久しぶりに、わくわくする報道ですね!…公共のもの(見積)が民間より高額になることは、何故か常識です…一定の品質レベル確保要求されることや”一連の付き合い”も加算される故か?…米国で安くできるのであれば、日本ではそれ以上に高品質のものを安く製造可能でしょう!…ただ、電力の価格構造や医療他、大きな金が蠢く業界では、いつの間にか”利権的構造”が出来上がってしまうのです。今の日本は、これらが複雑に絡み合って、誰もほぐせない、誰が悪いという特定の悪者も居ない状況で、解決できない故に、活性化しない出来ない経済が存在しているのです。
未だ、宇宙産業は”利権的構造”が食い込んでしまっていない様に感じます。故に、今回の発想に答えての報道となったのでしょう! 大いに期待するとともに、開発成功を祈念しています。
JAXA、廉価版の宇宙船 18年度以降の初飛行検討 打ち上げ費3分の1 米ドラゴン並みめざす :日本経済新聞
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は国産宇宙船の廉価版を開発する検討に入った。運用中の無人宇宙船「HTV」をほぼ半分の大きさに小さくし、3分の1のコストで地球と宇宙を往復する。退役した米スペースシャトルのように飛行後も繰り返し使う。飛行士が乗る有人型にも改良できる。2018年度以降の初飛行を想定している。
日本の宇宙船は国際宇宙ステーションに荷物を運ぶHTVが09年の初打ち上げから2度の飛行に成功し、7月に3号機を飛ばす。今は大気圏に再突入したときの熱に耐えられず、地球には戻れない。JAXAや文部科学省は16年ごろまでに対策を施す方針だった。
廉価版は小型宇宙船を新たに造り、宇宙ステーションの日本実験棟に実験機器などを運び、実験結果のたんぱく質や結晶を地球に持ち帰る。HTV改良型の打ち上げを目指した従来案と並行して検討するが、コストや再利用を考えると有利だ。
1回の飛行でかかる打ち上げコストは約100億円。HTVの3分の1に抑える。飛行後は耐熱部品だけを取り換え、次の打ち上げに再利用する。汎用部品で安く造る。国産主力ロケット「H2A」に搭載できる。
往復の打ち上げコストは5月に宇宙ステーションを民間機として初往復した米スペースX社の無人宇宙船「ドラゴン」の世界最安値水準に並ぶ。
船内は人が作業できる空間が約15立方メートル。ロシアが運用するソユーズ宇宙船より広く、計算上は3人以上が搭乗できる。JAXAは有人宇宙船への改良を進める構想だ。
宇宙ステーションに運べる物資は最大約2.6トンとHTVの半分以下。本体の一部が再突入時に無くなり、約1.6トンを地球に持ち帰る。
米は官民で役割分担 日本の独自戦略、策定急務 :日本経済新聞
民間初の宇宙船が物資輸送に成功した米国に対し、日本の宇宙開発は国に大きく依存している。企業が活躍すれば宇宙産業の裾野が広がり、コスト競争力も上がる。米国流が脚光を浴びるが、日本は独自色を打ち出せずにいる。
米国の民間無人宇宙船「ドラゴン」は米航空宇宙局(NASA)から2015年までに12回の物資輸送を請け負う予定。スペースX社のイーロン・マスク最高経営責任者は「(今から)3年後には有人宇宙飛行」という。その代わりにNASA自身はより遠くの火星探査研究に励む。
翻って日本。古川元久宇宙開発担当相が1月に「日本人による有人火星探査という大きな目標を立ててはどうか」と表明したが、政府が4月を予定していた宇宙政策の司令塔組織の発足が遅れている。長期計画を巡る議論は始まる気配がない。
政府は政策の柱となる「宇宙基本計画(09〜13年度)」に宇宙ステーションへの物資輸送にHTVを15年度までに7機の打ち上げ予定を盛り込んだ。16年度以降は「利用成果等を踏まえて運用延長を判断」とだけある。14年度から始まる次期宇宙基本計画では、HTVの成果をきちんと評価し、宇宙船の開発を含め今後の戦略目標を示す必要がある。
計画が判明した廉価版は外見は米スペースX社の宇宙船と酷似している。打ち上げコストの大幅減など意欲的だが、約300億円の開発費がかかる見通し。米国は退役したスペースシャトルの後継にドラゴンを指名した。シャトルに依存してきた日本が自前の宇宙船をどう使いこなすのか次期計画の策定作業で厳しく問われる。
日本は民間活力を生かすはずが、官民の役割分担がはっきりとしていない。JAXAは主力ロケットH2Aの打ち上げ業務を三菱重工業に移管しているが、H2Aの改良型開発にJAXAや文部科学省が名乗りを上げている。宇宙開発には官の働きが欠かせないが、国の方向性が決まらない分だけ日本の存在感が薄れていく。
(山本優)