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真珠の小箱(121) 「草間彌生/今確実に売れる画家」

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『草間彌生 永遠の永遠の永遠』

2012年1月7日(土)〜4月8日(日)
会場:大阪府 中之島 国立国際美術館B3階展示場
時間:10:00〜17:00(金曜は10:00〜19:00まで)※入館は30分前まで
休館日:月曜日 ※1月9日(月・祝)は開館、1月10日(火)は休館
料金:
当日 一般1,400円 大学生1,000円 高校生700円
前売 一般1,200円 大学生800円 高校生500円

講演会
『担当学芸員によるレクチャー』
2012年1月14日(土)、3月17日(土)14:00〜
会場:大阪府 中之島 国立国際美術館B1階講堂
定員:130名
料金:無料(同展観覧券が必要)

  

草間 彌生 82歳・新たな挑戦 ほとばしる創作意欲 :日本経済新聞

 草間彌生の大規模な個展が7日、大阪市の国立国際美術館で始まる。新作絵画を中心に約100点の出品作は、82歳にしてますます盛んな草間の創作意欲そのもの。東京都新宿区のアトリエを訪ねた。

 草間は車椅子に座って出迎えてくれた。「膝の調子が悪いのよ」。鮮やかな赤地に白の水玉、「帽子」と呼ぶカツラも赤色だ。自らデザインした装いは取材や撮影のためでなく、草間にとって作品の延長であると同時に普段着でもある。「その辺を歩いていると目立って仕方ない」が、気にしない。よく見ると車椅子も水玉模様だ。

「芸術に救われる」

 「始めましょう」。やはり水玉模様の割烹着(かっぽうぎ)を身につける。机の上には銀色で下塗りした畳1枚半ほどのカンバス。目を見開き、無造作に筆を走らせる。下描きはしない。赤と青で水玉や網目、横顔、目玉、ギザギザ、渦巻き、直線など、様々な絵柄を生み出していく。「頭の中はイメージであふれている」。そのまま筆に乗せる。見る見るうちに作品が仕上がっていく。

 草間が本格的に絵を描き始めたのは10歳の頃。心の病を患い、身の回りの壁や机が同じ模様に覆い尽くされるなどの幻覚に襲われた。恐怖から逃れるため、幻視をそのまま絵にした。「芸術がなければ自殺していたと思う」

 20代で渡米し、網目模様が大画面に増殖する作品で認められ、以来、常に世界の現代美術の最前線に身を置いてきた。単調に思えるイメージの反復が生み出す不思議な緊張感と、それを包み込む優美さ。ユーモアや大衆性まで含んだ独特の豊かな世界がそこにある。近年は巨大なカボチャのオブジェや街中にまで氾濫する水玉模様のインスタレーションなどで、幅広い層に知られるようになった。

 もう何十年も病院で寝起きし、アトリエに通う。朝から絵を描き、昼食は近くのコンビニエンスストアや弁当屋でスタッフが買ってくる。最近はレーズン入りの食パンがお気に入り。食後も制作。夕方、病院へ帰る。1日平均8時間を制作に充てる。「疲れると道がゆがんで見える」。今でもよく幻覚に襲われる。

世界の殿堂を巡る

 目下、海外で草間の回顧展が巡回中だ。昨年はマドリードの国立ソフィア王妃芸術センター、パリのポンピドー・センター、今年はロンドンのテート・モダン、ニューヨークのホイットニー美術館と、世界の現代美術の殿堂を巡る。これほどの評価を得た日本人美術家は他にいない。

 草間と長年交流し、今回の展覧会を準備した美術評論家の建畠晢は言う。「国内では長く、誤解や無視など困難の連続だった。すべてのエネルギーを創作に注げる環境が整ったのはここ数年のこと。今のうちに、すべてを描き尽くそうという思いなのでは。最近の創作意欲は驚異的だ」

 草間が2009年から制作に没頭するのが大画面の絵画「わが永遠の魂」シリーズ。すでに150枚を完成させ、現在も新作を生み出す。今展はこのシリーズから初公開の47枚を含め、100点以上の絵画や彫刻を出品する。

 「ちょっと休ませて」。カンバスに覆いかぶさるようにしていた草間が手を止め、椅子に身を投げ出した。「ずっと無理な姿勢で膝が悪くなったのよ」。描き始めて1時間近く。目の前の「わが永遠の魂」の一枚は、4分の1ほどが躍動するイメージで埋まっていた。どんな絵になるか、描いている最中は本人にも分からない。「500点でも1000点でも私は描く。私にはもうあまり時間がないけれど」。自身に言い聞かせるかのような言葉。創作にかける強烈な信念がほとばしった。

 「草間彌生 永遠の永遠の永遠」展は4月8日まで。埼玉、長野、新潟各県を巡回。

くさま・やよい 1929年長野県生まれ。57年渡米。水玉や網目模様の絵画や立体作品、路上でのパフォーマンスで高い評価を得る。73年帰国。2009年文化功労者。

 Near Equal 日本當代藝術家影展 草間彌生


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