能次第で高額品も売れそうだ。
スポーツ関連ではランニング用品の売れ行きが好調。地下足袋の機能を応用し、素足に近い感覚の「ベアフットランニングシューズ」の支持が広がりそう。5本指のデザインで脚力をきたえやすい。ゴルフではテーラーメイドゴルフ(東京・江東)のドライバー「グローレ」を推す声が目立つ。白色のヘッドで目立つデザイン性だけでなく、強度を保ちつつ軽量化。「年配のゴルファーの需要が見込まれる」(三越伊勢丹)。
家電量販店の店頭に並ぶDCモーター搭載の扇風機(東京都府中市のケーズデンキ府中本店)
衣料では涼感素材。昨夏に続き、商業施設やオフィスなどで冷房は抑えめになる見通し。紳士服ではクールビズが浸透し、ジャケットやスラックスなどの需要を支える。
婦人服ではシニア層でもブラウスが浸透し、通勤にも使えるデザインが増えそうだ。子ども服も吸汗速乾などの機能性Tシャツが「学校需要も含めて節電対策で注目される」(ダイエー)。
震災以降に強まった「巣ごもり」消費も手堅そう。家具では座り心地にこだわった高級ソファ、台所・家庭用品では炭酸水を製造する「ソーダストリーム」が脚光を浴びる。自宅での宴会などで使うほか、「洗顔での美容効果などもあるとされ、幅広い年代で注目を集めている」(ロフト)。「弁当男子」など料理する男性も増え、新しいセラミックと特殊樹脂で加工したフライパンなどが人気を呼ぶ。
日本百貨店協会によると、美術・宝飾・貴金属は2月まで4カ月連続のプラス。3月に入り米景気の回復を材料に為替相場が円安に振れ、日経平均株価は1万円台前後まで回復した。株価の上昇傾向が続けば4〜6月も高額品は堅調に推移しそうだ。
《調査の方法》4〜6月に売れそうな商品について、百貨店、スーパー、ホームセンター、専門店にアンケートを実施。計21社から回答を得た。回収した調査票を日本経済新聞社が集計、分析した。調査期間は2月上旬から3月上旬。協力企業は以下の通り。
▽百貨店(7社)三越伊勢丹、そごう・西武、大丸松坂屋百貨店、高島屋、東急百貨店、阪急阪神百貨店、丸井▽スーパー(3社)イズミヤ、イトーヨーカ堂、ダイエー▽ホームセンター(2社)コメリ、DCMホールディングス▽専門店(9社)エディオン、オートバックスセブン、ケーズホールディングス、タカキュー、チヨダ、西松屋チェーン、ビックカメラ、ロフト、ワシントン靴店