現在探査船をもう1艦造船中と聴いており、更に海底資源開発が進展することを祈ります!
金や銅が豊富にあり、レアメタル(希少金属)も存在するとされる「海底熱水鉱床」がどこにあるかを絞り込む技術開発が加速している。東京大学は船上で海底の3次元(3D)地図を作製する手法を開発。早稲田大学や高知大学は海底下に埋もれた熱水鉱床を探索する技術の実用化にめどをつけた。今年から順次、実証実験を始める。
東大の浅田昭教授は音波を利用して海底の形状を解析するセンサーを開発した。船から探査機を降ろし、そこに取り付けた送信機から海底に向けて音波を発信し、返ってきた音波を48個の水中マイクで受信する。各受信機ごとに音波の往復時間や強度を割り出し、それらのデータを組み合わせて3次元の海底地図をほぼリアルタイムで作製する。
海底より100メートル高いところから音波を出せば、直径約300メートルの範囲の海底地図を作製することが可能。誤差は約5センチに収まる。
海底熱水鉱床は煙突状の岩が一定の範囲で広がっている。この技術を活用すれば、航行しながら海底地図を次々と作製でき、効率的に熱水鉱床の場所を特定できる。海洋研究開発機構の探査船を利用し、2013年にも実証実験をする。
早稲田大の斎藤章特任教授は、岩石や鉱物の種類によって電気特性が変わる点に着目。地層の電気の流れやすさの違いから熱水鉱床内の金や銅、レアメタルなどの分布を探る技術を開発した。
自動走行する水中カメラ装置に取り付けた3メートル四方の大きなコイルを使って周囲に電流を拡散させ、電気が流れやすい場所を装置に搭載した磁気センサーで検出する。8月中に小笠原近海で計画されている実験で、海底下10メートルほどにとどまる検出能力をどこまで高められるか調べる。
高知大の徳山英一特任教授は高周波の音波を利用し、海底下の熱水鉱床の厚みを可視化できるようにした。海底近くから2キロヘルツの音波を発信し、海面から海底に向けて垂らしたケーブルに取り付けた8個の受信機で跳ね返った音波を受信する。各受信機の時間差を検出し、どの程度深くまで熱水鉱床が存在するか測定する。今秋、沖縄で実証実験をする計画だ。
こうした探査技術が実用化すれば、資金と時間がかかる海底熱水鉱床の調査研究が大きく前進する。