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必見!智慧得(276)  「70億人の食料/関西発技術」

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 魚の養殖…消費ウエイトは5割程になっています。今後もっと増えていかねば、乱獲だけでは中国人とインド/インドネシア人の胃袋は満たせません!日本は、それ以上に輸入に頼らない魚類確保が不可欠です。個人ベースの漁業を少なくとも組合〜企業ベースにすることでいろいろな問題を解決できるのではないかと思います。各地の大学も頑張っています。

70億人の胃袋に照準 食品分野でも存在感 :日本経済新聞

宝酒造の試飲コーナーには米国人が長蛇の列をつくる(10月下旬、米カリフォルニア州バークリー市)

 和食人気を背景に世界の食卓をにぎわす日本の食材。実は食品も知的財産の固まりで、関西企業の存在抜きには和食人気を語れない。

■米シェア25%

 米国発祥の料理で、手軽に食べられるハンバーガー。米マクドナルドの定番メニュー、アンガスバーガーの具に使われるタマネギの種が関西発祥という事実は、あまり知られていない。

 タマネギの種を独占供給しているのは、江戸時代に京都に集まる野菜を交配して新品種の開発を事業化したタキイ種苗(京都市)。日本で流通する品種とは異なり、「ハンバーガー向けに輪切りに加工しやすいよう品種改良した点が評価された」(アメリカンタキイ)。タキイの種から作ったタマネギの米国での流通量は約70万トン。約4個に1個はタキイ製だ。

 高い占有率を誇る理由は種そのものにある。タキイはF1と呼ばれる交配種を世界で初めて開発した。F1は一代限り収穫が可能な品種で、次に作付ける時には新たに種を購入する必要がある。野菜の新品種開発には、長い間交配を繰り返さなければいけないため、「開発には10年単位の時間が必要」(タキイ)。世界の大手といえども簡単にはまねられず、そこが強みとなっている。

 今後はタマネギの新品種で新たにメキシコ市場への参入もうかがう。

 今や世界に約3万軒の日本食レストランがあると推計され、そこに食材を供給するチャンスを狙う関西企業がある。

 「市場が1年に1割近く伸びている」――。米カリフォルニア州で米国内最大の日本酒工場を構える宝酒造は10月、生産能力を2割増強した新ラインを稼働させた。需要の伸びに追い付かず、さらなる生産能力の増強も視野に入れている。

 米西海岸に集積する関西の日本酒大手では今、空前の増産合戦の様相を呈している。大関(兵庫県西宮市)、月桂冠(京都市)はそれぞれの米国工場の生産能力を2〜3割増強。月桂冠は大吟醸の製造装置を、国内勢として初めて導入する。

■製法変え生産

 日本酒大手が他の追随を許さないのが、菌に関わるバイオ技術や機械任せにできない酒造りの微妙なさじ加減だ。酒造りに不可欠なこうじは輸出入が禁止されており、日本酒各社が派遣した職人が現地生産する。カリフォルニア米を原料に仕込むため、「米の状態や量などわずかな変化によって、絶えず製法を変えなければいけない」(米国宝酒造の杜氏=とうじ)。

 すしネタとして世界で認知されているマグロも関西発祥の技術なくしては、需要の伸びに応えられなくなっている。近畿大学はクロマグロの完全養殖技術で、大学発ベンチャーのアーマリン近大(和歌山県白浜町)を通じ、年間約1500匹を国内外に販売。11月には、パナマ水産資源庁などと組んで、世界のマグロ資源の3分の2を占めるとされるキハダマグロの養殖研究にも着手した。

 国連は10月、世界総人口が70億人を突破したとの推計を発表した。環太平洋経済連携協定(TPP)の参加を巡り、国内農業の競争力に不安がささやかれるなか、関西の歴史と伝統の中で培われた食の技術が、70億人の胃袋に狙いを定めようとしている。

<近畿大、マグロ完全養殖>資源保護にも貢献 :日本経済新聞

近大水産研究所がいけすで完全養殖したクロマグロ(和歌山県串本町)

 

 世界的な乱獲から枯渇が危惧されるマグロ。近畿大学は2002年にクロマグロの「完全養殖」に成功。人工ふ化から育てた成魚が産卵し、卵を人工ふ化するというサイクルを実現した。

 「日本はマグロの漁獲量が大きい。だからこそ資源保護に貢献する必要がある」と近大水産研究所の澤田好史教授は力を込める。近大はパナマ水産資源庁などとキハダマグロの完全養殖の実現に向け共同研究を始めた。

 パナマの実験場で11月、キハダマグロを卵から育て生育の仕組みを明らかにする実験を始めた。科学技術振興機構(JST)や国際協力機構(JICA)の支援を受けた。クロマグロは亜熱帯や熱帯などでは産卵しないためパナマでの養殖は難しいが、キハダマグロはこの地域でも産卵する。

 キハダマグロ漁はパナマの重要な産業でもあり期待は大きい。クロマグロの完全養殖で培ったノウハウを生かせば、10年以内にキハダマグロの養殖技術を開発できると研究グループはみる。

 今まではキハダマグロは資源量を科学的に予測することができなかった。共同研究で予測が可能になれば、漁獲量の割り当てなどに役立つ。

 近大はマグロだけでなくクエやフグなどでも成果を出し、養殖研究で世界をリード。大学発ベンチャー「アーマリン近大」を03年に設立し、近大のブランド魚の販売もしている。

 さらに、マレーシアのサバ大学と提携。ハタ類の種苗生産技術などの共同研究に取り組む。アカマダラハタやジャイアントグルーパーなど東南アジアで重要な魚について人工ふ化の研究を手掛ける。完全養殖を実現できれば、中国や東南アジアに輸出が見込める魚などを狙っている。

 アラブ諸国や韓国などからも共同研究の声がかかっており、存在感はますます高まりそうだ。

 


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