デンソー、エコカー向け半導体材料 部品の小型化可能 15年以降の実用化めざす :日本経済新聞
デンソーは昭和電工や独立行政法人の新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)などと共同で、エコカー向け高性能半導体の材料などに使う次世代半導体ウエハーを開発した。ウエハーに含まれる不純物を大幅に減らし、世界最高水準の品質を確保したという。2015年ごろに同ウエハーを使った半導体を実用化し、エコカー基幹システムの小型化、高性能化につなげる。
新開発した炭化ケイ素製6インチ型ウエハー(左)と既存の4インチ型ウエハー
開発したのは炭化ケイ素(SiC)製の6インチウエハー。大きな電流を流すパワー半導体の素材に使う。デンソーとNEDOのほか、昭和電工、豊田中央研究所(愛知県長久手市)が共同で開発した。同ウエハーを使ったパワー半導体は自動車のほか、鉄道やスマートグリッド(次世代送電網)など幅広い分野での利用が見込まれている。
デンソーはエコカーの基幹部品であるインバーターに採用。より大きな電流が流せるのでインバーターの大きさが半分以下になるという。モーターと電池の小型化が同時に進めば、基幹システムの小型化につながり、燃費性能を高めたり、車内を広くしたりできる。
6インチのSiCウエハーは米半導体材料大手のクリーなどが開発に成功しており、普及が期待されている。ただ、従来のシリコンウエハーと異なり、結晶製造が難しく、不純物が混じりやすい。量産に移行するには不純物を大幅に減らす技術がカギとされていた。
デンソーは不純物を大幅に減らす技術を確立。2年後の不良品率は5%未満に下がり、量産が可能になるとしている。
SiCパワー半導体の市場規模は25年に2000億円以上と、足元の40倍以上になるとデンソーはみており、今回の成果をもとに将来、SiCウエハーの生産事業に進出することも検討する。