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ファッションサイトがなぜリアルイベントを開催? ZOZOTOWNが提案する、新たな成長戦略|inside Enterprise|ダイヤモンド・オンライン
ファッションショッピングサイト「ZOZOTOWN」は、ネット上のファッション販売サイトで日本トップであり、利用したことがある人も多いだろう。複数のブランド品を取り扱うセレクトショップを中心としたラインナップでスタートし、今では約400ショップの商品を取り扱っている。そのZOZOTOWNが9月15、16日に初のリアルイベントを開催する。ネットショップが、なぜリアルイベントを行うのだろうか。
ファッション系のリアルイベントというと、モデルが闊歩するファッションショーを思い浮かべる。ところがZOZOTOWNのイベントは、次シーズンのアイテムをお披露目する展示会で、その場で個人でも洋服などのアイテムを予約できる。通常、こうした展示会は業界関係者向けで一般には公開していない。ごく一部のショップが上顧客だけに開放することがあるものの、今回は一般の顧客がだれでも1000円の入場料で参加できる。
イベント名は「ZOZOCOLLE(ゾゾコレ)」。千葉県の幕張メッセで開催する。UNITED ARROWS、SHEL'TTER、A BATHING APEなど国内外で人気の70ショップ、200ブランドが、2000以上のアイテムを出展する。UNITED ARROWSを初め、多くのショップは初の展示会参加になるという。展示するのは秋冬物の新アイテムで、予約を受け付ける。
こうした展示会を開催するのは、顧客にとっても、ショップにとってもメリットが大きい。顧客は、予約しておくことで気に入った商品を確実に手に入れられる。ショップは、予約が多ければ在庫が余るリスクが少なくなり、定価で確実に販売して利益を取れるというわけだ。
心配なのは、イベントのコンセプト自体が目新しく、また目玉となるキャッチーなコンテンツがないこと。そこで、ネット上であれば購入・予約金額に対するポイント付与率が1%であるのに対して、イベントでは10%のポイントを付与するほか、ノベルティーも配布する。またZOZOTOWNの顧客は全国にまんべんなくおり、首都圏以外の顧客にどう対応するかも問われるだろう。
ZOZOTOWNを運営するスタートトゥデイはこれまで高成長を遂げてきたが、足元では成長率が鈍化している。リアルイベントが顧客の支持を受けて、それを弾みに新たな成長軌道へと乗っていけるかが注目される。
前澤友作スタートトゥデイ社長
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Photo by Toshiaki Usami
ZOZOCOLLEは果たして成功するのか。リアルイベント行う狙いと、今後の戦略について、スタートトゥデイの前澤友作社長に聞いた。
――なぜリアルイベントを行うのですか。
前澤 思っていることは非常にシンプル。「洋服を予約して買う時代」にしたいのです。これまでアパレルのショップは在庫と顧客ニーズのミスマッチに悩まされてきた。顧客のためには多くの商品を取りそろえたいが、在庫が多すぎればいずれセールを行うことになりブランド価値が毀損してしまう。
ZOZOTOWNではすでに、ネット上で商品を予約できる機能を備えています。取扱高のうち10%強はすでに予約販売したものです。こうした流れを本格的なものにするきっかけとして、リアルイベントを2年ほど前から検討していました。ネットと違って試着もできるので、より安心して予約できます。
予約購入なら、顧客は確実に自分のほしいものが手に入れられます。またショップは予約段階で売れ行きを見極めて入荷量を決められるので、より斬新なデザインの商品などを販売する余地が出てきます。予約段階ではなかったサイズを特別発注するというショップもいずれ出てくるでしょう。予約販売は、みんながハッピーになれる仕組みです。
――ショップは出店料を払ってイベントに参加します。どんな反応がありますか。
前澤 ネットに出店している約400ショップのうち、70ショップが参加します。展示・予約会を初めて行うショップが多く、彼らからの期待は大きい。ZOZOTOWN限定商品にそれが表れています。ほとんどのショップが限定商品を用意する予定で、合計約530アイテムにのぼります。
――リアルイベントを行う背景として、成長の鈍化が指摘されています。高成長企業と言われてきましたが、商品取扱高は4月が前年同月比25.3%増、5月は15.3%増、6月は6.4%増。成長率がどんどん小さくなっています。成長は止まってしまったのでしょうか。
前澤 6月の落ち込みは想定範囲以内です。サマーセールの開始時期を7月12日からとし、3週間遅らせた影響が大きいです。また昨年はチャリティーTシャツの販売が非常に好調だったのでその反動で伸び悩んでいるように見えるのです。7月はまだ途中経過ながら、再び高成長を取り戻しています。
アパレルのネット販売は、いずれ自社サイト主体へと移り変わっていくという考え方の人もいるが、それは間違いでしょう。多くの顧客は様々なショップの商品を比較しながら購入したいものです。それが簡単にできるのがネットのいい点。ZOZOTOWNで1年以内に購入したことがある人は200万人強ですが、市場拡大により1000万人程度まで伸びると考えています。そのくらいネットには可能性があり、成長の余地はまだ大きいでしょう。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 野口達也)
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