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メモ「1万人の雇用が期待の”洋上風力発電”/フランス」

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 フランスは大統領が変われば、再生エネルギー重視へシフトする、その前提で動き出した模様!

フランスの原子力企業アレバ社も、スペインのイベルドローラ社と組んで風力発電事業に乗り出す。 goo.gl/qQ4mG ロンドンでクリーンエネルギー推進の第3回閣僚級会合。世界の流れですね。早くこの間の遅れを取り戻そう。 goo.gl/iMrRN

 

フランスの再生可能エネルギーはいま(1) ――1万人の雇用が期待される「洋上風力発電」:復興ニッポン いま、歩き出す未来への道

 

アルストンの試作機「Haliade-150」


日本では7月に再生可能エネルギーの全量買い取り制度が始まり、再生可能エネルギーが国のエネルギー政策で大きな役割を担うことが期待される。原子力発電に依存するフランスでも、実は再生可能エネルギーの活用に向けた動きが活発化している。フランスではどのように取り組んでいるのか、現地からリポートする。第1回は、洋上風力発電に関する最新の動きを取り上げる。

 フランスの原子力大手アレバにとって2012年4月5日は最高と最悪のニュースが交錯した日だった。最悪のニュースは、フランス北西部のパンリー原子力発電所2号機で火災が発生したこと。福島第一原発の事故から半年後の9月に死者1人を出す事故があり、それに次ぐ事故だった。幸いなことに、この事故では1人が軽傷を負ったが、「たいしたことはない」との報道に終わった。

 最高のニュースは、1年前から提出していた洋上風力発電事業を落札したこと。高さがエッフェル塔の半分程度、160から180メートルもある風車がフランスの北西、ブルターニュからノルマンディーにかけての海岸線に400から500基も建つ、とラジオもテレビも原発事故を忘れさせるほどにぎやかに伝えていた。

 

社会党の公約はそれほど劇的なものではない

 

 現在、フランスにおいて最大の関心事は、5月6日に行われる大統領選挙の決選投票の行方だ。4月22日の第1回投票で最大野党「社会党」のオランド候補が現職のサルコジ大統領をリードした。その社会党は大統領選で原子力エネルギーへの依存を50%に削減すると公約したが、これは劇的なエネルギー政策の転換とは言えないだろう。

 現政府は既に2007年に設立した環境グルネル会議(Grenelle de l’environnement)を受けて、2020年までに再生可能エネルギーを少なくとも総消費電力の23%まで向上させる目標を立て、洋上風力発電だけでも出力6000メガワット(1200基、総消費電力の3.5%)相当を見込む予算を立てているからだ。

スペインとオランダの技術力を背景にしている

 今回の洋上風力発電事業は5カ所の候補地があり、2つのコンソーシアムが落札し4カ所が決定した。フランス原発企業アレバ(Areva)とスペインの風力発電専門のイベルドーラ(Iberdrola)、エオール・レ・テクニップ(Eole-RES-Technip)、ネオエン・マリン(Neoen Marine)からなるコンソーシアムが1カ所、出力500メガワットを受注した。

 実質的にはアレバとイベルドローラ連合といえるが、アレバがスペインのイベルドローラと手を組んだのは、イギリスを中心に1万メガワットを供給してきたイベルドローラの世界一といえる風力発電の技術力が必要だったからだ。

 3カ所を受注したのは、フランス電力公社ウーデーエフ(EDF)と重電メーカーで列車製造でも世界的に高いシェアを持つアルストム(ALSTOM)、オランダ風力発電の老舗ドンク(Dong)、アリエス・マリン(Ailes Marines SAS)4社によるコンソーシアムだ。彼らは出力合計1428メガワットの受注をした。アルストムが選ばれたのは既に最新の試作機(6メガワット)の実験を公表していたからだ。

 5カ所のうち4カ所は、スペインとオランダの技術力を背景に、三色旗を背負った企業からなるコンソーシアムが勝利したが、同じ三色旗を背負った、天然ガス資源開発のために設立したフランスガス公社と水道・パイプラインのスエズとの合併会社GDF-Suesは受注にもれた。

生産の現場をよみがえらせようとする国策でもある

 予定の6000メガワットのうち、今回決定したのは約2000メガワット。残りの入札は本年度末になるという。順調にゆけば、今回の風力発電事業は2014年から20年にかけて稼働される。

 三色旗を背負った大企業だけが風力発電を受注し中小企業にチャンスがなかったと批判もあるが、フランスは洋上風力発電ではドイツやイギリスに大きく遅れをとっていたため、確実な計画を最優先させた結果だった。

 再生可能エネルギー開発にとって嬉しい船出だが、このニュースには別の意味がある。それは風車のほとんどがネジひとつからフランス製になること。つまり、メイド・イン・フランス促進のために風車のあらゆる部品を国内で生産し組み立てる、という約束が今回の受注条件に付いていたのだ。

 スペインとオランダの企業が参画しているが、彼らも風車の立地となるブルターニュとノルマンディー地方に工場をつくる。直接雇用だけでも1万人の労働力が見込まれている。

 工業製品の生産は東欧とアジアに移り、フランス国内では工場の閉鎖が相次いでいる。2012年4月14日のル・モンドによると、若者の失業率は25歳以下で21.7%(2012年2月)と、日本をはるかに上回る。

 新たなエネルギー産業は、衰退しつつある生産の現場をよみがえらせようとする国策でもある。しかもこれは国内のためだけの産業ではない。輸出技術として期待されている。

 東欧とアジア諸国の生産現場の電力をまかなう素材と技術を輸出することが目標であり、国内で実績を積み信用を得るために使う総額70億ユーロという投資額は決して高くない。しかも洋上は、土地所有者との交渉や、環境調査が陸上風力発電よりはるかに短期間で済み経費も少なくて済む、という条件も政府にとって好都合だ。

海外での20年の実績が日本で花咲くか

 2020年には1000から1200基の風車がフランスの海洋上に並ぶことになる。水深30メートル以下の遠浅の海岸線が少ない日本での適用は難しいが、エネルギー産業が欧州諸国にとって有力な輸出産業であることを示す事業展開に注目したい。

 入札のためのコンソーシアムに隣国の有力企業が名を連ね、互いに技術を補完し合い利益を分け合う構造をつくる。4月6日に1428メガワットを受注したアルストンは4月20日にブラジルのオデルブレヒト・エネルジア(Oderbrecht Energia)と組んで2.7メガワットのタービン40基、総出力108メガワットの風力発電の建設契約を結び、2013年にブラジルで稼働する予定という。2011年にタービン生産のための工場を現地につくっている、という手際の良さだ。

 日本企業も商社を中心に1990年代からアジアをきっかけに、米国、欧州で電力事業への投資と開発事業を積極的に展開してきた。その20年の実績が日本という足元で花が咲くだろうか。


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