石炭は資源埋蔵量は豊富であり、且つ今まで発電に使用できなかった低品質の石炭は更に豊富に存在する。天然ガス火力発電の半分程のコストで出来れば、シェールガス供給でコストが低減しても対応可能。資源的にも心配せずに済む。
石炭火力、CO2を2割削減 日立・東北大が新技術 低コスト・環境を両立 新興国に設備売り込み :日本経済新聞
日立製作所と東北大学は石炭火力発電所の二酸化炭素(CO2)排出を2割削減できる新技術を開発した。国内で主力の液化天然ガス(LNG)火力と比べ、石炭火力は燃料費が半分程度と安い魅力があるが、CO2排出の多さが難点だった。日立などは2020年にも実用化し、環境面と低コストを両立する新型の発電設備として、石炭火力の設置を増やす新興国を中心に売り込む。
新技術は設備の耐熱性を高め、CO2排出が少ない効率運転を可能にする
石炭火力は石炭を燃焼した熱で蒸気を発生し、その蒸気でタービンを回して発電する。燃焼温度を上げると効率良く石炭を燃やせるようになり、発電効率やCO2の排出を減らせる。最先端の設備でもセ氏600度までしか耐えられなかったが、日立などは素材の改良でセ氏800度の高温運転に耐えられる新技術を開発した。
新たにコバルトなどの金属を合金原料に採用し、耐熱性を高めた。開発にあたっては東北大が持つ金属化合物に関する技術を導入。ボイラーチューブやタービンなど、高温の蒸気が通過し、耐熱性が要求される部分に使う。セ氏800度に耐えられる蒸気タービン型プラントができれば世界初となる。
新技術を使った石炭火力プラントの発電効率(発電分から発電所で使う分を差し引いた送電端ベース)は50%で、従来の約40%から向上する。発電量1キロワット時あたりのCO2排出量は約700グラムと2割減る。
石油火力のCO2排出量は約740グラムのため、800度の高温石炭火力プラントが実現すれば逆転する。約600グラムの蒸気タービン型LNG火力のCO2排出量にも近づくことになる。
世界の火力発電能力は30年に08年比6割増の約50億キロワットに拡大する見通し。原発再稼働問題で火力発電の位置付けが重くなっているが、日本では今後もLNG火力が中心になる見通しだ。
ただ、石炭産出量の豊富な米国や中国、インドでは石炭火力の需要が今後も伸びる。日立はCO2回収設備など得意とする関連設備と今回開発した耐熱素材を組み合わせることも検討。環境面や効率面でライバル企業に対する競争力を高め、新興国などで増える受注活動に備える。