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メモ「米、ウナギ輸出入規制を検討/ワシントン条約」

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 また「うなぎ」です!土用の丑が近づいているので引き寄せ合うのでしょうか…食料品不足という割に、鰻は日本の消費が8割、ヨーロッパも料理するらしいが、何でも食べる中国が意外に消費が少ない。まして、アフリカでは? アフリカからの小型のものが有望ですが、世界にはいろいろまだまだ食料に出来るものがありそうですね! 鰻丼が鯰丼に取って代わられる日も来るかもしれませんね!

朝日新聞デジタル:米、ウナギ輸出入規制を検討 国際取引「保護が必要」 - 社会

 不漁などによる値上がりが続くウナギについて、米国が野生生物の保護を目的としたワシントン条約による国際取引の規制を検討している。米国などに生息するアメリカウナギに加え、日本や中国などで食べられるニホンウナギも対象に含まれる。実現すれば、消費量の多くを輸入に頼る日本市場への影響が大きい。

 米政府は4月、「アメリカウナギとその他のすべての種」について、商業取引に輸出国の許可書が必要となる「付属書2」に記載することを検討している、と官報に公示した。現在は6月中旬を期限に集めたパブリックコメントを精査している段階で、秋までに条約の締約国会議に提案するかどうかを決める。

 規制が実現すれば、ニホンウナギも対象になり、生きたウナギや稚魚だけでなく、かば焼きなどの加工品も輸出国の許可がなければ輸入できなくなる。

 2010年の貿易統計によると、ウナギの国内供給量は約7万3千トン。国産は3割弱で、大半は主に中国と台湾からの輸入に頼っている。中国は条約締約国、台湾も条約の管理当局に準じる組織を持っており、規制がかかれば影響は大きい。

 ワシントン条約では、ヨーロッパウナギが2007年に付属書2に記載された。欧州側は昨年11月、「ヨーロッパウナギの輸出入をしない」との自主規制を関係各国に通知。欧州産稚魚の養殖が盛んだった中国からの輸出価格が上昇して、日本も影響を受けた。

 次回の条約締約国会議は来年3月にタイで開かれる。付属書の改正には、投票国の3分の2以上の賛成が必要だ。

 米当局は04年ごろから、環境保護団体などからの強い要請を受けて、条約による規制を探り始めた。10年の締約国会議でも提案を検討したが、国内業者らの反対で見送った。今回は官報で「ヨーロッパウナギの規制が強化されたことでアメリカウナギの需要が増え、保護の必要性が高まった」とするなど、従来より踏み込んだ姿勢を示した。

 水産庁は「どういう内容か、また本当に提案してくるのか見極めたい」としている。ニホンウナギも対象にしているのは「稚魚だと判別が難しいからだろう」とみる。今後、対象をアメリカウナギに限定するよう米に求める可能性もある。

 不漁による価格高騰で、最近は米国やオーストラリアから輸入する動きが出ている。米国産を昨秋から扱う瑞祥(ずいしょう)食品(東京都中央区)の担当者は「すべての種が規制対象になれば、ウナギはますます高級魚になってしまう」と警戒する。(野上英文、金井和之)

■品薄に追い打ち、業者警戒

 ウナギ稚魚の不漁。価格高騰にともなう消費低迷。押し寄せる荒波をかわそうと、業界はアメリカや東南アジア、アフリカなど世界中で安いウナギを求めている。そんなさなかの米国のウナギ規制案に、関係者は困惑している。

 米国がワシントン条約を使ってウナギ保護に乗り出そうとするのは、資源の枯渇が背景にある。1970〜80年代と比較すると、ヨーロッパウナギやアメリカウナギは1%ほどにまで減少し、ニホンウナギも20%まで減ったといわれる。

 品薄を補うため、日本は調達先を広げる取り組みに着手したばかりだ。オーストラリア、フィリピン、インドネシア、アフリカ……。アメリカウナギもそのひとつ。米国が検討する規制が実現すれば、真っ先に影響を受けるのが、米国産ウナギを直接仕入れる会社だ。

 もともとアメリカウナギは主に欧州や韓国に輸出され、これまで日本市場にはほとんど入っていなかった。日本の業者によれば「天然物はあくが強く、そのままでは食べられない」。そのうえ脂の乗りが不十分で、育ちすぎると身が硬くなるなど、日本人の舌を満足させるには課題が多い。

 ウナギ専門商社の瑞祥(ずいしょう)食品はそれでも、昨年からアメリカウナギの輸入を始めた。低価格も魅力だ。中国や台湾からのニホンウナギの輸入品は1キロあたり約4千円なのに対し、アメリカウナギは半値以下だ。今年4月に5トン、5月に2・5トンを主にスーパー向けに出荷した。

 販売先では、天ぷらや、かば焼きを使ったお茶漬けなどに加工した。こうした工夫次第では、日本人の味覚にたえるという。

 瑞祥食品の荒川徳仁社長は、秋以降もニホンウナギの半値以下なら輸入を続けるつもりだ。その矢先にもたらされたワシントン条約による規制案に、「出ばなをくじかれた思いだ。価格さえ安ければ需要はついてくるのだが」と話す。

 ウナギ専門商社の東和貿易(東京都中央区)の営業担当者によると、取引のある中国の養殖業者が安いフィリピンウナギを中国に持ち込み、日本向けに養殖を始めたという。「味と価格で及第点がつけば輸入したい。でもワシントン条約の規制がかかれば、これも対象になるかもしれない。ひとごとではない」と話す。

 消費量が圧倒的に多いのが、中国や台湾から輸入するニホンウナギだ。ここにも影響が出る可能性がある。

 ワシントン条約による規制が実現したとしても、中国や台湾などが許可すれば、ウナギは日本に入ってくる。だが当局の輸出許可書が必要になり、手続きが煩雑になる。さらに輸入元が「保護」を理由に自主規制に踏み切る可能性も出てくるため、安定供給が難しくなるおそれがある。

 92年に京都で開かれた締約国会議の議長を務めた赤尾信敏さんは「いったん『付属書2』に記載されると、将来、より規制が厳しい『付属書1』に載り、商取引が原則禁止されてしまう可能性も出てくる」と話す。

 「条約に頼らなくても、自分たちでウナギの資源管理ができることを内外に示すことが重要だ」と話す関係者もいる。水産庁は「まだこちらが何か動く段階ではない。情報収集を進めている」としている。その一方、ウナギの資源保護や管理についての中国との協議を6月に初めて開催。「ウナギ保護」をアピールした。

■クロマグロの意趣返しか

 国内のウナギ価格は高止まりしている。

 最大の原因は、養殖に欠かせない稚魚(シラスウナギ)の不漁だ。水産庁によると、国内漁獲量は1963年の232トンがピーク。昨年まで2年連続で10トンを割り込み、今年も達しない見込みだ。日本では2010年に卵からの完全養殖に成功したが、実用化にはほど遠い。

 不足分は香港などからの輸入で補ってきたが、「最近の不漁は近隣諸国でも同じ状況」(水産庁)。財務省の貿易統計によれば、09年は稚魚1キロあたり平均60万円ほどだったが、今年は200万円を超えることもあった。

 国産品の価格が上昇すれば、輸入品も上がる。日本鰻(うなぎ)輸入組合の田村雅是専務理事によると、中国からの生きたウナギの平均価格は09年は1キロあたり1390円だったが、今年は1〜5月の平均で3975円と、3倍近くまで跳ね上がった。

 店頭価格は上昇し、消費量は減少傾向。米国の規制がニホンウナギに及べば、「ウナギ離れが加速するのではないか」と販売店は心配する。

 資源の枯渇が国際的に問題視されたのはウナギだけではない。10年の前回の締約国会議では、大西洋・地中海のクロマグロをめぐる国際取引の禁止が提案された。米国や欧州連合(EU)が禁輸を支持。一方、最大輸入国の日本は真っ向から反対を唱えた。途上国の反対もあって提案は否決されたが、ワシントン条約が国内の食卓に直結していることを印象づけた。

 「米国はクロマグロで敗れた意趣返しを考えているのではないか」。日本の輸入業者の間には、そんな臆測さえある。(野上英文、金井和之)

     ◇

 《ワシントン条約》 絶滅のおそれがあり保護が必要と考えられる野生動植物の国際取引を規制する条約。締約国は今年2月現在で175。日本は1980年に批准した。規制は厳しい順に付属書1〜3に分類される。付属書2は「現在は必ずしも絶滅のおそれはないが、取引を厳重に規制しなければ絶滅のおそれのあるもの」で、ワニやニシキヘビ、リクガメ、チョウザメなど約3万3800種が記載される。


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