老化の原因となるタンパク質特定 阪大など、がん予防に期待 - 47NEWS(よんななニュース)
老化の原因となるタンパク質を大阪大や北海道大、千葉大などのチームがマウスで特定し、8日付の米科学誌セル電子版に発表した。高齢マウスの血液中や臓器で幼小マウスよりも増加しており、このタンパク質を作れなくすると動脈硬化などが起きにくくなった。
このタンパク質はヒトにもあり、働きを抑える老化防止薬ができれば、これらの病気の予防や治療につながる可能性がある。だが、体内に侵入した細菌やウイルスを撃退する免疫を担う物質でもあり、新薬開発には課題も多い。
チームの小室一成大阪大教授は「実用化のハードルは高いが、老化を防ぐ人類の夢に一歩近づく成果」としている。
2012/06/09 02:00 【共同通信】時事ドットコム:血液中に老化促進物質=心不全、動脈硬化予防に道−
大阪大など
加齢によって血液中で増加し、老化を促進する物質をマウスの実験で特定したと、大阪大の小室一成教授らの研究グループが8日、発表した。老化に伴って発症する心不全や動脈硬化など、多くの病気の予防や治療につながることが期待できるという。千葉大や北海道大、英米の大学との共同研究の成果で、論文は米科学誌セルに掲載された。
小室教授らによると、この物質は「C1q」と呼ばれるたんぱく質。実験の結果、高齢マウスや心不全のマウスの血液中で増加し、細胞で起きる「Wntシグナル」と呼ばれる現象を活性化していることが分かった。
このシグナルの過不足が、がんや骨粗しょう症、心不全など多くの病気の発症に関与することは以前から知られていた。C1qによるシグナルの活性化を抑制すれば、老化の防止や、老化に伴う多くの病気を予防できる可能性がある。
適度なシグナルは体の維持に重要な働きをしており、小室教授は「C1qによるWntシグナルの活性化だけを抑える薬を開発するのが理想」と話している。(2012/06/09-04:32)
Google 画像検索結果: http://www.inflammation.jst.go.jp/wp-content/uploads/komuro-pic.jpg 小室 一成 − 老化関連疾患における慢性炎症の病態生理学的意義の解明 研究代表者 小室 一成
大阪大学
大学院医学系研究科
教授 研究概要
老化関連疾患における慢性炎症の病態生理学的意義の解明
老化に伴っておこる慢性炎症が、心不全・糖尿病・動脈硬化など、加齢により増加する疾患の発症と関連することがわかってきましたが、その機序についてはよくわかっていません。私たちは、炎症分子である補体(C1q)が加齢により増加し、心不全や糖尿病の発症に関与することを発見しました。そこで本研究において、C1qが増加する機序とその増加が疾患を発症させる機序を明らかにすることによって、慢性炎症による老化関連疾患の新しい治療法の開発を目指します。