TBS「夢の扉+」4月22日(日)#51「ごみで都市を油田に!」
ドリームメーカー/京都市役所 環境政策局職員 山田一男 さん
京都発 究極のリサイクル!紙ゴミから生まれるバイオエタノール!
〜美しい環境を子どもたちに!“ゴミのプロ”公務員の奮闘記〜
『ただゴミを燃やすだけではもったいない!そこにエネルギー資源が眠っている』
原発事故以降叫ばれるエネルギー危機・・。今夏の電力不足への懸念も高まる。この天然資源が少ない日本で、家庭から出る紙ゴミから、ガソリンの代替燃料となるバイオエタノールを生み出すという驚きのプロジェクトが動いている。その画期的な試みを先導するのは、京都市役所の職員、山田一男、49歳。廃棄物処理一筋27年の“ゴミのプロ”だ。公の事業として一般ゴミからバイオエタノールを製造するのは世界初の試みとなる。
バイオエタノールは、主にトウモロコシやサトウキビといった穀物から作られるが、国土の狭い日本では、食物資源からのバイオエタノール製造は難しい。しかし、山田のチームが取り組むバイオ燃料の資源は、毎日出るゴミ。資源を安定して供給できる。しかも、木材から作られる紙ゴミには、バイオエタノール製造に欠かせない「糖分」が多く含まれ、生ゴミよりもかなりの生産量が見込めるという。“都市が油田になる”という夢のようなプロジェクト、この4年越しの挑戦を大阪の日立造船が技術面でサポートする。
だが、そこには大きな壁が…。バイオエタノールの製造過程で「発酵」が行われるが、過去に紙ゴミの発酵を可能にする酵母は開発されていなかった。そこで山田のチームは、熊本大学の発酵学の権威・木田健次教授に開発を依頼。教授は3年がかりで、ゴミの中の細菌にも負けない強い酵母を生み出した。こうして、都市油田プロジェクトは、産官学が連携し前進していく。
そして、ついに紙ゴミから作られた初めてのバイオエタノールの抽出日を迎えた。うまくいけば、1トンのゴミから約60リットルのバイオエタノールが作れるという。山田は、京都の世界遺産で、その意外な活用法を思いつく。それは、春夜を彩る二条城をライトアップする「灯篭」。果たして、紙ゴミから生まれたバイオエタノールを使って、古都に灯はともるのか。
環境モデル都市としてバイオマス利活用の促進に取り組んできた京都市は2011年8月19日、日立造船および熊本大学と共同で、家庭やオフィスから排出される一般廃棄物からバイオ燃料を製造する技術を開発すると発表した。紙を含む一般廃棄物からのエタノール製造は全国はじめての試み。
一般廃棄物は収集方法や収集量が安定しているため、エタノール原料として実用性が高い。回収された一般廃棄物は、破砕機と分別機によるビニール類除去と酵素や特別な酵母を加えた発酵の工程をふみ、エタノールへと精製される。1トンのゴミから60リットルの収量が見込まれている。エタノール分離後の残渣からバイオガスを取り出す取り組みもあわせて行われる。
この計画は2011年度及び2012年度の2カ年で実施される。京都市は西京区にある西部圧縮梱包施設内に実証建設用地提供するとともに、これまでに蓄積されたごみ組成調査データを基に助言を行い、日立造船が実証装置の建設を担当、熊本大学は使用する酵母の提供や実証実験の指導を行う。2013年の実用化を目指し、精製されたエタノールはガソリンの代替燃料や発電機などに使用される予定。
東京ガス、生ごみからバイオエタノールとバイオガスを同時回収へ(関連のJFS記事)
http://www.japanfs.org/ja/pages/024879.html
北九州市、食品廃棄物エタノール化実証プラント完成(関連のJFS記事)
http://www.japanfs.org/ja/pages/024606.html
登録日時j:2011/12/17 06:00:15 AM
京都市が生ごみと紙ごみからエタノールに変換する事業を開始 / アジア・バイオマスエネルギー協力推進オフィス Asia Biomass Office日本の家庭からでる「家庭ごみ」と、事務所・飲食店・商店等から出る「事業系ごみ」を併せた「一般廃棄物」の総排出量は、減少傾向にある。日本全国で平成17年度に「一般廃棄物」の総排出量が5,273万トンあったが、平成21年度は4,625万トンであった。一人一日当たりの排出量は、平成21年度には1kgを下回り994gであり、確実にごみ排出量は減少してきている。環境省は「不況の影響やリサイクル意識の向上、ごみ袋有料化の取り組みが広がっていることが、ごみ排出量減少の背景にある」としている。
人口146万人の京都市も、「一般廃棄物」の総排出量が減少している。5年前(平成17年10月〜平成18年9月)には総排出量が663,298トンあったが、平成22年度には488,829トンと26%も減少した。京都市は、更なる「ごみ減量化」を進める一方、「ごみの再資源化」も積極的に取り組む方針である。
京都市は、2011年8月、「全国初の取組となる、生ごみと紙ごみの混合物からエタノールに変換する事業を、日立造船と熊本大学で共同実施する」と発表した。環境省の補助金事業で、平成23年度と24年度の2年間の事業である。
事業内容は、京都市内から排出される一般廃棄物を機械選別し、生ごみと紙ごみに酵素と酵母を加え、糖化と発酵を同時に行い、最終的には濃度99.5%のエタノールを製造する。一般廃棄物1トンからエタノールが約60リットル製造でき、ガソリン代替や発電機等の燃料として利用する。「家庭ごみ」には、生ごみである厨芥類が36.7%、紙類が30.2%、「事業系ごみ」には厨芥類が41.1%、紙類は33.1%あり、これら生ごみと紙類は全体の70%程度を占めている。これまで焼却していたが、バイオマス資源として活用し「エネルギー回収」する。
京都市はこれまで、バイオディーゼル燃料化事業やバイオガス技術実証事業などバイオマスの利活用に先進的に取り組んできた。今回の事業は全国初の取組で、その成果は他の自治体にも適用できる。
図 日本の一般廃棄物(ごみ)総排出量の推移
出典:一般廃棄物の排出及び処理状況等(平成21年度)環境省
(http://www.env.go.jp/recycle/waste_tech/ippan/h21/data/env_press.doc)
図 京都市の一般廃棄物(ごみ)総排出量
出典:
・京都市家庭ごみ収集量 (http://www.city.kyoto.lg.jp/kankyo/cmsfiles/contents/0000102/102893/kyoto07.pdf)
・京都市事業ごみ搬入量 (http://www.city.kyoto.lg.jp/kankyo/cmsfiles/contents/0000090/90089/jigyo07.pdf)
・京都市ごみ量推移 (http://www.city.kyoto.lg.jp/kankyo/page/0000056895.html)
図 京都市の家庭系ごみ組成(平成19年度)
出典: (http://www.city.kyoto.lg.jp/kankyo/cmsfiles/contents/0000063/63566/The8thAttachmentSeparately1.pdf)
図 京都市事業系ごみ組成
出典: (http://www.city.kyoto.lg.jp/kankyo/cmsfiles/contents/0000063/63566/The8thAttachmentSeparately1.pdf)
図 一般廃棄物からエタノール製造フロー
出典:日立造船�プレスリリース
(http://www.city.kyoto.lg.jp/sogo/cmsfiles/contents/0000106/106510/kaiken819flow.pdf) …解り易い図解あります!
参考:
・京都市広報資料
http://www.city.kyoto.lg.jp/kankyo/cmsfiles/contents/0000106/106149/kisyakaikennoshirase0817.pdf