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メモ「スマートシティー/ただ今実験途上」

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特集:スマートシティー(その1) ITで電力を効率利用 - 毎日jp(毎日新聞)

太陽光発電など再生可能エネルギーを最大限活用し、IT(情報技術)を通じて地域や家庭の効率的な電力利用を図る次世代環境都市「スマートシティー」が脚光を浴びている。東日本大震災と福島第1原発事故でエネルギー利用のあり方を見直す機運が高まったためで、企業は自社の技術力を生かし、自治体などと連携してスマートシティーの具体化に相次いで着手している。「賢い都市」を意味するスマートシティーの現状と将来、課題を探った。【三島健二、川口雅浩、竹地広憲】

 ◇原発事故機に加速

 スマートシティーは大規模太陽光発電(メガソーラー)や大型蓄電池を設置。家庭やビル、電気自動車などとネットワークで結ばれ、コントロールセンターがITで電力使用状況を把握。一部で余った電力を他に回したり、地域で電力が足りなくなれば節電を呼びかけたりする。こうした仕組みを「地域エネルギーマネジメントシステム」と呼ぶ。

 家庭やビルにも同様のシステムが備わり、家庭やビル内の電力を制御。太陽光パネルやスマートメーター(消費電力や料金を常に計測できる次世代電力計)も設置し、「スマートハウス」「スマートビル」と呼ばれる。送電網にITを組み込み、電力需給を調整する次世代送電網「スマートグリッド」の技術をベースに、地域全体のエネルギー効率を高め、環境負荷の低いインフラを構築した都市がスマートシティーだ。

 日本では当初、地球温暖化対策として取り組みが始まったが、震災・原発事故を契機に加速している。

 経済産業省が10年4月に選定し、補助金などで支援する実証実験は、横浜市や愛知県豊田市など全国4地域で実施。豊田市はトヨタ自動車と連携するなどして実験は14年度までの予定だが、震災を受け、経産省は「実証期間終了を待たずに成果を社会に導入していきたい」との姿勢だ。

 企業主体の事業は、パナソニックが11年5月に神奈川県藤沢市、大和ハウス工業が同10月に堺市での計画を発表したほか、青森県六ケ所村(日立製作所など)でも実験が進む。千葉県柏市で09年に始まった「柏の葉スマートシティ」(三井不動産など)は街中心部のエネルギーを一元管理するシステムを14年に構築する計画だ。

 スマートシティー関連の世界市場は30年までの累計で4000兆円規模に迫るとの予測もある。日本企業の環境技術の水準は高く、国内で相次ぐ計画は、世界展開も意識したものだ。「柏の葉スマートシティ」参加企業で組織するスマートシティ企画の佐々木経世社長は「街ごとの輸出を目指したい」と話す。

 ◇海外でも計画進む

 スマートシティーは海外でも計画が進み、東芝や日立製作所など日本企業が参画するケースも多い。

 欧州連合(EU)は地球温暖化防止などの観点から「スマートメーターを22年までに100%導入」と各国に求めている。オランダのアムステルダムは09年からスマートメーター導入などを開始。15年までに電気自動車1万台を普及させ、25年までに市のエネルギー消費の2割を再生可能エネルギーにするという。フランスのリヨンやドイツのマンハイムなどでも計画がある。

 国土の広い米国では送電網の老朽化が問題視されており、政府はスマートグリッドの導入を推進。ニューメキシコ州では日米共同でスマートグリッドやスマートハウスの実証事業が行われている。

 新興国は急速な経済成長で不足しがちな電力供給を安定させる面からも取り組んでいる。中国は江西省共青城市など10都市以上で実証事業を実施。天津市郊外では「再生可能エネルギーの利用率20%以上」を掲げた35万人規模の環境配慮都市を開発している。

 アラブ首長国連邦(UAE)は、エネルギー消費を再生可能エネルギーですべてまかない、二酸化炭素を一切排出しない都市「マスダールシティー」を建設中。約5万人が暮らす計画で総額220億ドル(約1兆7000億円)の大規模事業になる。インドはデリーとムンバイを結ぶ鉄道や道路沿いにスマートグリッドや太陽光発電などを整備する都市開発事業に着手している。

 ◇普及にコストの壁

 スマートシティーの普及にとって、最大の課題はコストだ。パナソニックが藤沢市で計画している事業は1000世帯に太陽光パネルを設置し、電気自動車のカーシェアリング用駐車場などを整備する予定で総事業費約600億円を見込む。高度なITシステムの構築も必要となり、スマートシティーを全国に拡大するには巨額のインフラ整備費用がかかりそうだ。

 さらに再生可能エネルギーの利用コストも現時点では割高だ。政府のエネルギー・環境会議の試算によると、太陽光発電のコストは石炭火力やLNG(液化天然ガス)火力の約3倍。技術革新や量産効果で太陽光のコストが30年には火力並みになる可能性があるとしたが、時間がかかり、コストが確実に低下する保証もない。再生可能エネルギーは天候に左右されるので、蓄電池の整備も必要だ。

 野村総合研究所の宇都正哲グループマネージャーは「スマートシティーはコスト面の課題解決が難しい。ニーズは当面、経済的に余裕のある層に限られるだろう」と指摘。コストダウンには政府の支援も欠かせず、官民が進める全国の実証実験の成果がかぎを握る。

 また、電力システムの改革も不可欠だ。東京電力など大手電力10社は管内の送電網を独占し、再生可能エネルギーをほとんど利用していない。互いの電力融通にも限界がある。スマートシティーは、再生可能エネルギーを基本とした電力を供給し、地域間の柔軟な電力融通も欠かせないため、大手電力会社の発電事業と送電事業を切り離して再編成する「発送電分離」が必要と指摘されている。

 一方、スマートハウスでは、家庭のさまざまな家電がネットワークを通じて外部とつながる。サイバー攻撃や個人情報流出の懸念もあり、こうした面の対策も課題となる。

 ◇震災復興に活用の動き

 東日本大震災で被災した東北地方の復興にスマートシティーを活用しようとする動きも進んでいる。経済産業省は11年度第3次補正予算に被災地での再生可能エネルギー導入やスマートシティー研究開発拠点の整備のための補助金として1000億円を計上。自治体や企業の取り組みを後押しして、産業振興や雇用創出も図る。

 再生可能エネルギーと蓄電池などを組み合わせ、停電になっても病院や学校など公共施設への電力供給を可能にするなど、省エネだけでなく、災害に強い街づくりを目指すのが特徴だ。経産省は、横浜市など全国4地域のスマートシティー実証実験の成果も東北地方に反映させる方針だ。

 経産省が支援するのは、岩手県久慈市、釜石市、宮城県気仙沼市、福島県南相馬市、会津若松市などの12事業。久慈市の担当者は「震災では停電が続いたが、独立した電源を持つことで病院などに電力を供給できる。市の再生に向け、あらゆる可能性を調査したい」と話している。

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 ◆国内の主なスマートシティー計画◆

 <経済産業省が選定した事業>

・横浜市

 広く市民参加を募り、4000世帯を対象にした大規模なエネルギー管理を実施

・愛知県豊田市

 住宅に太陽光発電や蓄電池、次世代自動車を導入。エネルギーの6割超の自給を目指す

・京都府けいはんな学研都市

 家庭やビル、電気自動車を結び、地域のエネルギー利用の効率向上を図る

・北九州市

 隣接工場群の廃熱の民生利用、電力融通など地域エネルギーを有効活用

 <企業などが主体の事業>

・千葉県柏市

 地域のエネルギーを一元管理する大規模システムの構築。地中熱など未利用エネルギー活用

・青森県六ケ所村

 大型蓄電池を備えた風力発電所の活用で二酸化炭素を排出しないエネルギー利用を実証

・神奈川県藤沢市

 太陽光発電と蓄電池を住宅や公共施設に標準装備する1000戸規模の街づくり

特集:スマートシティー(その2止) 暮らし、様変わり - 毎日jp(毎日新聞)

◇近未来の一日

 20××年。日本は革新的な技術開発によって、進化したスマートシティーが各地に普及し、ライフスタイルは大きく変わった。近未来のスマートシティーでの仮想生活をのぞいてみよう。

 ◆朝

 ◇太陽光で掃除機稼働

 冬の朝。スマートシティーの家庭では家族が起き出す少し前から冷蔵庫が自動的に庫内の温度を下げ始める。冷え込む夜間は必要以上に冷やさない。朝食の準備で冷蔵庫を開け閉めし庫内の温度が上がる時間帯に備えて、ある程度冷やし、全体の電力消費を抑える。洗濯機には前夜に洗濯物を入れておいた。家電に接続し、通信機能を備えたスマートメーターが電気代の安くなる時間帯を選ぶ。朝の日差しが少し強まり、自宅の太陽光パネルで発電が始まると、洗濯機は自動で動き出す。高価だった太陽光発電だが、安上がりになった。

 洗濯が終わると、今度は太陽光発電で自動掃除機が床をはい回る。便利な生活でも電力は効率的に使う仕組みだ。

 ◆通勤

 ◇信号進化し渋滞抑制

 さあ、出勤しよう。かつて自動車は個人が所有したが、今は地域社会で共有する「カーシェアリング」が当たり前。住民が必要な時だけ電気自動車(EV)を受け取って利用する。この電源も太陽光発電だ。家庭などで電力が足りなくなれば、EVが蓄電池の役割も果たす。

 市街地の運転もスムーズになった。ITを活用した交通情報システムを通じて車載ナビが最適なルートを教える。交通量に応じて信号が切り替わり渋滞は極力抑えられる。バスもEVに切り替わり、交通情報システムで利用者の有無などに応じて停留所や運行ルートを柔軟に変える「オンデマンド運行」となった。交通が効率的になって、無駄な電力を使わずに済む。

 ◆昼

 ◇災害で停電、恐れ減る

 昼下がり。工場やオフィスで最も電力を利用する時間になった。スマートシティーは地域ごとに必要な電力を発電し、消費する「地産地消」が基本だ。オフィスや商業施設には、太陽光発電のほか、生ごみから発生するメタンガスを回収して利用する「生ごみバイオ発電」が普及。海岸や丘陵には風力発電が増えた。

 ただ、再生可能エネルギーだけでは全量を賄えないため、地域やビルごとに天然ガスのコージェネレーション(熱電併給)システムを設置している。環境負荷の少ない天然ガスを発電とともに暖房や給湯の熱源としても利用する。電源が分散し、蓄電も充実しているので、大地震などの災害時でも大規模停電の恐れは大幅に減った。

 ◆午後

 ◇自動制御で節電も

 午後になっても、雨がやまず、風も強くならない。そうした時は、地域のエネルギー会社が「地域で電力が1万キロワット足りません。エアコンの温度を2度下げますか? 協力してくれた場合はポイントを進呈します」などとスマートフォン(多機能携帯電話)で聞いてくる。OKを出せば、エアコンなどは自動制御で節電モードに入る。

 それでも不足する時は、離れた地域と送電網を通じて、電力を融通しあうこともできる。仮に関東が雨や無風でも、九州や北海道が晴れたり、風が吹いたりしていれば、遠方から再生可能エネルギーを購入できる。なお足りない時は、従来の電力会社から電力を購入することになるが、緊急時のバックアップ的な位置付けだ。

 ◆夜

 ◇暖房、日射熱を蓄積

 仕事が終わったので帰宅しよう。冬場の家庭は夕方から夜にかけ消費電力がピークを迎え、節電は一段と大切になる。家族が帰ると、玄関の照明が自動でつくが、居間に入れば自動で消える。夕食の支度でIHクッキングヒーターを使うと、その間はエアコンが止まる。設定した上限の消費電力を上回ったため自動制御されたのだ。

 蓄電も重要だ。夜間の家庭で使われる電力は、昼間の太陽光発電などでためた自前の電力が基本。蓄電池も小型化し、手ごろな価格になった。また、屋根の日射熱を蓄積し、室内に循環させるシステムが稼働するので暖房は最小限で済む。スマートシティーは家庭や地域で発電して電力をため、効率よく使う体制が整っている。

 


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