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必見!智慧得(504)「石田秀輝/ネイチャーテクノロジー:バイオミメティクス」

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 下記の通り石田先生の研究は有名ですが、近ごろ特に盛んになって来た「ナノテクノロジー」の発達とともに、用途開発も進んでいるようです。また、分子、原子レベルが直接動きを目視できる超大型電子顕微鏡の開発で、今まで予測推測していたものを実際に確認できる様になって来ています。明確の効用を確認できることは、新製品開発には大きな進歩です。人間にとっては大変な事柄でも、生物は自然の営みの中で、平気でものすごいことをしてしまっています。光合成や蜘蛛や蚕の糸の作製=人間には常温で単純な装置ではとても出来ません。しかし生物はいとも簡単に日常的に出来てしまっています。…先日も大変な作業で「くもの糸のバイオリン」を奈良先端科学大の先生が報道されていました…いい音色で注目の的ですが、量産は出来ません。もし蜘蛛の糸もどきを造れれば、様々な湯とが開けることでしょう。大いなる夢を持って期待しています!

生物の「合理設計」に学ぶ 風車や外壁材、応用は多様 :日本経済新聞

 生物に学ぶものづくりが注目されている。厳しい環境を生き抜く昆虫や植物の体の仕組みは、新製品の開発現場に斬新な機能やアイデアをもたらす。わずかな風で発電する風車や汚れにくい外壁材、水分を吸着する多機能材料。すべてに「生物模倣(バイオミメティクス)技術」が生きている。驚きの仕掛けを紹介しよう。

 東北大学の石田秀輝教授が熱中するのがトンボだ。「どんな微風でも宙を舞う」。その謎にひかれた。

 石田教授は風の流れを可視化できる装置を使い、羽の周りの気流を分析。トンボの羽はギザギザの形状をしており、その凹凸が風をうまくとらえ、飛ぶ力に変えることを突き止めた。

 風をつかむ能力はすぐに役立つ。風力発電だ。

 風車のプロペラをトンボの羽そっくりにしたところ風速20センチメートルでも回り始めた。「微風でも回転する風車が開発できるのではないか」(石田教授)

 今までの風車は風速2メートル以上でないと回らない。日本を吹く風のほとんどは同3メートル程度。発電量は不十分だ。発電に適するのは北海道や青森などに限られる。

 トンボに学んだ風車は同1メートルでも発光ダイオード(LED)電球20個を光らせる。石田教授は「風鈴のように家庭の軒先に普通に置いてある風車にしたい」と語り、新しいライフスタイルの創造を予感させる。

 バイオミメティクスの研究は、鳥の「カワセミ」のくちばしをまねた新幹線や、サメの肌に似せた水着が実を結んできた。

 最近ではナノテクノロジー(超微細技術)やコンピューターシミュレーション(模擬実験)の進歩が追い風となり、生物の形状と機能の関係を徹底的に追究できるようになった。単純に形状をまねた製品から、模倣を超えて機能を強化した新素材の開発まで裾野が広がっている。

 見る角度によって7色に光るタマムシ。羽の表面にナノ(ナノは10億分の1)メートル大の粒子が幾層も並ぶ。光の反射や屈折が相互に影響し、独特の色合いを醸す。発色の原理を中野科学(新潟県燕市)はステンレス製品に応用している。表面を微細加工し、塗料を使わず色鮮やかに輝かせる。色がいつまでも衰えない。リサイクルしてもステンレスに戻るだけだ。

 東京理科大学が開発したゴム材料は、約10ナノメートルの微細なしわ構造をもつ。参考にしたのはバラの花びらだ。バラの花弁を電子顕微鏡で観察すると、微細な凸凹があり、高さが1マイクロ(マイクロは100万分の1)メートルのトゲも無数に見える。バラは一度はじいた水滴を花びらの表面にとどめ、水に含まれる栄養分を吸うという。

 新材料は、水滴をはじき、球体の水滴として表面にとどめておく。材料を曲げると水滴は落ちる。水をはじくはっ水性に加え、吸着性と分離性を兼ね備える。東京理科大の遠藤洋史助教は「砂漠などで一度降った雨をエネルギーを使わずにためておける」と話す。

 生物は進化の末に合理的な機能にたどり着いた。そこには「『省エネ設計』ともいえる知恵が隠れている」と語るのはバイオミメティクス研究で知られる東北大学の下村政嗣教授だ。一石二鳥の効果を狙うしたたかさに自然の賢さが表れる。ガの目は光を反射しにくい形状で周囲から目立たないようにしているが、その構造は雨水をはじくときにも役立っている。

 「家を購入して11年になるが、汚れもなく、新築当初とほとんど変わらない」。入居者も感心する快適さの理由は「汚れにくさ」だ。雨が外壁材の汚れを落としてくれる。砂ぼこりが付いても掃除の手間が省ける。

 住生活グループのLIXILの井須紀文・水まわり総合技術研究所室長は「カタツムリの殻が汚れている姿を見たことがない。きれいに保っている秘密がある」と説明する。

 殻の表面は非常に細かな溝が走る。意図したかどうかは分からないが、この構造によって常に「水の膜」で覆われている。水の膜が油や汚れを浮かし、雨が降ると流れ落ちる。カタツムリの殻の構造を外壁材にしたところ「耐用年数は従来の2倍の30年以上。メンテナンスが要らず、資源を有効利用できる」(井須室長)。

 ふと目にする身近な虫にも、革新的な技術を生み出すヒントが潜んでいる。

(上林由宇太)


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