DIC、スピルリナ藻類の屋外大量培養ノウハウを米バイオ燃料生産会社に供与 (発表資料)bit.ly/NXYN3g
2012年7月2日
当社および当社の100%子会社であるEarthrise Nutritionals, LLC(米国カリフォルニア州、以下アースライズ社)と、藻類バイオ燃料における世界有数の生産会社Sapphire Energy,Inc.(同カリフォルニア州、以下サファイア社)は、このたび、藻類の一種であるスピルリナ(注1)の大量培養ノウハウをアースライズ社からサファイア社に提供することで合意に至り、ライセンス契約(注2)を締結しました。
昨今、有望なクリーンエネルギーとして、藻類由来のバイオ燃料に大きな期待が寄せられています。これは、世界的に食糧不足への懸念が持ち上がる中、藻類は、食物由来のクリーンエネルギー源として知られるトウモロコシなどと異なり、主要な食糧として供されるものではないこと、砂漠など農作物の耕作に不向きな土地でも培養が可能なこと、育成中の藻類がCO2を吸収すること(カーボンオフセット)(注3)、面積当たりのオイル生産量が他のバイオ燃料の10〜20倍(注4)に達すること、などによるものです。とくに米国では、安定的かつ確実な未来のエネルギー供給源として大いに着目されており、同国環境保護局では、同国連邦法に基づき、藻類由来の燃料を先進的バイオ燃料として分類することを決めました。
DICグループは、世界シェア最大のスピルリナのサプライヤーとして知られ、1970年代以来、栄養補助食品・食品向け天然色素としてスピルリナの工業生産を継続しています。とりわけアースライズ社のスピルリナ培養施設は、藻類の屋外プラントとして世界最大の規模(総面積18万㎡)を誇り、米国本土で唯一、屋外池で藻類の大量培養を成功させている例として大きな注目を浴びています。
一方、サファイア社は、バイオ燃料の開発がさかんに進められている米国においても、トップクラスの開発力を有すると評されています。同社は、「グリーン・クルード・ファーム」と称される自前の藻類バイオ燃料生産施設を有していますが、同施設は藻類培養から原油抽出に至るまでの全プロセスを執り行う世界初の施設として知られ、米国当局や民間からの資金をもとに設置されました。
今回、アースライズ社から提供されたスピルリナ屋外大量培養ノウハウにより、ディーゼル燃料やジェット燃料の生産を前提とした藻類選択の幅が広がることで、サファイア社では、より効率的な生産が可能となるため、藻類バイオ燃料の実用化に向けた大きな前進が期待できます。
当社では、今後も他社との連携を含めて、当社およびアースライズ社の有するスピルリナ屋外大量培養ノウハウの活用を図り、藻類バイオ燃料の実用化に向けた研究・開発に対して支援・参画していく方針です。
(注1)アフリカや中南米の湖に自生する藻類の一種。ブルーの天然色素を有し、ミネラル類、ビタミン類を豊富に含むことで知られる。
(注2)当ライセンス契約は非独占使用許諾ライセンスとなる。
(注3)生産から消費に至る全プロセスにおいて、藻類由来のバイオ燃料は、石化燃料に比較してCO2の発生量が、少なくとも70%は少ないとされる(サファイア社調べ)
(注4)木やキビ類、トウモロコシなどと比べて藻類は、同じ耕作地面積あたりで10〜20倍のバイオ燃料を生産する(サファイア社調べ)とされ、なおかつディーゼル燃料やジェット燃料への精製が可能である。
DICについて
旧大日本インキ化学工業。1908年に印刷インキで創業、本社は東京。印刷インキの原料である合成樹脂と有機顔料をベースに、幅広い事業を展開する世界有数の化学メーカーであり、印刷インキや有機顔料、PPSコンパウンド(エンプラ)などで、世界一のマーケット・シェアを誇る。世界の約60カ国にグループ会社を有する国際企業であり、米国サンケミカルはDICの100%子会社である。2012年3月期の連結売上高は、7,343億円、資本金は912億円。
アースライズ社について
DICの100%子会社。本社はカリフォルニア州アーバイン市。健康食品向けの藻類(スピルリナ)の生産・販売を行う。
サファイア社について
本社はカリフォルニア州サンディエゴ市。サファイア社の取り組みは、食用穀物や農作物の耕作地を対象とせず、太陽光やCO2を活用した藻類によるバイオ燃料を取り扱うといった点や、エタノールやバイオディーゼルに留まらず広く石化由来の製品の置き換えを目指すといった点で、他社と一線を画する。
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