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メモ「キンドル」「コボ」「リーダー」端末3機種を比較

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ブック・アサヒ・コム

「キンドル」「コボ」「リーダー」…電子書籍端末3機種を比較! - 林 智彦 - 本のニュース | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト

主要な電子書籍専用端末(左から「キンドル」「コボ・タッチ」「リーダー」)。※本文中では「キンドル・タッチ」について触れているが、写真は最廉価版の「キンドル」

主要な電子書籍専用端末(左から「キンドル」「コボ・タッチ」「リーダー」)。※本文中では「キンドル・タッチ」について触れているが、写真は最廉価版の「キンドル」

「キンドル」「コボ」「リーダー」の機能比較表

「キンドル」「コボ」「リーダー」の機能比較表

 インターネット通販国内最大手の楽天と世界最大手のアマゾンが相次いで日本発売を発表したことで、電子書籍専用端末への関心が高まってきている。楽天の「コボ タッチ」、アマゾンの「キンドル・タッチ」、そしてソニーの「リーダー」は、これまでも世界を舞台に激しいシェア争いを繰り広げてきた。本格的な電子書籍時代を前に、その特徴をチェックしてみた(「キンドル・タッチ」は日本未発売なので米国仕様で説明)。

■価格と通信方式
 電子書籍を読む端末は、ディスプレーの種類によって、大きく二つに分類される。一つは「電子ペーパー」を使った「(電子書籍)専用端末」。もう一つは、液晶を使った「タブレット端末」だ。
 電子ペーパーにもいくつかの方式が存在するが、専用端末が採用しているのは、ほとんどがイーインク社の電子ペーパー。極小のカプセルに封じ込めた白色と黒色の粒子を電気の力で動かして画像を表示する。バックライトを必要とせず、表示内容を変更するときだけ電気を使うので消費電力が少なくてすみ、液晶と違って画面が光らないので炎天下でも見やすく、目にもやさしいと言われている。
 これらの端末はディスプレーこそ共通だが、機能や提供しているサービスには様々な違いがある。
 各端末の機能の違いを一覧表にした。日本での発売が予告されている「キンドル・タッチ」の日本向け価格は現時点では未発表だが、ソニー「リーダー」が約2万円前後、「コボ タッチ」(「コボ タッチ」を購入する)は7980円。アメリカで発売されている「キンドル・タッチ」は約1万円前後だ。
 対応している通信方式にも注意が必要だ。「キンドル・タッチ」「リーダー」には3G通信に対応したモデルがあるが、「コボ タッチ」は無線LANのみ。3G通信モデルなら、日本全国のほとんどの場所で電子書籍を購入できるが、無線LANモデルでは通信できる場所が限られる。
 また「3G対応」でも「キンドル・タッチ」と「リーダー」には、契約形態や通信費に違いがある。「リーダー」の場合、通信契約は端末購入とは別で、通信費も端末や電子書籍コンテンツへの支払いとは別にかかる。「キンドル・タッチ」の場合、3G通信の契約は端末と一括で、通信費は電子書籍の価格に含まれている。
 アマゾンが日本向けに3G通信モデルを投入するかどうかは現時点では不明だが、「コボ タッチ」では3G通信モデルほど「いつでも、どこでも」本が買えるわけではない。

■「リーダー」は世界最軽量
 端末の使い勝手を左右する二つの要素、端末の大きさと収録できるデータ容量を見てみよう。
 「リーダー」の無線LANモデルは「世界最軽量」をうたっている。168グラムの端末は、薄さ(89ミリ)。サイズも縦173ミリ×横110ミリと、一般的な新書(173ミリ×105ミリ)を持ち歩くのに近い感覚で使える印象を受ける。
 「キンドル・タッチ」「コボ タッチ」もタブレット端末と比べれば軽量・小型だが、「リーダー」と比べると少しかさばる。
 内蔵メモリーは「キンドル・タッチ」が4GB、「コボ タッチ」「リーダー」は2GBと、一見「キンドル・タッチ」に分がありそうだが、「キンドル・タッチ」は外部メモリーに対応しておらず、内蔵メモリーがいっぱいになったらコンテンツを削除する必要がある(実際にはメモリーの余裕がなくなると内部のコンテンツを自動削除する「アーカイブ」機能があるが、過去のモデルでは動作が不安定になることもあった)。
 これに対して「コボ タッチ」「リーダー」はmicroSDメモリーカードに対応しており、32GBまで容量を拡張できる。
 日本の出版市場には世界にはない、膨大なコミックの存在がある。各端末ではコミックも読めるが、コミックコンテンツは画像データであるために、テキスト主体の「文字もの」より多くのメモリーを消費する。
 ソニーのサイト上での説明によると、「リーダー」では「文字もの」の本を約1400冊を収録できるのに対し、コミックでは約35冊しか収録できない、としている。
 たくさんの本を持ち歩けるのが電子書籍の利点の一つであることを考えると、外部メモリーに対応していない「キンドル・タッチ」はコミック作品に関してやや不利と考えられる。

■電池寿命と対応するストア
 電池寿命の長さは「専用端末」の最も売りとするところだ。タブレット端末やスマートフォンのように頻繁に充電が必要だと、いざ読もうと思ったときに電池切れで悔しい思いをすることになる。各社の発表では「キンドル・タッチ」がもっとも長く2カ月。「リーダー」は機種によって5週間〜7週間、「コボ タッチ」は1カ月だ。
 電子書籍のコンテンツは、各端末用の専用のストアで購入するのが基本だ。提供される書籍の数は、「キンドル・タッチ」用のストア「キンドルストア」は現時点では未発表、「コボ タッチ」のストア「koboイーブックストア」はスタート時に約3万点(そのうち無料コンテンツが1万点)。「リーダー」向けのストア「Reader Store」は約3万5000点を超える品揃えと言われているので、「koboイーブックストア」の提供書籍数は、やや見劣りがする。
 この中で「リーダー」は他の2機種にない、ユニークな機能を備える。専用ストア以外の、複数のストアに対応しているのだ。
 「リーダー」は2012年7月現在「Reader Store」の他、「紀伊國屋BookWeb Plus」と「楽天Raboo」にも対応し、「リーダー」から各ストアにアクセスして、電子書籍を購入することができる。すでに「紀伊國屋BookWeb Plus」で購入した電子書籍があり、その電子書籍に「リーダー版」が用意されていれば、追加料金なしで「リーダー」にダウンロードして読むこともできる。
 「キンドル・タッチ」や「コボ タッチ」ではこのようなことはできない。ただしこの2機種は、「リーダー」では一部しか実現できていない、コンテンツの「同期」という機能が用意されている。これは、購入した本の情報をサーバー側で同一に保持することで、ユーザーに端末の種類を意識させない読書を提供する機能だ。
 「キンドル・タッチ」「コボ タッチ」は専用端末の他、PC・Mac、iOS/Android用ソフトを用意し(「コボ タッチ」は近日提供予定)、どの端末でも「同期」機能を実現する。
 たとえば、パソコン上で電子書籍を購入し、パソコン版の閲覧ソフトで10ページまで読む。通勤途中にスマートフォン版の閲覧ソフトを起動すると、購入した本は「書棚」の中に自動的に表示される。パソコンから電子書籍ファイルをダウンロードして端末へ移動させたるような作業は必要ない。
 スマートフォン版の閲覧ソフトで開かれた書籍には、最後に読んだページなどの情報が記録されており、開くだけでそのページ(この場合は、10ページ目)が表示される。同一の書籍をタブレット版ソフトや専用端末で読んでも同じだ。「しおり」「メモ」なども、どの端末で開いても、同じように表示される。
 
 カラフルな端末も出そろってきた。「コボ タッチ」には4色、「リーダー」には2色のカラーバリエーションがあるのに対し、「キンドル・タッチ」はグレー1色で選択肢がない。
 同じ専用端末といっても、各端末にはこのようにいろいろな違いがある。ニーズと好みで選択したい。

[文]林 智彦  [掲載]2012年07月03日

 

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