妙法桜:日蓮のつえ後継樹、クローン技術で培養・育成 安国論寺で苗木公開−−鎌倉 /神奈川− 毎日jp(毎日新聞)
鎌倉時代に日蓮宗を開いた日蓮のつえが根付いたと伝えられる「妙法桜」を残すため、クローン技術で芽の組織を培養して育てた苗木が12日、妙法桜のある鎌倉市大町4の安国論寺で公開された。老齢化で枯死が心配され、寺が08年、大手住宅会社「住友林業」の筑波研究所(茨城県つくば市)に後継樹の育成を依頼していた。
妙法桜はサトザクラの一種で、めしべがつえの形に似る。樹齢760年とも伝承され、樹勢が衰えたうえ、ウイルス性の病気にかかり、枯れる危険性が高まっていた。寺は樹木医らの協力で接ぎ木や挿し木などによる再生を試みたが、うまくいかなかった。
住友林業の研究所は、妙法桜に適した培養液を研究開発。08年12月から、ほぼ無菌といわれる冬芽の先端部分の組織を取り出して試験管で培養した。その後、人工土壌などで育て、今年2月には畑に移し、約40センチまで成長した苗木が、この日公開された。
苗木は今冬、境内に植える予定で、根付けば3年で花を付けるという。岩手県陸前高田市の名勝・高田松原の中にあったが、東日本大震災の津波で流された日蓮宗の妙恩寺を再建する際にも、同じ苗木を植えるという。
研究所は「妙法桜の特徴を完全に受け継ぐことができた」と自信を見せた。安国論寺の玉川覚祥住職は「ほっとした。妙法桜が全国に広がってもらえれば」と喜んでいた。【松永東久】