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メモ「津波総合シミュレーションシステム/清水建設」

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SJN ‏ @SJN_News

清水建設、津波の挙動や津波荷重を詳細に予測する三次元解析システムを開発(発表資料)bit.ly/HShE1X pic.twitter.com/0eFKnX4T

最先端の三次元解析により、津波の挙動や津波荷重を詳細に予測
津波総合シミュレーションシステムで津波防災に貢献

清水建設(株)<社長 宮本洋一>はこのほど、津波が陸上を遡上し建物などの建造物に衝突したり、建物内に浸入する様子を三次元で高精度に再現しながら、建造物に作用する津波の力(以下、津波荷重)を詳細に予測できる「津波総合シミュレーションシステム」を開発・実用化しました。このシステムは、当社が過去に開発した津波被害予測システム※1と同様、津波の発生源となる断層破壊から津波が海洋伝播する様子を解析する機能も備えています。

一般に、津波荷重の評価では内閣府策定のガイドライン※2に示されている簡易な算定式を用いることが多く、当社の津波被害予測システムでも同じ算定式を採用しています。ただ、この算定式は建物が津波に浸る高さ(浸水深)だけをもとに津波荷重の最大値を求めるものであり、津波の衝撃的な力や建物内部で発生する津波荷重、時間的な性状変化、地形や建造物の三次元的な形状の影響は十分には配慮されていませんでした。

そこで、津波総合シミュレーションシステムでは、津波の三次元的な動きを再現することにより、津波荷重の算定精度を飛躍的に向上させました。例えば、津波が防波堤を越えて激しく打ちあがり、建造物に衝突する一連の現象を再現しながら津波荷重を解析できます。これは、VOF(Volume Of Fluid)法※3という流体の挙動特性をリアルに再現できる解析手法を導入したこと、当社が風環境解析等で蓄積してきた建物や地形を含む大規模な解析領域の三次元モデル化技術を応用したことにより可能となったものです。

VOF法とは、液体容器をはじめとした閉鎖空間で発生する流体のスロッシング現象などの解析に用いられる手法です。流体の動きを詳細に再現できるものの、膨大な演算が不可欠で津波の遡上のように広域に及ぶ流体解析には不適でしたが、今回、当社がこれまで培ってきた高速演算技術や、東京工業大学のスーパーコンピュータ「TSUBAME2.0」※4を利用することで、その適用が可能となりました。一方、複雑な形状を有する地域の地形や建造物の三次元モデル化は容易ではありません。そこで、地形と建物の二種類の三次元データを組み合わせて一つのデータとし、これに異なる大きさのメッシュ(荷重と速度を計算するポイントの密度)を自動的に設定することによって、高い解析精度と解析効率を両立しました。

なお、本システムは、断層の時間差破壊を考慮したシミュレーションが可能な新しい機能を加えています。断層破壊について一つの断層が一度に破壊する状況だけでなく、断層破壊の経時進行や複数の断層が連動して破壊する状況など種々の条件設定に対する津波のシナリオを複数検討できます。これにより、当該沿岸域での津波高さが最大となる場合を想定した対策の立案が可能になりました。

今後、当社は最先端の本システムを活用し、市街地を遡上する津波の性状や建造物に作用する津波荷重を種々の条件下で明らかにしていくとともに、沿岸部に立地する重要構造物の津波に対する構造安全性の検討や津波対策の立案などを通して、津波防災に貢献していく考えです。

以 上

≪参 考≫

※1.津波被害予測システム2006年2月に開発。津波の発生から海洋上の伝播、陸上遡上、津波荷重、津波遡上地域の住民の避難行動などを予測できる。津波総合シミュレーションでは、津波荷重を三次元解析できる点、津波の発生源である断層の時間差破壊を考慮できる点で機能が向上している。 ※2.内閣府のガイドライン2005年6月に、津波避難ビル等に係わるガイドライン検討会が作成。 ※3.VOF法流体挙動の解析手法の一つ。例えば水と空気、あるいは水と油など、互いに混じることの無い複数の流体が存在する現象を対象とした計算手法で、特に激しい運動で発生する境界面の挙動の再現に用いられる。 ※4.「TSUBAME2.0」の利用本システムによる計算検討は、東京工業大学 学術国際情報センターのTSUBAME共同利用(産業利用)の採択課題「複雑地形を考慮した超大規模津波波力解析システムの開発」により実施した。    

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