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メモ「レアアース/最近の事情」

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レアアース 世界中から 日本、中国依存5割切る 今年上期 :日本経済新聞

 日本がハイテク産業に不可欠な資源であるレアアース(希土類)を、あの手この手で世界中からかき集めている。中国に一極集中していた調達先は海外権益の確保などで分散。今年上半期の同国からの輸入割合は2000年以降で初めて5割を下回った。官民一体の資源外交が重みを増している。(川手伊織)

 

 レアアースは中国が世界の供給量の大半を握ってきた。00年代後半から環境保護を名目に資源を囲い込み、輸出管理を強めてきた。中国国内の消費量が20年間で10倍に膨らんだ影響が大きいが、同国の輸出管理は日本のハイテク産業を窮地に追い込んだ。

 日本政府や企業は中国に依存してきたレアアースの分散調達を進めるためベトナムなど中国以外で権益を確保してきた。

 その成果が表れ始めている。1〜6月の中国からのレアアース輸入量は3007トン。輸入に占める中国産の比率は49.3%で、半期で50%を割り込んだ。09年までは中国産の比率が90%前後を占めていた。

課題は重希土類

 来年からは日本企業が権益を持つ海外のレアアース鉱山などからの輸入が本格的になる。権益を持つのは、オーストラリア、カザフスタン、インド、ベトナムの4カ国。フル操業時の対日輸出量は年間で計1万6500トンに上る見通しだ。

 この大半は、セリウムや強力な磁石に使うネオジムなど軽希土類。年間2万数千トンの国内需要の6〜8割を安定調達できるようになる。国内でのリサイクル分を合わせた「安定調達率5割」の政府目標を数年内に達成できる見通しだ。

 残る課題は「軽希土類と比べて希少性が高い重希土類の権益確保」(経済産業省)だ。電気自動車や省エネ家電のモーター用磁石の性能向上に必要なジスプロシウムは、依然として調達量の9割超を中国に頼っている。

 豊田通商はカナダ・ケベック州で現地の採掘会社と共同でジスプロシウムなど重希土類の採掘を始める。豪鉱山開発会社のノーザン・ミネラルズは15年から中重希土類を供給する計画。ただ、実際に対日輸出が軌道に乗るには時間がかかりそうだ。

 経産省は昨年から重希土類が多いとされる海底レアアース泥を調査してきた。日本の排他的経済水域(EEZ)の南鳥島周辺の海底の泥を採取する予定。だが、巨額の費用がかかるとみられ、民間による商業的な採取には課題が多い。 

消費減らす工夫

 こうしたなかで重希土類を中心に磁石などの製造工程で消費量を減らす技術の開発が進んでいる。東芝は、ジスプロシウムではなく豪州や米国に豊富にあるレアアースを使った磁石を開発した。磁石の性能はジスプロシウムを使った従来品と同じだという。ホンダは年内に、使用済みハイブリッド車のニッケル水素電池から取り出したレアアースを再利用する方針だ。

 経産省は資源外交によってレアアースの海外権益を確保する一方で、ジスプロシウムなど希少資源をできるだけ使わない技術開発を支援している。ジスプロシウムの国内需要を2年後までに年300トンと、現在から半減させられるとみている。


レアアース 次世代車に欠かせぬ素材  :日本経済新聞

▽…手に入りにくい希少金属(レアメタル)の一種で、セリウムやネオジムなど17の元素がある。希土類と呼ばれ、一般に質量が小さいものから順に軽希土、中希土、重希土に区分される。例えば、電気自動車やハイブリッド車を動かす高出力モーターに欠かせないのが、鉄にネオジムを混ぜて作る強力な磁石。さらに磁石は高温になると磁力が落ちるため、この弱点を補うために、ジスプロシウムというレアアースを加える。次世代自動車の生産に欠かせない素材になっている。

▽…2010年の世界の産出量の98%を中国産が占めるなど、供給源が限られている。1980年代後半から低コストの中国産が世界市場に出回り、2000年代前半に米国など中国以外の鉱山のほとんどが生産を中止した。

▽…中国も環境保護を名目に、徐々に輸出規制を強めてきた。中国国内の消費量が過去20年で10倍に急増した影響が大きいが、外交カードに利用する思惑もあるとされる。10年9月に尖閣諸島で中国漁船が海上保安庁の巡視船に衝突した事件をきっかけに、中国はレアアースの日本向け供給を一気に絞り、日本国内で調達難の懸念が強まった。

(参照)

レアアース輸入急減 依存しない技術 普及 :日本経済新聞

 レアアース(希土類)の輸入が急減している。1〜4月の中国からの輸入量は前年同期比約7割減少。日本企業が在庫を確保しているのに加え、「脱レアアース」に向けた技術開発が進み、使用量が減退しているためだ。需要減で日本向けの取引価格も下落し、高性能磁石に使うネオジムやジスプロシウムは現在、最高値をつけた昨年7月に比べ約7割安い。

 脱レアアースの技術は一段と普及する見通しで、価格の高騰を回避できる可能性が出てきた。

 貿易統計によると、今年1〜4月のレアアース輸入量は3650トンで前年同期比58%減。うち中国からの輸入量は1894トンで同69%減と大幅に減った。輸入量全体では前年同月比で5カ月連続の減少。単月で見ると2011年は前年と比べ増えた月もあったが、12年は毎月減少している。

 取引価格も下落傾向が続いている。ネオジムは6月中旬現在、1キロ150ドル前後で前月比14%安、ジスプロシウムは1キロ1100ドル前後で前月比15%下落した。いずれも最高値の昨年7月に比べ約7割安い。研磨剤や触媒に使うセリウムも1キロ20ドル弱で前月比1〜2ドル下がった。

 輸入量が減って価格も下落しているのは、日本で使用量を削減する「脱レアアース」の技術が進んでいるためだ。

 レアアースを使った高性能磁石で2〜3割の世界シェアを持つ信越化学工業は、モーター用磁石でジスプロシウムの使用量を大幅に減らす製造法を導入済み。エアコン向け磁石では既にジスプロシウムを半減した製品の採用が進みつつあり、来春までに全量をこの製品に切り替える計画だ。レアアースの在庫も積み増しており、購入量は大幅に減っているもようだ。

 磁石を使う日本企業の間では金属磁石から従来のフェライト磁石などに戻す例も増加。磁石各社はレアアースの利用量を減らした新型の金属磁石も開発しており、今後の採用も見込まれる。

 10年秋の尖閣諸島沖での衝突事件をきっかけに「磁石メーカーは自動車大手からレアアースの確保を要請され、在庫を積み増した」(商社)。だが使用量の削減や景気低迷の影響で「現在はレアアースを調達する商社や合金メーカーと磁石企業との取引量は減っている」(同)。

 日本勢はレアアースの調達先の多様化や「脱レアアース」技術の開発・普及を加速させている。レアアースの中でも比較的埋蔵量の多いセリウムやネオジムなどは米国やオーストラリアの鉱山会社から今年にも日本向けの出荷が始まる予定。

 高性能磁石の場合、耐熱性を高めるジスプロシウムは重量の8%前後添加する必要があるが、日立金属はジスプロシウムを効果的に分散する技術で4%まで引き下げられるようにする。14年までに量産化技術の確立を目指している。

(春秋)「国内消費量の200年分以上」と聞いて驚いた。携帯電話や電気自動車の製造に欠かせないレアアースが、南鳥島周辺の日 :日本経済新聞

 「国内消費量の200年分以上」と聞いて驚いた。携帯電話や電気自動車の製造に欠かせないレアアースが、南鳥島周辺の日本の排他的経済水域(EEZ)の海底に眠っているという。採掘に向け国も乗り気で、調査にあたる東大などとの連携をすかさず打ち出した。

▼日本近海には、次世代のエネルギー源と期待されるメタンハイドレートも豊富に存在する。新潟県の佐渡沖では国内最大規模とみられる油田も見つかった。採掘技術やコスト面の課題が解決できれば、自前で燃料を安定して確保できるようになるかもしれない。深い海の底に新たな可能性を探る。心躍るような話である。

▼「日本はなんて資源に恵まれた国なんだろうと、帰国してしみじみ思った」。海外の学校で教えた経験のある知人から、意外な感想を聞いたことがある。外国の子どもは山を茶色く塗るが、日本の子は緑色に塗る。石油や鉄鉱石だけが資源というわけではない。豊かな森や水こそが、日本が世界に誇る資源なのだという。

▼ではこの資源を、どれほど大切にしているかといえば、現状は心細い。林業の後継者不足などもあって手入れがされない森は荒れ、里山は廃れていく。外国資本が日本国内で水源地を買収する動きも強まっている。海の底に注ぐのと同じように、身の回りの森や山々に情熱を注いで、こちらの資源も守り伝えていきたい。


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