液晶は中型TVまでは完全に韓国が日本市場を席巻してしまいました。その上、次世代の有機EL-TVも攻めに転じます。10年前には「韓国ブーム」がスタートしておらず、その後の国策での映像音楽のKーPOPブーム到来にて、今なら「韓国製品に対するイメージアップ」出来ており、国産以外製品に対する抵抗感は皆無となっています。それだけに心配ですが、ソフト関連や技術優位の映像解像度での勝負をして欲しいものです。
サムスン、薄型テレビ日本再参入 来年めど 家電量販に打診 :日本経済新聞
【ソウル=尾島島雄】韓国のサムスン電子は2013年をめどに、日本の薄型テレビ市場に再び参入する方針を固めた。高画質で次世代テレビとして有望視されている有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)テレビや液晶テレビの高級品を販売する。サムスンは薄型テレビで世界シェアの2割近くを占める最大手だが、日本市場は未開拓だった。消費者の選択肢が増える半面、収益の悪化に悩む国内メーカーは対策が急務となる。
サムスンは02年に日本で液晶テレビを発売したが、ブランド力の不足で苦戦。シェアは07年時点で0.3%にとどまり、同年に撤退していた。
しかし、NTTドコモ経由で10年に発売したスマートフォン(高機能携帯電話)「ギャラクシー」シリーズがヒットし、認知度が高まってきた点を重視。消費電力の小さい有機ELテレビを日本勢に先駆けて投入すれば、数%のシェア開拓は可能と判断したもようだ。
すでにヤマダ電機やヨドバシカメラなど、複数の大手家電量販店に販売を打診した。主力品とみられているのは40型以上で、3D(3次元)やインターネット接続の機能を持つ高級な液晶テレビ。画面が大きい55型の有機ELテレビも並行して売る計画で、値崩れによる収益の悪化を防ぐ。韓国市場では有機ELテレビを年内に発売し、消費者の反応をうかがう。
米調査会社ディスプレイサーチによると、サムスンの10年の薄型テレビの世界シェア(台数ベース)は18.7%。2位の韓国LG電子(13.1%)、3位のソニー(10.3%)、4位のパナソニック(7.9%)を引き離す。11年の世界販売の目標値は前年比15%増の4500万台だった。
ただ主力の欧米市場は債務危機などで減速し、中国では現地メーカーとの価格競争が激しい。世界シェアを上げ収益性を高めるため、空白となっていた日本市場に対し、最新の品ぞろえで再参入に踏み切る方針だ。
日本の薄型テレビ市場は10年度に2600万台程度だったとみられている。地上デジタル放送移行など特需の反動で、11年度には1500万台前後まで減る見通し。サムスンは12年中に採算などを見極め、13年に再参入の照準を定める。
サムスンが有機ELテレビ 来年中に、まず55型投入 :日本経済新聞
【ソウル=尾島島雄】韓国のサムスン電子は次世代テレビとして有望視される有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)テレビ市場に来年後半までに参入する方針を固めた。まず55型などの大型テレビから投入し市場の動向を見極める。LG電子も55型の同テレビを同時期に発売する予定で、韓国2社が日本勢に先行する形でテレビの世代交代を主導する。
電子機器の表示部品の主流はこの10年間、一貫して液晶パネルだった。有機ELは液晶よりも高精細とされ消費電力が少なく、スマートフォン(高機能携帯電話)など携帯機器向けに浸透。サムスン、LG両社がリビング用テレビに採用することで、液晶からの入れ替わりが加速する。
サムスンは子会社のサムスンモバイルディスプレーで有機ELパネルを手掛け世界シェア8割を握る。5月末から有機ELとしては世界最大となる「第5.5世代」(1300×1500ミリメートル)のガラス基板を使い、月2万4000枚(基板ベース)で量産している。
スマートフォンのほか、タブレット(多機能携帯端末)への搭載を進めており、パネルを大型化する量産技術を蓄積している。55型のテレビはこのラインで生産したパネルを使って組み立てる。
韓国市場のほか米欧中など主要市場のうち先端品を好む消費者向けに投入する方針で、当初の販売地域を詰めている。価格は未定。市場動向を見極めたうえで多様な画面サイズの製品群を増やす一方、ガラス基板の大型化による生産の効率化を急ぐ。LG電子も2012年下半期に55型の有機ELテレビを販売する準備を急いでいる。
薄型テレビを巡っては米欧で販売が伸び悩み、価格下落が続いている。ソニーやパナソニックが事業の見直しに着手する一方、高シェアを握る韓国勢も低収益に苦しむ。サムスンとLGは先端品である有機ELの早期投入により低価格品に強い中国勢や米ビジオと製品を差別化。高収益を取り戻す狙いがある。
韓国勢は半導体メモリーや液晶パネル、薄型テレビでいずれも日本の後追いで参入し、圧倒的な増産投資で世界シェアを逆転した。有機ELは部品であるパネル、完成品のテレビの双方で韓国勢が日本に先行し市場を切り開く事例となる。
日本勢は発光材料などの素材では高いシェアを占めるが、完成品ではソニーが07年に世界で初めて11型のテレビを発売したものの既に国内販売を終了。東芝、日立製作所、ソニー3社と官民ファンドの産業革新機構が来春設立する中小型液晶新会社は、有機ELに年間100億円の開発費を投じ早期事業化を目指すが、具体的な量産計画のメドは立っていない。
中国の液晶パネル大手、京東方科技集団(BOE)は2013年に中小型の有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)パネルの量産を始める。主にスマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)向けにガラス基板換算で月間2.4万枚を生産する。液晶より薄くでき消費電力も少ない有機ELは成長市場。韓国サムスン電子がほぼ独占する世界市場へのBOE参入で競争は一段と激化し、出遅れる日本勢は新たな対応を迫られそうだ。
有機ELの出展が相次いだ(台湾・友達光電のディスプレー)=26日、横浜市西区
BOEの王東昇董事長が26日明らかにした。中国企業で有機ELパネルを量産するのは初。220億元(約2627億円)を投じ内モンゴル自治区オルドスに「第5.5世代」と呼ばれる縦1300ミリ、横1500ミリのガラス基板を使う最先端工場を建設。月間で有機ELパネルを2.4万枚、高精細の液晶パネルを3万枚生産する。
11月初めに日本法人を設立し、液晶や有機EL関連で高い技術を持つ製造装置メーカーや材料会社との連携を強化する方針も示した。日本の電機各社への営業戦略も強化する意向だ。
液晶では、価格競争が激しいテレビ向け大型パネルの生産ラインを高精細の中小型向けに転換していく考え。12年から中国・成都の液晶工場の一部のラインを改造し、ガラス基板換算で月間1万5000枚分を中小型向けに増産する。
中小型パネルはスマホやタブレット型端末向けに世界的な需要増が見込まれ、米調査会社ディスプレイサーチによると15年には10年比2.4倍の523億6476万ドル(約3兆9739億円)になる見込み。有機ELは3.6倍と伸びが顕著だ。
BOEは中国の液晶パネル最大手。テレビ向けが中心だが、価格競争の激化を受けて事業立て直しを進めている。王董事長は「常に新しい技術に投資し収益力を高めていきたい」と述べ、次世代技術に経営資源を集中させる考えを示した。
有機ELでは、サムスン電子が世界シェア約8割を握る。販売が伸びている自社のスマホ向けに生産し、5月には世界最大のガラス基板を使う新工場を韓国で稼働させる。液晶パネルで世界2位の韓国LG電子も12年に55型の有機ELテレビを発売すると表明した。
液晶事業の収益悪化などで有機ELに十分な投資ができなかった日本勢も巻き返しに出つつある。東芝、日立製作所、ソニーの3社は官民ファンドの産業革新機構の支援を受けて来春、中小型液晶パネルの統合新会社を発足させる。重要テーマの1つが有機ELパネルの開発だ。産業革新機構が拠出する2000億円を使い、早期の量産実現を目指す。
横浜市で26日開幕した薄型ディスプレーパネルの国際展示会「FPDインターナショナル2011」。3社の事業統合を主導した産業革新機構の谷山浩一郎マネージングディレクターが講演し、新会社について「有機ELパネルの研究開発費として年間100億円以上を投資する」と語った。