むかしむかしの大昔に、印度は大変繁栄した国でありました。しかし、いつの間にか、ギリシャやローマ、またイスラム教国の様に、没落してしまって、イギリスの植民地とされました、そして戦後独立して、今日に至っています。…その文化衰退の主要因として、エネルギー問題があった…森の木々を切り倒し過ぎて、何か今の我々の頭の中にある”殺伐とした土の世界”に至った…このような理解です。
私達は中国のことは4000年以来の歴史学習や日本の文明に刷り込まれた中国文明を通じて、人格の一部となる程の根底での理解を持っています。しかし、印度については、シッダルダの物語やアレキサンドリアの遠征物語でわずかに知っているだけです。
近年高度成長していますが、思いの外、極貧であった様なのです。これは、カースト制がつい先ほどまで存在しており、社会の基板となってしまっています。日本の似通った身分制度の解消は、法的に開放されてから150年経過しても完全には亡くなっていません。精神的間刷り込みは、物質的な富の偏在よりも解消に時間が必要なものです。
近代的な経済活動による富の享受を得ようとする時には、色々な社会的な共通意識を形創らねば成功しません。日本の明治維新がかろうじて成功したのは、江戸期に身分制度はあっても、かなり自由な感覚で才覚重視、人間重視の精神が皆に行き渡っていたからだと思っています。
インドが貧しいといっていた頃、今から20年程前には、物価は中国の都市と比較して1/3〜1/4でした。首都ニューデリーには市場はありましたが百貨店は無く(4〜5階建て500坪程のものはありましたが)勿論GMSは皆無でした。しかしそれでも、中国の一人っ子政策に比べて、都会で8人までいなかで12〜13?人までは許可される、差がありました。即ち、田舎へ行けば食べるだけは可能で生きられる、こんな状況があったのです。酷く貧しくとも、食べられるだけの環境が出来ていたのです。これは立派な富!…今は相当にカースト代わりの金銭による階級制構築で、余りに社会問題発生要因が貯まって来ているので、経済発展にもブレーキをかけて沈静化させているところの様です。中国でも、富の偏在と汚職の蔓延、清廉な社会構造の再構築、等叫ばれ実行しています。これらと同じ問題を抱えているのです。中国の歴史を観れば分る様に、経済の発展=人口増加は、拡張主義で解決しようとの動きです。インドでは、どうなるのでしょうか? 近代の歴史や主たる宗教は何なのか、等殆ど全く知らない国なのです。いまは「中国の脅威」と言っていますが、その内に「インドの脅威」という時代が来るのではないでしょうか。
インド経済、なぜ急ブレーキ? 民衆に不満 すくむ政治 格差対策や農民保護を優先 :日本経済新聞
インド経済に急ブレーキがかかっている。中国などと共に新興国として世界経済のけん引役を期待されてきたが、2011年度の実質国内総生産(GDP)成長率は6.5%と、9年ぶりの水準まで減速した。人口12億の潜在力を持つ国で何が起きているのか。
インフレを抑制
大統領選に出馬するムカジー前財務相(右)はシン首相(左)との対立も取りざたされる=AP
8%前後の高成長を続けてきたインドだが、今年1〜3月期の実質GDP成長率は5%台まで落ち込んだ。工場建設など企業の設備投資の仕掛かり件数は今年3月末に1万件弱となり、約12年ぶりに前年割れとなった。
11年度の実質GDPの内訳をみると、個人消費と設備投資が共に5.5%増と伸び率が前年度から2ポイント以上も落ち込んだ。欧州危機による外需減少の影響もあるが、内需の失速が鮮明だ。
一部は政府側が意図した結果といえる。卸売物価上昇率で10%前後にまで達したインフレを抑えるため、インドの中央銀行は10年3月〜11年10月に13回も利上げし、需要抑制を図った。自動車ローンの金利も上がり、乗用車販売市場は冷え込んだ。それでも物価高は沈静化せず、インフレ警戒を崩せない。中銀は6月に市場の多くが期待した利下げを見送った。
それだけではない。インドの高成長をけん引してきた大型の開発投資が軒並み止まっている。「環境面での許可が遅れ、着工できない官民の発電所が42カ所ある」――。インドの電力省幹部は5月に上院に提出した書面で環境・森林省を痛烈に批判した。国内産業の成長のボトルネックになっている電力不足を一気に解消できるだけの発電所建設だが、計画は一向に進まない。
炭鉱など鉱山開発の許可も激減している。環境・森林省は「環境保護規制を適用した」などと説明するが、11年度の石炭生産は前年度比1%増にとどまった。鉄鉱石は同18%減。南部カルナタカ州で鉄鉱石の違法採掘問題が浮上し、最高裁が昨年、同州での鉄鉱石採掘を一時、全面的に禁じたことが効いた。
環境・森林省の審査が厳しくなった背景には、貧富の格差拡大や政治の混乱がある。インド経済が8%成長を続けた陰で、開発のために土地を明け渡した農民や少数部族の間で、成長の恩恵を得られていないとの不満が高まっている。
まん延する汚職
「鉱区を買った資源会社が旧地権者を長期雇用するという約束を守らず、生活の糧を失う部族が多い」(民間研究機関)。鉱山開発では政府関係者が絡んだ贈収賄など汚職も付き物とされる。食品インフレは可処分所得の少ない低所得者を直撃し、貧富の格差も拡大している。
民衆に不満が高まった結果、シン首相や最大与党、国民会議派は支持率の低迷にあえいでいる。昨年は社会活動家の汚職撲滅運動が広がり、同派は年初の地方選でも勢力を伸ばせなかった。「政府は当面、容易に鉱山開発などの許可を出せる状態ではない」(ムンバイの市場関係者)
6月下旬には経済政策の仕切り役だったムカジー財務相が辞任した。7月19日投票の大統領選に出馬するためで、かねてシン首相との対立が取り沙汰されていた。政治の混乱の根底で、社会のバランスのゆがみが広がるだけに、大統領選が終わっても当面は、持続的な成長を促すような政策や、市場が望む景気対策を期待できないとの見方もある。
「中進国の罠(わな)」。途上国から脱した後、貧富の格差拡大や汚職、政治の混乱で経済が停滞する現象はこう呼ばれる。1人当たり国民総所得(GNI)でみると、インドはようやく中進国入りを果たした段階だが、早くもこの罠に陥った可能性がある。
(ムンバイ=黒沼勇史)
インド最大都市ムンバイ
人口市内1250万人